妄想していた景色が目の前に広がった「YON FES」

──まずは「YON FES」お疲れさまでした。いかがでした？

GEN（B, Vo）　すごいよかったです。これまで妄想していた景色が目の前に広がっていて、「ようやくここまで来たんだなあ」って感慨深かったですね。1日目は不安のほうが大きくてどこかずっとふわふわしてたんですけど、2日目は冷静になれたので、会場の雰囲気も楽しめました。

KOUHEI（Dr, Cho）　僕は入場時に整列を手伝ったんですが、お客さんみんな楽しそうでしたね。

RYU-TA（G, Cho）　出店ブースも見に行ったよね。

GEN　僕はクリエイターがみんな友達だったので、クリエイターブースにも顔を出しました。

──普段のフォーリミのライブではあまり見かけないような親子連れの姿もちらほら見受けられました。

GEN　そうですね。これをきっかけにライブハウスに来る人が増えたらいいなと思います。

最大の武器・2ビートをリード曲に

──ここからはニューシングル「AIM」の話を聞かせてください。どういった作品にするか、構想はあったんですか？

GEN　はい。僕はいつも季節感を意識するんですけど、今回は発売が6月ということで、夏感が欲しいという話はメンバーにしましたね。特に夏の晴れてる日。あと前作の「TOY」では振り切って、リード曲をあえて僕たちらしくない、歌を聴かせる感じの曲にしたので、逆に今回は“らしく”したいな、2ビートをリード曲にできたらなと思いました。

──今作では1曲目「climb」がフォーリミの得意技の2ビートで、3曲目「cubic」は最近のフォーリミらしいマイナーコードのシャッフルビートで。どんどんバンドの武器が増えているという印象です。

GEN　僕ら的には武器が増えてるっていう感じではないんですよ。武器はメジャー1stアルバム「CAVU」のときに出そろって、今回はその中からどの武器を使おうかと選んでいった感じかな。

KOUHEI　その武器たちを磨いて研ぎ澄ませたというか。

──数ある武器の中から、今回は得意の2ビートをリード曲に使った、と。

GEN　はい。各地のフェスにもある程度出させてもらえるようになって、自分たちでもフェスを主催して、そんな自分たちがここからもっと上にいくために、今回は自分たちらしさを詰め込んだ作品を作りたいなと。そこで2ビートという武器を取り出しました。「AIM」はこれまで出した作品の中で一番名刺っぽいかもしれないですね。

──「TOY」リリース時のインタビューでは（参照：04 Limited Sazabys「TOY」インタビュー）、「聴かせる曲だけじゃなくて、僕たちらしい2ビートのパンクっぽい曲も入れなきゃいけないかなと思った」と話していましたが、フォーリミはもともとそういった曲をずっと作ってきていたと思うんです。それがいつの間にか意識しないとそういう曲が作れなくなってしまったということなんでしょうか？

GEN　いや、そんなことはないです。ただ僕らと言ったら2ビートというイメージがあるからって、そのイメージに応えて2ビートの曲を作るというのは嫌だなと思って。2ビートじゃなくても戦えるんだぞっていうところを見せたかった。俺らは勢いだけじゃないんだぞと。特に2ビートは僕らの最大の武器だと思ってるので、それを安売りをしたくないし、カッコよく使いたい。ちゃんと磨いた状態で刀を振りたいなと思っているので、いつも2ビートの曲を出すのは違うなと思ってました。

自分の弱さを知って強くなる

──「climb」の制作はスムーズでした？

GEN　シンプルにシンプルにと作っていったんですけど「簡単すぎないかな」という迷いもあって。難しくしようと思えばいろんな要素を付け足したりできるんですけど、難しければいいというわけでもないですからね。それよりも、少ない要素でどれだけ気持ちいい曲を作れるかに賭けたいと思った。例えばイントロとかすごくシンプルですよね。初めHIROKAZは違うフレーズを弾いてたんですけど、「もっとシンプルにしよう」と話して今のイントロになりました。

HIROKAZ（G）　僕は不安でしたね、「本当にこんなに簡単でいいの？」って。でも周りのメンバーがシンプルなほうがいいよと言ってくれたから安心してシンプルにしていけました。僕だけだったらこのフレーズは出てこなかったと思います。

──歌詞でつづられているのは去年の04 Limited Sazabysの皆さんの心情なのかなと思いました。「不安定な 自信喪失皆無ルーキー」とか。

GEN　去年よりも、どっちかといえば今ですね。

──え、今ですか？

GEN　はい、今、そういう感じです。

──昨年末に行っていたワンマンツアーも全公演ソールドアウトで、「YON FES」も大盛況だったのに？

GEN　はい。いつも曲を作ってるとき「自分は才能ないなあ。才能あるやつが周りにいっぱいいて嫌だなあ」って思って自信を喪失するんです。そういう気持ちを歌詞にしてます。

──バンドの状況的に“無敵感”があってもいいものを……。

GEN　全然無敵じゃないですもん。

KOUHEI　周りにカッコいいバンドやいいライブをしてるバンドがたくさんいるからだと思います。

GEN　「YON FES」をやっていろんなバンドが「悔しい」とか「刺激もらった」とか言ってくれますけど、BLUE ENCOUNTが「Mステ」（テレビ朝日系「ミュージックステーション」）に出たり、KEYTALKが武道館やったり、WANIMAのアルバムがめっちゃ売れてたりと、普段は刺激をもらってる側だと思ってるので。刺激の与え合いというか……むしろ悔しい気持ちのほうが強いです。

──あと2番のサビの「もっともっと沈んでみる？」という歌詞が印象的で。「CAVU」収録の「Higher」では「高く高く」と歌っていたのに、今回は「沈んでみよう」と。

GEN　もちろん常に「もっと上に」という考えでやってるんですけど、一旦沈んだほうが、より上がれるんじゃないかなと。自分の弱さを知ってるほうが強くなれるみたいなところってあると思うんです。全然ダメだって自覚してから強くなれるというか。この曲ではそういう今の自分のことを書きました。