ソニーモバイルのスマートフォン・Xperiaシリーズの最新機種Xperia 5が現在販売中だ。この機種では、Xperia 1で初登場した映像撮影機能「Cinema Pro」がさらに使いやすく進化。誰でも映画さながらの質感・色合いで動画を撮って楽しむことができる。
映画ナタリーでは、「脱脱脱脱17」「過ぎて行け、延滞10代」などの話題作を手がけた映画監督・松本花奈にXperia 5の「Cinema Pro」機能でショートムービーを制作してもらった。日常的にスマートフォンで動画を撮るという松本が最新の撮影機能で捉えた映像とは? さらにインタビューでは、「Cinema Pro」機能を使用した感想をはじめとして、映像制作を始めたきっかけや監督作への思いも語ってもらった。
取材・文 / 秋葉萌実 スチール撮影 / 曽我美芽
スタッフ
- 監督・撮影・編集 / 松本花奈
- 照明 / 廣賢一郎
- 録音・効果・整音 / 柳田耕佑
- 振付/ 櫻井香純
- スタイリング / 阪上秀平
- ヘアメイク / 早水望華
- ヘアメイク助手 / 本美祥
- オンライン編集 / 橋本悠平
- 音楽 / 松尾真之介
- 歌 / LUNO
キャスト
- 松浦りょう
- 石田さくら
映画撮影用のプロフェッショナルカメラ開発チームが監修した映像撮影機能「Cinema Pro」がさらに使いやすく進化。カットごとにISOやシャッタースピード、ホワイトバランスを細かく設定でき、映画さながらの画作り・質感・色表現が楽しめる。フレームレートは映画制作の現場で伝統的に使われてきた24fps、画面比率はワイドスクリーンでのフルサイズ表示をイメージできる21:9。何気ない日常をシネマティックに切り取れる“Look”は8タイプ用意された。
日々感じたことを記録したい
──松本さんは子役としてキャリアをスタートさせ、映像制作は中学生の頃に始めたそうですね。映像作品を撮影する側へ関心を持ったきっかけから聞かせてください。
昔からカメラに興味があって自分でも撮ってみたいなと思っていました。「鈴木先生」というドラマに出演したときに、仲良くなったカメラマンさんにその話をしたら「撮影が休みの日に遊びで撮ってみようよ」と提案してくれたんです。それで、海や公園に行ってカメラを回したら、すごく楽しくて。レンズを通して見る世界は自分が普段見ているものとまったく違うのが面白かったんです。撮影後に映像をどんどんブラッシュアップしていく作業にも魅力を感じました。
──なるほど。ちなみにいち映画好きとして、影響を受けた監督や作品は覚えていますか。
李相日監督の商業映画デビュー作「69 sixty nine」です。妻夫木聡さんたちが演じた男子高校生があふれんばかりのエネルギーを抱えていて、若くて、まぶしくて……。ああいう友達が欲しかった(笑)。「映像って楽しそうだな」という気持ちはそれまでもありましたが、あの作品を観て「映画を撮りたい!」と強い気持ちが芽生えました。高校生の頃にKIKIFILMという映像製作団体に入り同世代の仲間たちと自主制作で映画を撮り始めたのが私の映像作りのスタートです。
──映像を作るうえで、全作品に共通して“撮りたい”と感じるものはありますか?
感情にフィーチャーして撮りたいです。過去のことを振り返ったときに、出来事は覚えていたとしても、当時の感情は時間の経過とともに新鮮なものではなくなっていきますよね。その瞬間の感情を忘れていくのが怖いから、日々感じたことを記録したいという想いでやっています。
──そうなんですね。松本さんが作り手として考える“いい映像”の定義はなんでしょう?
「作り手はこのカット(シーン)を撮るためにこの映像を作ったんだ」と感じ取れるものが映っているのが、いい映像だと思っています。作品を観終わったあとに、一番何を残したいかを考えて全体のバランスを構築して作っていきたいといつも考えています。
──これまでのソニー製品との関わりについても教えていただきたいです。監督作にソニーのα7S(※デジタル一眼カメラ)を使われたことがあるとか。
シンガーソングライターの室井雅也さんの「A GIRL BY SEASIDE」というMVをα7Sで撮りました。ナイターシーンもあったのですが、α7Sは感度が高く少量の照明機材でも問題もなく撮影を進められました。またダイナミックレンジが広く、空と海の青さの差をきちんと表現することができました。カメラマンの方によるとボディが軽量であることもポイントの1つとのことでした。
スマートフォンでこんなことができるように!
──今回、松本さんにはXperia 5を使って作品を撮っていただきました。まずはこのスマートフォンの第一印象から伺いたいです。
形が新鮮で特徴的だし、思わず使いたくなるデザインですよね。このフォルムが好きです。
──Xperia 5に搭載されている「Cinema Pro」は、映画のようなクオリティで動画を撮影できる機能です。日常的にスマートフォンで動画を撮影されるそうですが、この機能の操作性はいかがでしたか?
「Cinema Pro」は映像の色合いを撮影の段階で選べるので、イメージを付けやすかったです。レンズが3つあってすぐ切り替えられるのもいいし、フォーカスがマニュアルで操作できるのも面白い。ついにスマートフォンでこんなことができるように!と触っていて楽しくなりました。いちユーザーとして非常に興味深く感じます。
──色合いの話で言うと「Cinema Pro」にはフィルターのように簡単にカラーを変えられて、映画作品に近い色味や色域を表現できるLook機能が搭載されています。8タイプある中で松本さんが選んだのはVENICE CSですね。
ふんわりとした画になるものを使いたいと考えていたので、8タイプすべて試したうえで今回はVENICE CSを選びました。VENICE CSは柔らかい質感で、光が入ったときにも映像が硬くならず、ちゃんと光が分散しているような印象に撮ることができると思いました。
次のページ »
軽いカメラだから繊細な動きを表現しやすい