「プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第1章」特集 第3回 監督×脚本家対談 橘正紀×木村暢|劇場版では何が観られる?監督と脚本家が語る「プリプリ」の展望

テレビシリーズのその後を描くことを決めました

──テレビシリーズ制作時から続編として劇場版を作る構想はあったのでしょうか?

テレビシリーズ「プリンセス・プリンシパル」第12話より。

 やり残したことはあったけど、テレビシリーズでいったん完結はしたんですよ。そのあとに「続編を作ろう。内容はどうしようか?」という相談が湯川さんからありました。それで「もう1回テレビシリーズをやるのは体力的につらいよね」「じゃあ劇場版シリーズにしようか」という流れで劇場版が作られることになりました。内容としては、テレビシリーズのその後を描く続編となることを主要メンバーで決めました。

──すでに脚本は6章までできあがっているのでしょうか?

木村 いや、ちょうどシリーズ中盤の作業をしているところです。

 テレビシリーズは20分のお話で、しかもシャッフルさせていたのでエピソードごとにきっちりひと区切りしていたんですよね。でも今回は1時間の話が続いて大きな物語になる。だからどこでどういう情報を出すかといったコントロールや、中だるみさせない工夫に難しさを感じながら作っています。

チーム白鳩の日常話やフランキーが入る余地はあるか!?

──ちなみにこの特集連載の第1回でメインキャスト5人に話を聞いたところ、「チーム白鳩の日常も観たい」という話が出ていました。そういった話が入る余地はありますか?

木村 うーん(笑)。

 みんなでいろいろとやりたい話は出ているんですよ。「あいつ出したい」「これやりたい」なんて。でも主軸でやらなきゃいけない話が多すぎて、なかなか脱線できなくて頭を悩ませているところですね。今後どうなるかはまだなんとも言えませんが……。

木村 硬軟入り混じっていたのが「プリンセス・プリンシパル」らしいところなので、個人的には観てみたいですけどね。監督がよくおっしゃる「フランキーを出したい」というオーダーにもなんとか応えたいけど、なかなか難しい。一応アイデアは出すものの、話し合ううちに「難しいですね」となっちゃうんですよ。

テレビシリーズ「プリンセス・プリンシパル」第6話より、フランキー。

──フランキーというと、テレビシリーズで少しだけ出てきたオネエな広川太一郎調の借金取りですか。確かに彼が出てくる話で全体の1/6を使うのは悩ましいですね。

木村 お客さんが怒って帰っちゃうんじゃないでしょうか(笑)。

──最近の映画だと本編の前にちょっとしたおまけを入れることもあります。

 そういったことができればいいんですけどね。ただ本編については、とにかくメインシナリオのボリュームが増えていって全6章の尺の中に収まるかな……という感じです。

──6章ではどんな物語が描かれるかが気になります。それでは最後に第1章の見どころを教えてください。

「プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第1章」より、アンジェ。

木村 自分は「プリンセス・プリンシパル」はアンジェをいかにピンチに陥れるかが重要だと思っていたので、今回の敵となる人物には注目してほしいですね。

──チーム白鳩に指示を出すコントロールの命令で接触することになるのが、王国に送り込んでいるスパイのビショップでしたね。

木村 はい。彼には僕らおじさんたちの熱い人生観が詰まっていますよ。

 確かにそうですね。僕はチーム白鳩の面々もそうですが、その周辺のキャラクターもしっかり観てほしいです。今回は王位継承の話や、チーム白鳩の今後なんかにも触れます。テレビシリーズと同じく、うまくバランスを取って進めていきたいですね。


2021年2月4日更新