映画「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」|脳みそを置いて劇場へ!映画ライター3名が語る、クレイジーすぎる“極”悪党たちの100%不可能な極秘ミッション

スタローン「脳みそは玄関に置いてきて」

──予告編を観た感想も教えてください。

SYO よしひろさん推しのキング・シャークもそうなんですけど、なんだかよくわからない巨大生物が出ていて、「これはなんなんだ!?」とテンションが上がりました。

よしひろ あのわけわからなさって最高じゃない?

SYO 最高ですよね。最初に公開された特報はハーレイを救出しに行くシーンから始まるんですけど、いざ到着したらハーレイはすでに脱出していて「もう1回捕まっとく?」って(笑)。ユーモアたっぷりな作品であることの明示ですよね。あと2016年版の「スーサイド・スクワッド」も僕はすごく好きなんですが、悪党を描くうえで共感性が高すぎたのかなとは思っていて。それぞれの悲しみのドラマを描きすぎて、政府側の人間である(ヴィオラ・デイヴィス演じる)アマンダ・ウォラーが一番の悪党に見えてしまった。

猿渡 確かに(笑)。説明の部分が少し長かったですよね。

「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」

SYO はい。でも今回は倫理観もぶっ飛んでいそうですし、イケイケな感じで“悪党”という部分が説得力を持って打ち出されると思うんです。

──確かに映画の全貌がわかっていない今の時点で、クレイジーな悪党たちのはちゃめちゃな映画であることは伝わってきます。

よしひろ 予告を観て思いましたが、色調が明るくなったのもすごくうれしい。スピード感と迫力はすごいのに、暗くてよく見えないってことがアクション映画でたまにあるんですよね。「IMAXだと見えるよ」と言われることがあるんですけど、そういうことじゃないでしょうと。本作は通常のスクリーンで観ても「何が起きたのかがわからない」ということがなさそう。

猿渡 バットマンやスーパーマンが登場する近年の作品群もそうですが、スーパーヒーローものがどんどんシリアスになっている傾向があると思います。なので自然と画面も暗くなる。そんな中、今回の「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」は何も考えずに楽しめそうですよね。もちろんジェームズ・ガンの主張が込められているとは思いますが、スタローンは「脳みそを玄関に置いて、ただ楽しめばいい」と言ってるんです。

よしひろ さすがサメ役のスタローン。言うことが違いますね(笑)。

左からポルカドットマン、ハーレイ・クイン、ブラッドスポート。

猿渡 去年の今頃、アメリカでは映画館が完全に閉まっていて、このまま永遠に開けることができないんじゃないかという話もあったんです。でももし映画館が残るとしたら、人が観に行くのはコメディとホラーだと言われていました。みんなで一緒に笑ったり、キャーキャー叫んだりしたいからです。アメリカの映画館が営業を再開し始めた今年、実際に大ヒットを記録しているのは「ゴジラvsコング」と「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」で、2作ともに何も考えずに楽しめる映画。ジェームズ・ガンの今作も頭を使わずに観ることができて、笑えること間違いなしなので、大ヒットすると思います。

ジェームズ・ガンが“カイジュウ”を描く!?

──SYOさんが巨大生物に言及していましたが、予告編では“カイジュウ”と叫ぶシーンがあります。

よしひろ ジェームズ・ガンは日本の特撮やカイジュウが大好きですもんね。来日したとき、ギレルモ・デル・トロのようなオタク感がありました。クリス・プラットを放っておいてフィギュアを見ていたから(笑)。

SYO まさかDCコミックスの映画でカイジュウが出てくるなんて思わないですよね。

よしひろ ジェームズ・ガンが自分の趣味でやってるとしか思えない(笑)。

猿渡 スーサイド・スクワッドのメンバーはカイジュウらしき巨大生物のいる島に乗り込んでいきますが、そこのビーチは映画のために作ったらしいですね。

よしひろ え、ロケじゃないの!?

猿渡 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」よりも予算が大きくて、ジェームズ・ガンが作ってきた映画でもっとも大掛かりみたいなんです。あるキャストが「海の撮影のシーンで、海に行かないんだ。この人(ガン)たち海を作っちゃったんだよ」って(笑)。

よしひろ まったく意味がわからないですね(笑)。

猿渡 予算の問題はないと思うので、彼が描きたいように描いたカイジュウがどんなものになっているのか、気になります。

よしひろ 予告ではちらっとしか見えないですが、全体像が見えたときに円谷(プロダクション)からの影響が感じ取れたりしたら「来たよ来たよ!」となりますね。

左からポルカドットマン、ピースメイカー、ブラッドスポート、ラットキャッチャー2。

SYO 島に行ってカイジュウと戦うって、80年代の映画のノリも感じるんですよね。僕は1987年生まれなのでリアルタイムで経験はできていないんですが、その時代のノリを追体験できるんじゃないかなと。上の世代の方たちからしたら懐かしいと思うんですが、僕らにとっては新しい。「金曜ロードショー」とかで放送されると盛り上がる映画と同じ空気を感じます。

よしひろ あたしたち世代が懐かしく感じる一方で、SYOさん世代が新鮮に感じるのは、たぶん音楽も。「ガーディアンズ」2作では、エモい場面で「これ来るよねー!」って曲がちゃんと入ってきて、「ベストヒットUSA」という感じがしました。若い世代にはそれが新しいんですよね。

SYO そうですね。ジェームズ・ガンという先輩から、映画を通して魅力的な音楽を教えてもらっている感覚はあります。

──僕も今年30歳の代ですが、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズを通して好きになった曲がいくつもあります。ところで、今回の座談会には映画をすでに観ているワーナー・ブラザースの方にも参加してもらいました。お三方の話を聞いて、いかがでしたか?

ワーナー担当者 皆さんの話をうなずきながら聞いていました。早く観てほしい!

よしひろ うなずいていたってことは、そんなに間違った方向ではしゃべっていなかったと思っていいでしょうか?

ワーナー担当者 皆さんの期待に沿った作品になっています。本当に脳みそを家に置いて楽しんだ感覚だったので、すごく的確な表現だなと思いました。

よしひろ スタローンの言ってることが正しいってことですね!


2021年8月6日更新