「主夫メゾン」結木滉星 / 稲葉友 / 奥野壮 / 磯村勇斗 / 瀬戸利樹インタビュー|家族も夫婦も形はそれぞれ、主夫業を通してさらに成長した“ヒーロー”たち

稲葉友インタビュー

ラーメンを作る姿をハイスピードカメラで撮影

稲葉友

──稲葉さんの演じたベテラン主夫・小宮謙太郎は、5人の中で一番理想的なパートナーに見えました。マンガ家の妻を気遣いながら、娘の面倒も見て、性格も優しいし元シェフということもあって料理上手です。

理想的に見えたのならうれしいです。でも“理想の相手”を意識したわけではなく。謙太郎がメインの第2話は、夫婦間のギスギスや衝突が描かれるわけではないので、それもあって一見問題がなさそうに見えるのかもしれません。

──確かに夫婦喧嘩のような事件が起きるわけではなく、主夫業をまっとうするがゆえの自己実現ややりがいへの疑問という、内省的な問題を抱えていました。

演じるうえでは、あくまで凹みすぎないということに気を付けました。落ち込みすぎないというか。家族を支える中で「この人のためにこんなにしたのに」とか「なんでうまくいかないんだ」ときっと思うこともあるのかもしれないですが、その感情をピックアップしすぎるのは謙太郎ではないなと思って。

「主夫メゾン」第2話より、小野寺ずる演じる小宮優(左)と稲葉友演じる小宮謙太郎(中央)。

──一見すると「妻に頭の上がらない夫」というようにも見えますが、そうではなく謙太郎が専業主夫という仕事に誇りを持っているのも伝わりました。

象徴的なのは最初に謙太郎がラーメンを作るシーンですね。帰宅途中の妻から「ラーメン食べたい」と連絡が入って、そこから時間を計算して大慌てで作るという。あれは怒られるから急いでるわけじゃなくて、帰ってきた妻にちょうどいいタイミングでラーメンを出してあげたいという謙太郎の強い気持ち。「もう少しでできるから、ちょっと待ってて」じゃ自分に納得できないのが謙太郎らしさなんです。撮影自体は、ラーメンを作る様子をハイスピードカメラで撮るのが大変で。めちゃめちゃ時間掛かりました(笑)。

「こういう形もありだよね」と感じられる

稲葉友

──本作の出演を通して“主夫”に対するイメージは変わりましたか?

やっぱりまだ偏見はあるのかもしれないと思います、正直。僕自身も誰かに「専業主夫です」と言われたら少しびっくりしたリアクションをしちゃうかもと思っていました。でもこの作品を通ったことで「それもあるよね」という認識が自分の中に落とし込まれたなと。ドラマを観てくださる方々も、いろいろな家族やカップルがいる中で「こういう形もありだよね」と感じられるはずです。

──稲葉さんはドラマの情報解禁の際、コメントに「時代だなぁ!」と書かれていましたね。

それは本当に思いました。専業主夫を題材とした近しいドラマは過去にもありましたが、「主夫メゾン」は雰囲気の柔らかさも含めて時流という印象です。さっき「まだ偏見はあるかも」と言いましたが、だからこそこういうドラマが生まれるのであって。「主夫メゾン」というタイトルの作品が企画に上がり、完成に至っているのはいいことだと思います。やることに意義があると言いますか。「こんな男性いたらいいな」ではなく、「それぞれのパートナーを大事に思えるといいよね」という作品なので。

「主夫メゾン」第2話より、左から結木滉星演じる神谷リク、稲葉友演じる小宮謙太郎。

──ちなみにサウナのシーンでは、プライベートでもサウナ仲間の磯村勇斗さんとも共演されましたね。オッと思うファンも多いのでは?

そこに反応してもらえるのはうれしいですね。サウナハットを被って撮影したんですけど、実は僕の私物で。磯村がフィンランドに行ったときにお土産で買って来てくれたものなんです。だから僕と磯村とあのサウナハットが1つの画角に収まった瞬間はグッと来ました(笑)。

稲葉's 家事のお供

稲葉友

圧倒的にラジオです。掃除や洗濯をするときはイヤフォンで聴いて、料理中はスピーカーで流しながら。情報量がちょうどいいんですよ。そのとき放送している番組を聴くこともあるし、タイムフリー機能で深夜ラジオを昼間に聴いたり。ほかにも落語講談など目を持っていかれないコンテンツをお供にします。

衣装協力:NAIGAI(稲葉友)

