作品単体で成立しつつ、シリーズファン向けのシーンにテンションが上がる!
──過去作を観ていなくても楽しめる映画だとは思うのですが、シリーズを踏襲していると感じた部分はありましたか?
キャラクターの描き方が粋なところですかね。日本の作品で言うと「ルパン三世」が近いと思うんですけど、ふとしたときにシャレの効いたやり取りが差し込まれることで、それまで描かれていなかったキャラクターの一面が見えたりする。ストーリーが進むにつれて登場人物1人ひとりの個性がわかってきて、それがどう物語に影響を及ぼすのかを考えながらワクワクしていました。
──なるほど。
あと“オーシャンズ”の魅力って、どう作戦を立てるのかっていう準備段階の積み上げだと思うんです。このポジションにはこの人をっていうチームメンバーの集め方は、古い作品に例えるならば「七人の侍」みたいですよね(笑)。今作でも準備段階にしっかりと尺が割かれているのがよかったです。
──KOOさんは自叙伝「EZ DO LIFE!」で、25箇条の“KOO訓”の1つに「成功するための準備は200%必要」を挙げていますよね。予習を欠かさないことでも知られているので、チームメンバーが徹底した準備をするところには共感していただけると思っていました。
はははは(笑)。僕は、100%準備をしても成功確率は3割程度だと思っていて。だから200%の準備をする必要があると考えています。でも今作でのオーシャンズは300%いってたかもしれない(笑)。サンドラ・ブロック演じるデビーは刑務所に入っている5年間、ずっと計画をシミュレーションしていましたよね。チームとして予想外のことが起きたとき、それを覆す手が必ず出てくるというのも、周到に準備を行っている証拠だと思います。そして、最後の最後のだまし合い。スカッとする爽快感がありました。
──過去作に出ているあるキャラクターが登場するシーンもありますが、やっぱりファンとしてはうれしいものですか?
あの場面はテンションが上がりましたねー! ゴジラの相棒としてアンギラスが出てくるみたいな(笑)。単体でも完全に成立している作品ではあるんですけど、ああいうシーンがあるとシリーズ通してのファンのことも忘れていないんだなって気がして。
大人になったから司令塔をやってみたい(笑)
──チームメンバーの中でお気に入りのキャラクターはいますか?
女優としてサンドラ・ブロックが大好きですし、やっぱりデビーですかね。最近、彼女が出ている作品を観ていなかったんですけど、今作での深みのある表情や立ち振る舞いは新鮮でした。キャラクターとしてもすごく男前ですし。
──男前と言うと?
デビーが刑務所から仮出所したあと、ケイト・ブランシェット演じる相棒のルーと再会するじゃないですか。そのときに「会いたかったわ!」ってしっとりした感じにはならないんですよね。あくまでクールに話すしぐさが男前だなあと。
──なるほど。ちなみにKOOさん自身がチームメンバーになるとしたら、どんな役割を担いたいですか?
機械いじりが好きなこともあって、“オーシャンズ”を観始めた頃はテクノロジーを駆使してセキュリティに侵入するようなハッカーのポジションに憧れていたんです。でも最近は大人になったからかな、心理面で作戦を立てていくことに興味があって。こういう状況になったら誰々がこのタイミングでこうしよう、というのをシミュレーションする立場。なのでデビーのポジションをやってみたいです。
──司令塔の立場ですね。
司令塔やってみたい!(笑)
クールかつチャラさをまったく感じない音がカッコいい!
──それでは劇中音楽の印象も聞かせてください。
よかったですねえ。この2018年に、オールドなR&Bサウンドを使っているのがカッコよくて。全体を通して荒削りな感じが、女性の中の男気を表現しているような気がしましたね。たぶん今風のEDMやトラップの音楽を使用していたらもっと軽くなってしまって、大人の雰囲気は出なかったと思うんです。黒と濃い赤を基調にしたポスターの色合いにもマッチしてますし。
──確かに大人っぽいクールなサウンドが使用されています。
クールかつチャラさをまったく感じない音ですよね。最初にドラムの音を聴いたときに「今回はこういう音できたか!」と思って。一貫してサウンドがその方向性でしたし、最後には1960、70年代の演奏音が使用されていて気持ちよかったです。
──具体的にどの部分が気持ちのいい音だったんでしょうか?
