映画ナタリー Power Push - 「シン・シティ 復讐の女神」

ロバート・ロドリゲス×フランク・ミラー “アンチヒーロー”な2人が組んだ究極のハードボイルド映画

第4章:繰り返し観たくなる「シン・シティ」製作秘話

モノクロ×パートカラーの「シン・シティ」の世界はどうやって生まれたのか? ミラー×ロドリゲスはその世界でどう遊んだのか? 映画がより面白くなる製作秘話をご紹介。

  • 「シン・シティ 復讐の女神」絵コンテ。
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RR この映画はハリウッドじゃなくテキサスのオースティンで作っている。撮影からVFX、音楽や録音、すべてをね。

FM そう、混じりっけなしの“メイド・イン・テキサス”(笑)。映画作りのプロセスすべてにロバートがちゃんと関わっている。

RR ほとんどがグリーンスクリーンとわずかなセットだけの撮影だから、その時間も短くていい。当然、役者の拘束時間も短くなって合理的だよ。1作目のときは、まだこのシステムが新しかったので役者たちも戸惑いがちだったが、最近はすっかり普及し、その経験が演技に余裕を持たせている。

劇中劇に登場するフランク・ミラー(左)とロバート・ロドリゲス(右)。

FM だから、私たちもすごく演出しやすくなったよ。このまますぐ3作目に突入してもいいくらいにスムーズにできたんだ。

RR 例えば、オレとフランクが出ているシーン。テレビでオンエアされている古い映画をナンシーが観ているというシチュエーションで、その映画の登場人物がオレたちなんだけど、撮影時間はほんの5分くらいだったんじゃないかな。

ジョニーが訪れるダイナーのウエイトレスとして出演するレディー・ガガ。

FM その辺にあった衣装を着て帽子を被り、休息時間を使って撮ったんだ。そう、わずか5分でね。

RR だから忙しいレディー・ガガにも声をかけられる。彼女はオレの前作「マチェーテ・キルズ」に出演してもらったから、またお願いしたんだけど、撮影はわずか数時間で終わったんだ。

ジョニーのケガの治療をするドラッグ中毒の医者を演じるクリストファー・ロイド。

FM クリストファー・ロイドもね。世間的には「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のドク役のイメージが強いようだけど、私たちにとって彼は「カッコーの巣の上で」の患者の1人。だからドクのイメージを打ち消すためにもこの映画に出てもらった。

RR その日は最高だった。午前中にクリストファー・ロイドに出演してもらい、夜はレディー・ガガだ。とてもぜいたくな映画のように思えたよ(笑)。

ロバート・ロドリゲス

ロバート・ロドリゲス

1968年6月20日、米テキサス州サンアントニオ生まれ。1992年に製作、監督、脚本などを手がけた低予算映画「エル・マリアッチ」がサンダンス映画祭観客賞ほか世界各国の映画祭で賞賛を受ける。1996年にはホラーアクション「フロム・ダスク・ティル・ドーン」で監督、編集、製作総指揮を担当。同作で脚本、主演を務めたクエンティン・タランティーノとは2007年に「グラインドハウス」を共作し、劇中のフェイク予告編がきっかけで生まれた「マチェーテ」「マチェーテ・キルズ」も監督した。そのほかの代表作は「デスペラード」「スパイキッズ」シリーズなど。現在、1960年代のテレビアニメ「科学少年J.Q」の実写映画化を進めている。

フランク・ミラー

フランク・ミラー

1957年1月27日、米メリーランド州生まれ。10代からプロのマンガ家として活躍し、ゴールド・キー、DC、マーベルなど大手出版社の作品を手がける。1986年に発表した「バットマン:ダークナイト・リターンズ」では年老いたバットマンを主人公にヒーローとは何かを問いかける物語を描き、ティム・バートンの監督作「バットマン」や、クリストファー・ノーランの「バットマン ビギンズ」に多大な影響を与えた。1998年に発表した「300<スリーハンドレッド>」はザック・スナイダーによって映画化され、ミラーも製作総指揮を務めている。2005年には自身の原作を映画化した「シン・シティ」で初の長編映画監督デビューを飾った。

キャスト陣が語る、ロドリゲス&ミラーのアウトローな魅力

ジェシカ・アルバ

ロバートとフランクがいかにクールかは、この映画が証明していると思うわ。誰も創ったことのない映画を、ハリウッドから遠く離れた場所で、自分たちのルールで作る。その手助けができたことは、間違いなく私の誇りになっているの。

──ジェシカ・アルバ

ジョセフ・ゴードン=レヴィット

この映画で演技するということは、フランクの頭の中に入るってことなんだ。空は真っ黒で雪は真っ白、血は真っ赤な現実とはまったく違う世界。そのグラフィカルな世界でフランクとロバートが創造した、とことんハードボイルドな男になる。役者として、こんな経験はめったにないと思うよ。

──ジョセフ・ゴードン=レヴィット

エヴァ・グリーン

私にはヌードのシーンがあった。その撮影の前、ロバートは私のトレーラー(控え室)に来て「必ず君を最高に美しく撮るから、オレを信頼してくれ」って言ったの。本当にうれしかった。なぜって、みんなの前で裸でいるのはすごく情けなくってナーバスになるからよ。ロバートはそういう私の気持ちをちゃんと理解してくれていたの。

──エヴァ・グリーン

ジョシュ・ブローリン

オレは30年間、役者をやってきたけれど、その中でこれは“出演して本当によかった”と思える数少ない作品の1本なんだ。とてもダークで、驚くほどセクシー。そして、とてつもなくチャレンジング! そういう映画の一員になれるのは最高の気分だよ。

──ジョシュ・ブローリン

「シン・シティ 復讐の女神」
「シン・シティ 復讐の女神」

フランク・ミラーのグラフィックノベルを、ロバート・ロドリゲスとミラーの共同監督で実写化した「シン・シティ」の続編。原作で人気の高いエピソード2話と、新たに書き下ろした2話で構成される復讐劇を疾走感あふれるアクションと共に描く。前作と同じく全編グリーンスクリーンで撮影され、光と影を印象的に使った映像を生み出している。

シン・シティのストリップバーで働くナンシーは、自分をかばって命を落とした刑事ハーティガンへの思いを断ち切れずにいた。その元凶ともいえる男が、街の権力者ロアーク。ナンシーはロアークが店を訪れるたびに復讐の機会をうかがっていたが……。

監督・撮影・編集:ロバート・ロドリゲス

監督・原作・脚本:フランク・ミラー

出演:ミッキー・ローク、ジェシカ・アルバ、ジョシュ・ブローリン、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、エヴァ・グリーン、ロザリオ・ドーソン、ブルース・ウィリス、レディー・ガガ、クリストファー・ロイドほか

Blu-ray / DVD「シン・シティ 復讐の女神」2015年7月2日発売 / ハピネット
コレクターズ・エディション 3D&2Dブルーレイセット[Blu-ray Disc2枚組] 6696円 / BIXF-0167
コレクターズ・エディション[Blu-ray Disc] 5184円 / BIXF-0168
コレクターズ・エディション[DVD] 4212円 / BIBF-2805
初回限定特典
  • アウタースリーブケース / ブックレット(12P)
特典映像
  • グリーンスクリーン本編ハイスピード映像 / キャラクタープロフィール / グレッグ・ニコテロの特殊メイク効果解説 / ジェフ・ダッシュノーのスタント解説 / コミコン(SDCC)2014 パネルディスカッション