「結婚できないにはワケがある。」速水もこみち / 若月佑美 インタビュー|エリート課長×結婚を夢見る女×人形!?が織りなす不思議な三角関係

若月佑美 インタビュー

まりこの魅力は人間臭いところ

若月佑美
左からみちゅこ、速水もこみち演じる富澤光央、若月佑美演じる後藤まりこ。

──マンガをよく読まれるとお聞きしたのですが、原作はオファー前からご存じでしたか?

実は知らなかったんです。今回お話をいただいて初めて読んだのですが、すごく面白かったです! コメディ要素もたくさんあるんですが、それに寄りすぎず、恋愛に対する真剣なピュアさも描かれていて素敵でした。心の中ではダメだと思っていても、まりこが光央さんを責めてしまうようなシーンが出てきたり、とてもリアルな女性の葛藤があったのがよかったです。

──なるほど……! では、演じられたまりこについて教えてください。

彼女の魅力は人間臭いところです。とにかくまっすぐな部分もいい。昔から描いていた結婚の夢を叶えるために、料理教室に通う、裁縫ができるようになる、そしていい女になる……と努力していますから。ちなみにまりこは自分が悪いと思ったらそれを光央さんにしっかり伝える人なんですが、そこは自分と近いかもしれないですね。「今のはダメだ」と思ったらすぐに謝る。私も友達によくそうしてます……(笑)。

──そういう共通点が(笑)。まりこは“人間臭い”ということですが、今までにもそういった役に挑んだことはありましたか?

舞台「嫌われ松子の一生」の主人公・川尻松子は、人間臭すぎる役でしたね。人の欲にまみれ、周りが止めても言うことを聞かなかったり……。そう考えると、まりこのようにバランスのいい人は初めてです。欲だけで突っ走らず、理性でセーブして、「やりすぎた、戻ろう」と思える人なので。

まりこ役、光央役としての関係ができあがってきた

若月佑美

──では光央についても聞かせてください。

彼はとにかく優しいんです。みちゅこのことを大事にしてはいますが、まりこのことになると周りを見ずに突っ走ってくれる部分も。真摯で心がきれいです。そもそも物を大切にできる人ってとても素敵で……あ、みちゅこは物ではないですね(笑)。とにかく、撮影ごとにどんどん好きになっていくキャラクターです。

──光央を演じる速水さんはどんな方でしょう。

同じようにとても優しい方ですね。紳士ですし、いろいろと気遣ってくれるんです。「まりこ的には、今の光央の感じでやりにくくなかったですか?」と尋ねてくれたりと、ありがたい環境でやらせていただいています。撮影が進むにつれて、まりこ役、光央役としての関係もできあがってきて、テストや段取りで動きに悩んでいても、本番になるとスムーズにやり取りができるようになりました。

みちゅこファーストでやらせていただいてます!

左から速水もこみち演じる富澤光央、みちゅこ。
左から若月佑美、てちゅお。

──そんなお二人の間に存在するのがみちゅこですが……。

最初に見たときは「立体になるとこうなるのか」「厚みがあるし、足は長いんだ……」とちょっと驚きましたけど(笑)、日に日に愛着が湧いてきちゃってます。さっきも現場で遠くにみちゅこが見えたときに「あ、みちゅこだ」とつい口にした自分がいて。「今日はいないんだ」「そういえば出てないな」と思うようになってきて、光央さんの気持ちがわかってきました。

──現場でみちゅこはすごくかわいがられているといううわさです。

みちゅこファーストで楽しくやらせていただいてます! 制作スタッフさんが「みちゅこ、もう少しかわいく撮りたいですね」と真剣に画角を考えているのが客観的に見ると面白くて(笑)。照明さんも同じように考えてやられていますよ。

──本作には実はみちゅこだけではなく、今後“てちゅお”という人形も登場しますね。

そうなんです! そしてこのドラマの現場ならではのNGがありまして……。みちゅこ、てちゅお、てちゅおの持ち主である鉄子、光央さん、私での撮影シーンだったんですが、もう「てつこ」なのか「みちゅお」なのか「みつこ」なのか…とごちゃごちゃになってしまったんです。それで、光央さんのことを「鉄男さん」と呼んでしまって、誰だろう鉄男さんってなってNGになりました(笑)。この現場のトラップです。

私がまりこに戻れるのは速水さんのおかげです

──人形と持ち主の名前が似ているので難しいですね(笑)。ほかに印象に残っている撮影エピソードはありますか? 速水さんはオープニング映像について挙げていました。

若月佑美

私もオープニング映像での撮影エピソードがあります! 私が走っているシーンで鳩がバッと飛んでいると思うんですが、実はあれは偶然撮れたものなんです。道に鳩が急に集まってきて、奇跡のタイミングで飛んでくれたんですよ。

──そんな裏話が! ちなみに脚本を拝見したところ、まりこは通常の撮影のほかにモノローグ収録も多そうですね。

撮影時のセリフと同じくらいの量がありますね。モノローグが入るのは少女マンガ原作ならではの演出だと思いました。心の声が本当の気持ちだったりするので、大事にしたいです。監督とは「顔では笑っているけど内心は悲しいから、落としたトーンでいこうか」など、話し合いながら収録しています。ハイテンションなモノローグ部分も楽しくやっているので、画での顔芸も楽しみにしてください!

──では最後に速水さんへのメッセージをお願いします。速水さんからは「いつも助けられてるので本当に感謝しかない」とのお話がありました。

ありがたいです……。撮休の間にほかの現場に行っても、私がまりこに戻れるのは速水さんのおかげです。コメディの部分も吹っ切ってやってくださっているので付いて行こうと思わされますし、勉強になります。まりこは料理上手という役なので、速水さんの前でプレッシャーではありました(笑)。いつかプロのお料理を食べさせていただければうれしいです!

若月佑美(ワカツキユミ)
1994年6月27日生まれ、静岡県出身。2011年に乃木坂46の1期生として活動を開始し、2018年にグループを卒業した。2018年10月期ドラマ「今日から俺は!!」に出演したのち、女優・モデルとして幅広く活動中。主な参加ドラマに「父と息子の地下アイドル」「私の家政夫ナギサさん」「共演NG」、映画に「シグナル100」「ヲタクに恋は難しい」「今日から俺は!!劇場版」がある。雑誌Oggiでは美容専属モデルを務めているほか、オンラインサロン「未開発区域」の運営も行う。

2021年6月21日更新