篠田麻里子が語る縦型ショートドラマ「元カレ図鑑」の魅力とは?「“筋肉バカ彼氏”は、クスッと笑えて、最後はキュンとする」

篠田麻里子らが出演する縦型ショートドラマコンテンツ「元カレ図鑑」がTikTok、Instagram、YouTubeショートなどで順次配信されている。1話数分の本作では「筋肉バカ彼氏」「言葉が全部AIな彼氏」「やりすぎペアルック彼氏」など元カレにまつわるショートストーリーをオムニバス形式で展開。ダンスボーカルユニット超特急の髙松アロハ、ONE N' ONLYの草川直弥らが彼女を幻滅させたり、個性的な魅力でキュンとさせてしまう彼氏たちを演じている。

映画ナタリーでは本作の配信を記念し、「筋肉バカ彼氏」「ふるさと納税の返礼品でプロポーズする彼氏」「優しい彼氏の言葉はAI!?」で主演を務めた篠田にインタビューを実施。「元カレ図鑑」の魅力や、ショートドラマならではの面白さ、映画やテレビドラマとの違いを聞いた。またお気に入りのショートコンテンツについても語ってもらっている。

取材・文 / 金子恭未子撮影 / 梁瀬玉実

縦型ショートドラマ「元カレ図鑑」予告編

私たちは普通のカップルです(笑)

──近年、縦型のショートドラマが人気を集めていますが、篠田さんはそれを実感することはありますか?

ありますね。TikTokやInstagramを見ているとショートドラマが流れてくるので私も普段から観ているんです。その中でもクスッと笑えるコントのようなものが大好きで、それこそ「元カレ図鑑」と同じauプロデュースの「本日も絶体絶命。」も観ていました。縦型のコンテンツもいろいろなものがあると思うんですが、私は映像のきれいさや、撮り方で観るかどうか決めることが多くて。「本日も絶体絶命。」はそういった部分のクオリティも高くて、テンポもすごくいいですし、一瞬で笑えるので好きなんです。

──縦型で撮影するドラマに出演するのは今回が初めてということですが、「本日も絶体絶命。」と同じ制作チームということがオファーを受ける決め手の1つになったんでしょうか?

実は撮影中に知ったんです(笑)。「めちゃくちゃ好きなショートコンテンツがあって、『本日も絶体絶命。』っていうんですけど」って話していたら、「元カレ図鑑」と同じチームでした。

篠田麻里子

篠田麻里子

──篠田さんが出演された「元カレ図鑑」の一編「筋肉バカ彼氏」では、デートに鶏肉だけのお弁当を持参したり、彼女そっちのけでプロテインシェイカーを振る“筋肉バカ彼氏”とその彼女のやり取りが描かれます。短いストーリーの中に笑える箇所がちりばめられている印象を受けました。

演じていても面白かったです。実際こんな彼氏がいたら嫌だなと思いつつ、クスッと笑えて、最後はキュンとするというか。ストーリーがしっかりしているので、面白いだけじゃないクオリティの高いドラマ。いろんな感情が楽しめる作品になっていると思います。

「筋肉バカ彼氏」より、左から松下雄一郎演じる坂本達也、篠田麻里子演じる関口聡美

「筋肉バカ彼氏」より、左から松下雄一郎演じる坂本達也、篠田麻里子演じる関口聡美

「筋肉バカ彼氏」場面写真

「筋肉バカ彼氏」場面写真

──短い物語の中でキャラクターを作る難しさはありましたか?

“筋肉バカ彼氏”というキャラクターができあがっているので、私がキャラクターを作り込む必要はあまりないかなと思っていたんです。笑わせようという感じではなく、真面目にマッチョ彼氏なんですよ。たぶん、はたから見れば2人のやり取りは笑えると思うんですけど、私たちは普通のカップルです(笑)。

──なるほど(笑)。

本物のカップルのように成立させることが大事な気がして。笑わせようとするよりも、そのほうが面白いものになると思ったんです。“筋肉バカ彼氏”を演じた松下雄一郎さんはドラマのためにたくさん準備されていて、「昨日、脱毛に行ってきました!」「歯医者にも行ってきました!」って、映像に懸ける思いがすごくて。お肌ツルツルで撮影に臨んでいらっしゃいます(笑)。縦型なので、携帯で撮影するのかなと思っていたんですが、本格的なカメラ3台で撮影しているので、映像もとにかくきれいなんです。だからこそ、脱毛したり、気にされているんだなと思いました。

──篠田さんは「元カレ図鑑」に出演するにあたってどんな準備をされましたか?

