エル・ファニングが主演を務める「ティーンスピリット」が、1月10日に全国公開される。
イギリスのワイト島を舞台とした本作は、移民として母子家庭で育った内気なヴァイオレット・ヴァレンスキを主人公とする青春ストーリー。彼女が歌手になる夢をつかむため、人気オーディション番組「ティーンスピリット」に挑むさまが描かれる。俳優のマックス・ミンゲラが監督・脚本を兼任し、同じく俳優であるジェイミー・ベルと、「ラ・ラ・ランド」のフレッド・バーガーがプロデューサー、マリウス・デ・ヴリーズが音楽プロデューサーとして参加した。
映画ナタリーでは歌手として活躍している青山テルマに本作を観賞してもらい、作品や洋楽ヒットソングぞろいの劇中曲の魅力、歌手として共感できるポイントなどを語ってもらった。
取材・文 / 秋葉萌実 撮影 / 曽我美芽
スタイリング / 入江陽子(TRON) ヘアメイク / 水流有沙(ADDICT_CASE)
パワフルで心つかまれる映画
──「ティーンスピリット」は音楽だけを心のよりどころとしている少女ヴァイオレットが、歌手になるためオーディションに挑む様子を描く物語です。歌手として活躍されている青山さんにひと足早くご覧いただきましたが、いかがでしたか?
画がおしゃれだし色合いも素敵で、1本の長いミュージックビデオを観たような感覚でした。映画に関する事前情報をあまり入れずに観たのですが、ヴァイオレットの葛藤がすごく伝わってくるし、ステージの上で歌っているシーンはパワフルで心をつかまれました。誘惑にかられてちょっとだけハメを外しちゃう場面もあるけど、それも含めて“アーティストらしさ”がうまく切り取られた映画だと思います。
──エル・ファニング演じるヴァイオレットは、自らの意思でチャンスを勝ち取った田舎の女の子です。青山さんご自身も歌手になるため努力し、チャンスが巡ってくるのを待っていた時期もあったかと思いますが、共感できたポイントはありますか?
自分を信じてくれて、誰かから反対を受けたとしても「君は素晴らしいよ」「いいじゃん!」と言ってくれる人の存在です。「夢がある」「ずっとこの場所にいたくない」という気持ちはきっと誰もが抱いたことがありますよね。何かに挑戦するときはつい怖くなってしまうけれど、そんなときに背中を押してくれる人が1人でもいたら一歩踏み出せる勇気を持てる。ヴァイオレットにとってそれは師であり、マネージャーでもある(ズラッコ・ブリッチ演じる)ヴラドでしたね。
──青山さんにとっては、どのような方がそういった存在なのでしょうか?
親や歌手のAIちゃんには、昔から元気や勇気をもらっています。身近にそういう人がいるのっていいですよね。夢を叶える過程で、誰かと喜びを共有することはすごく幸せな瞬間なんだなとこの作品を通して感じました。ヴァイオレットがどんどん人を巻き込んで夢の実現に近付いていく姿は素敵だったし、自分がなんでもない存在だったときに見つけてくれた人を大事にしたいなと改めて思います。同じ夢を一緒に追ってくれるスタッフや仲間は、歌手活動を続けるうえで一番大切です。
ノー・ダウトにアガった!
──劇中にはケイティ・ペリーやアリアナ・グランデといった人気洋楽アーティストのヒットソングがたくさん使われています。青山さんはお母様の影響で昔から洋楽が好きだったそうですが、劇中を彩る楽曲についてはどんな印象を抱きましたか。
かっこよかったです! 曲のチョイスがすごくいいし、どれも絶妙なタイミングで流れますよね。昔から好きだったり、聴いたことのあるアーティストの曲が多かったので映画をより楽しめました。洋楽にあまりなじみがない人が観ても、お気に入りの曲を見つけられるんじゃないかな。
──なるほど。特にテンションが上がった曲は?
ヴァイオレットが部屋で飛び跳ねるシーンで流れたノー・ダウトの「ジャスト・ア・ガール」! 世代的によく聴いていたのでイエーイ!ってなりました。あのシーンはアガったなあ。ヴァイオレットが、オーディションで初めて歌ったロビンの「ダンシング・オン・マイ・オウン」も好きです。
──ヴァイオレット役のエル・ファニングはもともと歌が好きだったそうで、本作へ出演するにあたって歌のトレーニングを3カ月間重ねたとのことです。
ちょっとハスキーで、特徴のある声が魅力的でした。くせも強すぎないので聴いていて心地よかったし、歌声がきれいで引き込まれます。アカペラで歌うところは、彼女本来の魅力が発揮されていますよね。生まれ変わったらこういう声になりたいな(笑)。
──(笑)。ヴァイオレットのパフォーマンスに、同じ歌手として刺激を受けたところはありますか。
彼女は歌が上手だしかわいいのに、最初は全然自信がなかったじゃないですか。私がこんなに美人だったら、いくつも続けてオーディション受けちゃうのに。でもオーディションの回を重ねるごとに自信を付けていって、自分を解放していく様子がパワフルでかっこよくて刺激を受けました。
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ファッションで自分らしさを手に入れる