ファズっていうロックのギター奏法の音が入っていたんですよ。「今回はこういう音でいくぜ!」っていう作り手側の揺るぎない意識を感じました。
──過去作の音楽と比べてみて、印象に変化はありました?
「オーシャンズ11」「オーシャンズ12」では明るいギターのカッティングが多かった印象がありますね。それがポップな雰囲気を醸し出していたと思います。でも今回はポップじゃなくて、ブルージーな音になっていました。
女性たちによる強奪作戦の美しさと恐ろしさを楽しめる
──「オーシャンズ11」から「オーシャンズ13」と3作品が製作されたように、「オーシャンズ8」も直接的な続編が作られる可能性を秘めていると思います。次作があるとしたら、このチームのどんな活躍が見たいでしょうか?
次は争奪戦を繰り広げてほしいですね! 女性だけのドリームチームが結成されたので、男性チームと競い合うようなバトルが見たい。
──どちらのチームが盗むのか?みたいなストーリーは面白そうですね。
それに「オーシャンズ8」では女性の男気がカッコよく、ターゲットのアンのお色気もよかった。これだけ美しい女性がそろっているので、次回作ではみんなの女気も見てみたいですよね。
──何か盗んでほしいものはありますか?
宇宙と関係のあるものを盗んでほしいです。人工衛星とかロケットとか。今回はヒューマンパワーがメインだったので、次はハイテクを駆使した強奪計画も面白いんじゃないかと。
──なるほど。では最後に「オーシャンズ」シリーズを観たことがない人に対して、本作の魅力を伝えていただけますか。
女性たちによる強奪作戦の美しさと恐ろしさを同時に楽しめますよ(笑)。終盤の展開も、もしチームのキャラクターが男だったらこうはなっていないんじゃないか、と思えるものになっています。計画の準備段階、宝石の盗み方、それを持ち出す過程の3要素にドキドキできますし、そのあとのだましの連続でさらに驚かせてくれるところに、「オーシャンズ」ならではの魅力を感じました。そういう意味で「オーシャンズ8」は男性も女性も楽しめる映画になっています。
- 「オーシャンズ8」
- 2018年8月10日(金)全国ロードショー
- ストーリー
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かつて“オーシャンズ”を率いた伝説の強盗ダニー・オーシャンを兄に持つデビー・オーシャンが、5年の刑期を終えて仮出所を果たした。生粋の強盗ファミリーの一員である彼女は出所して早々、刑務所で考え抜いたプランを実行に移すべく仲間集めを始める。デビーたちが狙うのは、世界最大のファッションの祭典・メットガラにて、あるハリウッド女優が身に着ける1億5000万ドルの宝石。防犯カメラが網の目のように張り巡らされ、祭典自体が世界中に生配信される中、犯罪ドリームチームによる前代未聞の型破りな強奪計画は果たして成功するのか!?
- スタッフ / キャスト
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監督:ゲイリー・ロス
製作:スティーヴン・ソダーバーグ、スーザン・イーキンス
出演:サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ、ミンディ・カリング、サラ・ポールソン、オークワフィナ、リアーナ、ヘレナ・ボナム=カーター
©2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
- DJ KOO(ディージェイコー)
- 1961年8月8日生まれ、東京都出身。トータルのCDセールスが2100万枚を超えるダンス&ボーカルグループ、TRFのリーダーを務めるサウンドクリエイター。「触れ合う人々をエネルギッシュに! 元気に! 笑顔に!」をモットーに幅広い分野で活動している。