菅野よう子との邂逅

──新曲「ポンパラ ペコルナ パピヨッタ」はオペラのような合唱の要素が加わり、さらにアバンギャルドな楽曲だったので驚きました。

D　「半世紀優等生」は迷いなく思いを叩き付けられた楽曲だったけど、この曲では「変わるべきか、変わらないべきか」をテーマに、私たちの葛藤と混沌をそのまま表現しています。

F　「変わりたい」という思いはあるものの、現状を打破したところで葛藤は消えないと思うんです。結局、変わっても変わらなくても、ずっと悩みや不安はあるんだと思います。

──歌詞は一聴しただけでは理解できない難解な内容ですが、皆さんはこの歌詞をどう解釈していますか？

H　ココナッツサブレのWEBサイトに解説が出ていますので、ぜひ！

D　難解なフレーズの中に突然「あれ、何調べてたんだっけ…」などの日常的な話言葉が出てくるけど、これは全然特別なことじゃなくて。私たち女子中高生のリアルな脳内が表現されていると思います。急に現実に引き戻されるような。

H　私が歌っている「あれ、私誰だっけ？」のあとに入っている「あっ」は、戸惑って思わず出た声なんですけど、そのまま入っています。

F　そのリアルさが曲に合ってたんだろうね。

──作・編曲は世界的に評価を集める菅野よう子さんです。

H　不思議なオーラをまとった方でした。レコーディングでは菅野さん指揮の下で歌ったんです。なかなかない機会だと思うので、貴重な経験でした。

F　歌入れは1人ひとり録ってかまわないはずなんだけど、菅野さんは全員で合唱することにこだわられていて。レコーディングは予定よりも1日延長して、よりクオリティの高いものを目指しました。

D　レコーディングは短期間だったのですが、菅野さんは1人ひとりに細かいアドバイスとメッセージをくださいました。短い時間の中で、私たちのことを見抜いてしまったみたいです。

私たちらしさをそのまま表現したい

──「ポンパラ ペコルナ パピヨッタ」はミュージックビデオもかなりインパクトの大きい仕上がりですね。

D　MVではオレンジ色のウィッグをかぶっていたのですが、これをかぶっていると視界が狭いんです。この姿で長時間いると、自分が人間ではなくなっていくような感覚があって……。みんなで円になってケチャ（バリ島の伝統的舞踏）をするシーンでは、新しい民族になったような気持ちになりました。

F　言葉の伝わらない海外の人でも、感覚的に楽しめる映像になっていると思います。

──最後に読者へのメッセージや今後の目標などを1人ずつお願いします。

D　インパクトの強い曲が続いたので、3曲目はどんなことになるのか私たち自身も楽しみにしています。ジャンルの壁にとらわれず、どんな音楽でも私たちらしさをそのまま表現したいと思っているので、これからも楽しみにしていてください。

F　悩みはいくらでもあるけど、人前で好きなことがやれるのはスカッとします。だから今後も続けていきたいし、みんな好きなように楽しんでいただければ。

H　ほかのアーティストにはない、五五七二三二〇ならではの世界観を今後も打ち出していけたらと思います。