縦型のドラマはアップのお芝居が多いので実際に携帯で撮ってもらって、表情の練習をしてみたり、どういうふうに映るのか確認したり。意外とオーバーなほうがショートドラマには合うのかな?とか、いろいろ研究しました。舞台だったら小さく演じるとお客さんに伝わらないですけど、逆に映画だと大きくやると合わなくなってしまう。縦型のショートドラマにはどういうお芝居が合うのか、いろんな作品を観て勉強しました。

篠田麻里子

篠田麻里子

面白い元カレがたくさん登場する

──「元カレ図鑑」の脚本を拝見して、こんな彼氏がいたら自分ならどうするだろう?と視聴者が想像する楽しみのあるドラマだと感じました。

そうですよね。私も周りに筋肉彼氏はいなかったんですけど、演じることで体験することができました(笑)。「筋肉彼氏めちゃくちゃいい!」っていう人もいるんじゃないかな。このドラマのファンが増えて、「こんな彼氏いるんだ!?」とか「私の元カレもこうだった!」みたいにみんなで盛り上がれたら楽しいなと思います。「筋肉バカ彼氏」以外にも、「プレゼントがふるさと納税の返礼品の彼氏」だったり、「言葉が全部AIな彼氏」だったり、現実にもいそうだなという絶妙に面白い元カレがたくさん登場します。私のマネージャーさんが、なんでもChatGPTに聞く人なので、身近にもいるっ!と思いました(笑)。

──(笑)

「優しい彼氏の言葉はAI!?」より、篠田麻里子演じる相良日菜

「優しい彼氏の言葉はAI!?」より、篠田麻里子演じる相良日菜

「優しい彼氏の言葉はAI!?」より、髙松アロハ演じる町田俊基

「優しい彼氏の言葉はAI!?」より、髙松アロハ演じる町田俊基

「レンタルから本命になろうとする彼氏」も面白そうですし、「小六から付き合ってるカップル」も気になります。

(ドラマスタッフ) 「小六から付き合ってるカップル」は高校生なんですけど、あうんの呼吸で、熟年夫婦のような雰囲気を醸し出しているんですよ。最後は、ほっこりする作品です!

ほっこり系もあるんですね。

──気になるタイトルの作品だらけだなと思います。

ショートドラマのタイトルやサムネイルは、興味を持ってもらうためにすごく大切なのかなと思います。物語の序盤も大事で、開始何秒かでストーリーが急展開することもありますよね? あまりそういう作品に携わったことがなかったので、難しさもありますけど、演じていて楽しいです。

篠田麻里子

篠田麻里子

この作品がショートドラマと出会うきっかけになってくれたらうれしい

──篠田さんはこれまで数多くのテレビドラマや映画に出演されていますが、「元カレ図鑑」に参加して感じた違いや、縦型ショートドラマならではの難しさはありますか?

映画だったら、登場人物がただそこに存在しているだけで画になることもありますけど、ショートドラマでそれをやると、何も物語が進まずに終わってしまう。だから“間”の取り方は難しいなと思いました。物語のスピード感も違うので、いつもより間を取りすぎないほうがいいのかな?とか、このペースでやっていて収まるんだろうか?とか考えながら演じていました。あとは、空間の使い方も違いますよね。複数の登場人物を撮る場合、横型だと撮れても、縦型で同じように撮ろうとすると入らなかったり。普通ならめちゃくちゃ近いなと感じる距離感が、縦型の映像で観たときに違和感のないものになるので、新鮮でした。

──縦型ショートドラマならではの面白さはどんなところに感じましたか?

演じる際に強弱を大きく付けられるのはショートドラマの魅力だなと思います。淡々と演じていると淡々と終わってしまうので、メリハリやテンポが大事。そういう意味ではコントとか舞台に近い面白さを感じました。

篠田麻里子

篠田麻里子

篠田麻里子

篠田麻里子

──「元カレ図鑑」で初めてショートドラマに触れて、ハマる人も少なくないのではないかと思います。

この作品がショートドラマと出会うきっかけになってくれたらうれしいです。最近は、時間がなくてあまりドラマをじっくり観ることができない人も増えていると思うんですが、「元カレ図鑑」は一生懸命観ようとしなくても、寝る前にちょっと観てみたり、何かの合間に観たり、“ながら観”で楽しめる作品です。テーマも身近に感じてもらえるもので、今後もいろんなジャンルの元カレが登場する。1度観始めると癖になると思います!

篠田麻里子

篠田麻里子

プロフィール

篠田麻里子(シノダマリコ)

1986年3月11日生まれ、福岡県出身。2006年にアイドルグループ・AKB48のメンバーとして活動をスタートして以降、モデル、俳優など多岐にわたるジャンルで活躍し、2013年にグループを卒業。主な出演作にスクリーンデビュー作となった「犬とあなたの物語 いぬのえいが」や、映画「リアル鬼ごっこ」「テラフォーマーズ」「ギャングース」「BLUE FIGHT ~蒼き若者たちのブレイキングダウン~」、ドラマ「ミストレス~女たちの秘密~」「鷹からマリコ 野球も私も“裏”がある」「クロステイル ~探偵教室~」「離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―」「潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官」などがある。