稲葉友(イナバユウ)
1993年1月12日生まれ、神奈川県出身。2010年、ドラマ「クローン ベイビー」で俳優デビューを飾る。2014年より特撮ドラマ「仮面ライダードライブ」に詩島剛 / 仮面ライダーマッハ役で出演。近年の主な作品に、ドラマ「平成ばしる」「磯野家の人々~20年後のサザエさん~」「病院の治しかた〜ドクター有原の挑戦〜」、映画「私の人生なのに」「春待つ僕ら」「シライサン」「ホテルローヤル」、舞台「エダニク」などがある。現在放送中のテレビ東京系列のドラマ24「バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~」に出演しているほか、BS時代劇「小吉の女房2」が4月よりNHK BSプレミアム、NHK BS4Kで放送される。またJ-WAVE「ALL GOOD FRIDAY」でナビゲーターを務めており、NHK Eテレ「テレビで中国語」にレギュラー出演中。

奥野壮インタビュー

「結婚かあ……」と考えたりしました

奥野壮

──皆さん、劇中では左手の薬指に指輪をはめていますね。

最初は慣れなかったというか、現実味がなかったです。撮影していく中で徐々に「結婚かあ……」みたいに考え出したりして(笑)。今まで一度も考えたことなかったですけど、なんかいいなあと素直に思えました。

──奥野さんが演じた白木波瑠は、妻の提案で“主夫動画”を配信していて、“バズる”ことへの重圧など悩みのタネも現代っぽいなあと思いました。2人は動画配信者として人気者になりますが、ビジネスパートナーのような関係になり、夫婦としてはすれ違っていくさまがもどかしかったです。

ビジネスの関係でもうまくいく夫婦もたくさんいると思いますが、波瑠は自分を押し殺してしまったのが亀裂につながったんだと感じました。だんだん彼女が仕事のことしか話さなくなったり、作ったごはんを食べてくれなくなるのは、演じていても切なかったです。

──2人のようにすれ違いが生じてしまった人たちの関係性を修復するには、何が大事だと思いますか?

「主夫メゾン」第3話より、奥野壮演じる白木波瑠(左)と咲妃みゆ演じる白木マリ(右)。

そこは愛じゃないですか? 夫婦に限らず、相手を好きな気持ちがないと向き合えないので。波瑠も“言いなりチューバー”と紹介されていますが、夫婦間に愛がないわけじゃなくて、好きな気持ちはずっと変わっていないことを意識しました。それに、ある程度の我慢も必要だと思います。嫌な我慢じゃなくて、いい我慢。相手を思いやって、自分がしてもいいと思える範囲で譲歩するのも必要なんだと思いました。

──波瑠がものすごい格好をさせられる場面もありますが、いい我慢と嫌な我慢の加減が難しいですね……。

あれはあれで楽しかったですよ、僕は(笑)。絶対しないような格好なので新鮮な気持ちで撮影できました。恥ずかしいですけど、これやる人いないっしょ!みたいな感じで。

僕は全然「主夫メゾン」じゃない(笑)

──特撮枠出身の方々がそろうメインキャストの1人に選ばれて、いかがですか?

素直にうれしかったです。少しだけ共演したことがある方もいますが、違う現場でまたこうして一緒にお仕事できるのはありがたいですし、その中の1話分を自分に任せてもらえることも感謝しています。

奥野壮

──「仮面ライダージオウ」の奥野さんと「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」の結木さんは半年ほど放送期間が被っていて、ちょうど同じ時期を駆け抜けた仲間ですね。サウナのシーンで何かお話しされましたか?

「サウナよく行くんですか?」「行くよー」みたいな会話ぐらいですよ(笑)。でも2人のやり取りはだいぶ面白くなったと思います。ラブコメの“コメディ”の部分なので。

──お二人のシーンはクスッとしました。そう言えば奥野さんは、一人暮らしであまり困った経験がないそうですね。しっかりされていて家事も行き届いているのでしょうか?

あー、それは逆です。家事もまったく得意ではないです。でも別にそれで困ることもない、という意味です(笑)。面倒くさがりで、ごはんもパッと外食で済ませちゃいますし。……僕、全然「主夫メゾン」じゃない回答をしていますね。専業主夫にはなれなさそうです。

──専業主夫の家庭もあれば、そうでない家庭もあるので。

いろいろな夫婦やカップルがいますからね。でもがんばって修行したいと思います。……なるべく!

奥野's 家事のお供

奥野壮

ないです(笑)。基本面倒くさがりなので。洗濯とか掃除もギリギリにならないとできないので、やらなきゃいけない環境になれば家事をします。あとは洗剤とか必要最低限のものを使ってやるだけです(笑)。

衣装協力:Apron Story(奥野壮)

奥野壮(オクノソウ)
2000年8月21日生まれ、大阪府出身。男性エンタテインメント集団“男劇団 青山表参道X”のメンバー。2017年に第30回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでフォトジェニック賞と明色美顔ボーイ賞をダブル受賞した。2018年から放送された「仮面ライダージオウ」で主人公・常磐ソウゴ / 仮面ライダージオウ役を務め、ドラマ「ピーナッツバターサンドウィッチ」、映画「私がモテてどうすんだ」などに出演。「劇場版ポルノグラファー〜プレイバック〜」が2月26日に全国公開。