ナタリー PowerPush - 阿部真央
なんで貴方居ないの? 恋愛の孤独を歌う新曲「ロンリー」
アレンジではいい意味で予想をくつがえされた
──曲に関しては、どんな音が頭の中で鳴ってましたか?
とりあえず明るい感じ。メロディ自体ポップだし、コードもマイナーコードが少ないですからね。だから明るい感じでっていうイメージだけ持ってました。こういう音になるとはちょっと予想はしてなかったですけど。
──アレンジ面で意外な変化があったっていうこと?
そう。けっこう意外でした。まずドラムがロールで、行進みたいですよね。ロンリーなのに行進してるっていう(笑)。今回もスタジオにバンドの人とディレクターさんと一緒に入って、どういうふうにしようかなってみんなでいろいろやったんですけど、「例えばロールとか?」みたいな感じでドラムの人が言って。結果的には、ものすごくいい意味で予想をくつがえされたんで良かったなって思います。レコーディングは楽しかったですよ、すごく。
──そういう楽しさは歌にも表れてますよね。
私の場合、まず音を録ってから次の日に歌うっていう感じで、だいたい2日でやっちゃうことが多いんですけど、その1日目の様子を私はずっとブースから見てるわけですよ。バンドさんが演奏してるのを。「ああ、楽しそうに弾いてるなぁ」って。で、その顔を思い出しながら次の日に歌ったので、多分バンドのテンションに同調できたんじゃないかなって思いますね。やっぱり自分から出たものとか自分の作品に対して、誰かが真剣になってくれてる様子っていうのはものすごくうれしいので。
感情のままに歌うと切実すぎて聴かせられない
──間奏明けのちょっと静かになるところの歌声がかなりヤバかったです。グッと感情がこもってて。
うん、感情は入ってると思います(笑)。でも、半々ですかね。実際、感情を込めて歌ってはいるけど、感情だけではないっていうか。要は、理性でどう抑えるかっていうところなんですよね。ここまでは出してもいいけど、これ以上出すとちょっと引かれちゃうっていうラインがあって。そこがせめぎ合うのが私は好きなんですよね。
──感情的になりすぎないように、ちょっと抑えている自分がいるっていうことですか?
うん。
──へえ、それはちょっと意外な感じもするんですけど。
多分私の感情がデカいからだと思いますね。人によって違うと思うんですけど、私の場合は感情のまま歌うと張り上げすぎるし、切実すぎてお聴かせできないみたいな(笑)。なので、ある程度は線を引かないと。
──じゃ、デモなんかでは感情が振り切ってる状態で歌われているものもあるんですか?
振り切ってるか淡々としてるかどっちか(笑)。どっちにしても、やっぱりデモって曲を書いてからすぐに録るんで、多分主観的すぎて伝わんないと思うんですよね。だからこそ「ロンリー」も時間を置いてからレコーディングしてるし。ちょっと置くことが客観的になるためには必要かなとは思いますね。
──独りよがりではなく、伝えることを大前提としているからこそ、そういう時間が必要ってことなんですかね。
うん。きっとそうなんでしょうね。ただ、この曲以降に作った「いつの日も」とかは、書いてすぐにレコーディングしてるんですよ。そういう状況でも一番いい形で伝える術っていうか、どうやったら引き出すことができるかっていうのは勉強したので、今後のレコーディングではちょっと変わってくるかもしれないですけどね。書いてすぐレコーディングしてもうまくできるようになるかもしれないし。
阿部真央(あべまお)
1990年1月24日生まれ。大分県出身。愛称は「あべま」。2009年1月にアルバム「ふりぃ」でポニーキャニオンからメジャーデビュー。その後、3枚のシングルをリリースするほかライブを精力的に行う。2010年1月に2ndアルバム「ポっぷ」をリリース。