“エモさわやか”な曲が欲しかった
──ニューアルバムには既発曲のほか、「夕暮れグラデーション」「ワンルームマジック」といった新曲も収録されますが、どちらも虹コンらしいアップテンポなアイドルソングではないのが印象的でした。特にリード曲「夕暮れグラデーション」はエモーショナルな雰囲気の楽曲です。
鶴見 華鈴ちゃんとよく「“エモさわやか”な曲が欲しい」と話していて、やっとそういう曲をもらえました(笑)。エモいけど、さわやかさもあって聴いていてすごく心地いいっていう。
──「TOKYO IDOL FESTIVAL」のスカイステージで夕方の時間帯に披露したら、より雰囲気が出そうですね。
的場 あー! 最高ですね!
岡田 虹コンの公式ペンライトはオレンジ色に光らせることもできるんですけど、オレンジが担当カラーのメンバーはいないんですよ。これまでファンの皆さんがオレンジ色を使う場面がなかなかなかったので、「夕暮れグラデーション」をオレンジ色の“染め曲”にしてもらえたらうれしいですね。
鶴見 今までは「気持ちが高まったときにオレンジ色にしてください」と言ってたんです。
的場 フロアがオレンジ一色に染まるところ、見たい……!
──的場さんも“エモさわやか”な曲が欲しかったんですか?
的場 はい! 今までの虹コンのエモい曲って、とことん重かったんですよ(笑)。歌うとしんみりした雰囲気になっちゃって、「みんなで笑いながら涙を流せるような曲が欲しいね」って萌ちゃんと話してたんです。虹コンがこういう“ザ・青春”みたいな曲を歌えるようになったこともうれしいですね。どちらかというと、虹コンメンバーは普通の青春からは遠いところにいるタイプなので。
──虹コンのエモい曲と言えば今作にも収録されている「心臓にメロディー」がその代表だと思いますが、これはもっと重めの曲ですよね。
的場 全然さわやかじゃないです!(笑)
鶴見 「心臓にメロディー」は歌っていてかなり体力と精神力を使う曲ですね(笑)。一方、「夕暮れグラデーション」はライブのラストに歌う定番曲みたいになればいいなと思っています。
──「夕暮れグラデーション」は、ミュージックビデオがファンから募集した夕焼けの写真で構成されている点も印象的です。新型コロナウイルスの影響でいつも通りの撮影ができない状況をうまく生かしたように感じました。
的場 ファンの皆さんがたくさん夕暮れの写真を送ってくださったんです。こうやって虹コンが発信した企画に真剣に参加してくれることがうれしくて、みんなが期待してくれている分、もっとがんばらなきゃと思いました。
──メンバーが写真のセレクトを行ったんですよね。
鶴見 はい。最優秀賞を選んで発表したんですけど、決めるのにすごく時間がかかりました。メンバー12人のLINEグループで話し合っているうちに、「あれもいいし、これもいい」と迷ってきちゃって。
ライブでのハモリに初挑戦
──もう1つの新曲「ワンルームマジック」は、ヤマモトショウさん提供のシティポップナンバーです。
的場 この曲はレコーディングで歌うのがめちゃくちゃ難しかったです。みんな苦戦したと思います。私はこれまで勢いで歌の問題を乗り越えてきたんですよ(笑)。虹コンにはテンポが速くてキーが高い、元気な曲が多くて、悪く言ってしまうと歌唱力をごまかしていた部分もあったんです。でも今回はそうもいかなくて……ちょっと高い音になると声が出なくなってしまい、かなり研究してレコーディングに挑みました。昔の歌い方に戻した感覚もありましたね。昔はもうちょっと静かな歌い方ができたんですよ。今と全然キャラクターが違ったので(笑)。一昔前の自分に戻って歌うことを意識しました。
──キャラクターの変化に伴い、歌声も変わってきたんですね。
的場 今虹コンの昔の曲を聴いても、自分の歌声だと気付いてもらえないかもしれません。それくらい変わっています。
鶴見 私も「ワンルームマジック」のレコーディングはすごく苦戦しました。リズム感が大事な曲なので、そこが大変でしたね。些細な音程の変化も難しかったです。
──歌い出しを担当した岡田さんはいかがでしたか?
岡田 私、歌い出しを担当するのが初めてで。声質的に声を張って歌うより、この曲みたいにささやくように歌うほうが合ってるのかもと発見する機会にもなりました。土岐麻子さんとか、シティポップ系の曲はよく聴いていたので、こういうタイプの曲を歌えるうれしさもあります。あと、私たちこの曲で初めてライブでのハモリに挑戦するんですよ。
的場 あ、そうだ!
岡田 今までレコーディングでハモリのパートを録ったことはあるんですけど、ライブで披露したことはないんです。
──なぜこのタイミングでハモリに初挑戦することになったんでしょう?
岡田 うーん、今回のアルバムはジャケット写真が大人っぽいというか、今どきの垢抜けた女の子みたいなビジュアルになっていて。その雰囲気に合わせて新たな試みに挑戦することになったのかもしれません。
的場 中学生メンバーがいなくなって、どんどん大人のグループになってきているし、年齢に伴ってやることを変えていくことも大切なんだと思います。「ワンルームマジック」の振り付けは私が作ったんですが、普段の虹コンとはかなり違う雰囲気になっていて。簡単に言うと大人っぽいというか、言葉で説明しづらいんですけど、かなり“オシャン”な感じです(笑)。
関わる人たち全員を包み込む
──アルバムには昨年のYokohama Bay Hall公演で初披露された「あなたと見る青空に明日も虹が架かりますように」がスペシャルトラックとして収められます。この曲はメンバーの心境をそのまま表現したような歌詞が特長です。
岡田 「心臓にメロディー」が自分たちに向けた決意の歌だったのに対し、「明日虹」はどちらかというと、ファンの皆さんに対する感謝の気持ちを歌った曲なのかなと思います。「心臓にメロディー」と同じくらい重い曲ではあるんですけど、プラスの感情のほうが多いと感じていて、ライブではお客さんのほうをしっかり見ながら歌いました。
的場 「明日虹」に関しては「心臓にメロディー」とは別にいろいろと思い入れがあって……グループに関わる人たち全員を包み込むような雰囲気が出ていて、そこに虹コンの成長が表れていると思います。
──Yokohama Bay Hall公演ではこの曲を披露する前に、的場さんが「虹コンはこの12人でいなくちゃいけないっていう確固たる理由を今さらだけど探していけたらと思います」と語っていました(参照:虹コン結成5周年!未来を見据えた東西ワンマンで新曲披露)。
的場 恥ずかしい(笑)。「明日虹」はライブだからこそ伝わる曲なので、アルバムにはスペシャルトラックという特殊な形で収録されるのかもしれません。この曲は本当の節目のタイミングでしか歌わないので、次にいつ披露するかもわからないんですけど、そのときどきによって聞こえ方が全然違う曲だと思います。これからどう進化していくのか、すごく楽しみです。
次のページ »
世界一好きな夏曲