「人はなぜラブレターを書くのか」綾瀬はるかインタビュー | 生きていること自体が“ラブレター”「誰かを想って生きることってすごく素敵」 (2/2)

“人はなぜラブレターを書くのか”という問いの答え

──本作のタイトルは「人はなぜラブレターを書くのか」。“人はなぜラブレターを書くのか”という問いの答えを、綾瀬さんはどのように考えていますか?

これは本当に難しいなと思っていて。主題歌「エルダーフラワー」を歌ってくださったOfficial髭男dismの藤原聡さんと対談させていただいた際に、藤原さんが「想いがあふれたから書く」とおっしゃっていて素敵だなと思いました。私は……この映画を観て、ナズナも含めて登場人物全員が誰かを想って生きている、その姿そのものがラブレターなんじゃないかなと思いました。

──素敵な考えですね。

この映画って、その人の生きている姿が、必ず誰かに影響していますよね。それがラブレターなんだなって。私自身で言うと、母が生きている姿を見ているだけで、母の生きざまを見せてもらっていること自体が、母からのラブレターだなって思ったりしました。

綾瀬はるか

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──ちなみに、綾瀬さんはラブレターに限らずお手紙はよく書かれます?

たまに書きます。お誕生日とか、あとは……誰かが寝込んでいるときとか。

──お誕生日や寝込んでいる誰かへの言葉ということは、メールやSNSなどで連絡できる間柄だと思うのですが、あえて手紙にするのはどうしてですか?

確かに。なんでだろう。メールやSNSって、手軽だし早く届けられる、早く読めるという素晴らしさがあると思うんですけど、手紙は手軽ではない分、想いがより乗るような気がして。

──手軽じゃないからこそ伝わるものがある。

はい。早さよりも想いを優先したいときに手紙にしているのかなと、今思いました。

映画「人はなぜラブレターを書くのか」より、綾瀬はるか演じるナズナ(右)、妻夫木聡演じるナズナの夫・良一(左)。場面写真には手をつないで浜辺を歩く2人の姿が切り取られた

映画「人はなぜラブレターを書くのか」より、綾瀬はるか演じるナズナ(右)、妻夫木聡演じるナズナの夫・良一(左)。場面写真には手をつないで浜辺を歩く2人の姿が切り取られた

──逆にお手紙をもらうことも多いと思いますが、もらったお手紙で印象的なものはありますか?

それこそお誕生日もそうですけど、やっぱり何かあったときにもらうお手紙はうれしいですね。もらうという意味では、物をもらうよりも手紙をもらうほうがうれしいかもしれない。

──それはどうしてだと思いますか。

その人が大事な時間を使って手紙を書いてくれたんだな、と感じられるからですかね。

──贈る理由と一緒ですね。

そうですね。だから私、もらった手紙を捨てられなくて、家にすごく溜まっているんですよ。飛行機の中でCAさんがくれたものとか、そういうものも取ってあります。

──それもきっと、想いを感じるからなんでしょうね。

そうなんだと思います。

綾瀬はるか

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高校生の頃の自分に手紙を書くなら?

──ナズナが信介に初めてラブレターを書いたのは高校生のとき。綾瀬さんが今、高校生の頃の自分に手紙を書くならどのような言葉を贈りますか?

えー、なんですかね。「自分の心に素直に正直に、周りの人を大事にして、人生を楽しんでね」って書きます。

──素敵な言葉ですね。それを受け取った高校生のときの綾瀬さんはどう感じると思いますか?

受け取る側の気持ち、何も考えていなかった! 高校生の頃の自分はあまりピンとこないかもしれないですね。「……なるほど」みたいな(笑)。でも、学生の頃の私は、自分がやりたいことよりも、周りの人の意見を尊重しがちだったなって、今振り返ると思うんです。だからもうちょっと自分を見つめて、自分がやりたいことや好きなこと、自分の想いというものを考えてみてもいいのかなって。

映画「人はなぜラブレターを書くのか」より、菅田将暉演じる川嶋勝重(中央)、音尾琢真演じる大橋秀行(左)。川嶋は後輩である信介の突然の訃報に動揺を隠せずにいた

映画「人はなぜラブレターを書くのか」より、菅田将暉演じる川嶋勝重(中央)、音尾琢真演じる大橋秀行(左)。川嶋は後輩である信介の突然の訃報に動揺を隠せずにいた

映画「人はなぜラブレターを書くのか」より、佐藤浩市演じる信介の父・隆治(左)、原日出子演じる信介の母・晴子(右)。2人はボクシングジムに届いた手紙を受け取り、涙ながらに信介への想いに触れる

映画「人はなぜラブレターを書くのか」より、佐藤浩市演じる信介の父・隆治(左)、原日出子演じる信介の母・晴子(右)。2人はボクシングジムに届いた手紙を受け取り、涙ながらに信介への想いに触れる

──その言葉を贈るための便箋や封筒はどのようなものを選びますか?

見て、顔がほころぶような、ちょっとかわいらしいハッピーなものを選びたいですね。シンプルで大人っぽいものよりも「わー、何これ!」って思わず言ってしまうような……モコモコなものだったり。わかんないですけど、ちょっと面白くてかわいいものを選びたいです。

みんなに幸せをあげられる人になりたい

──綾瀬さんは先月3月24日にお誕生日を迎えられましたが、この1年はどんな1年間でしたか?

39歳から40歳になるときって、29歳から30歳になるときとは全然違うなと思って。40歳になってからの半年くらいは「40か、どうしよう」という戸惑いがありました。だけど、だんだん「40代ってまた1つ大人のステージを上る感覚があるな」と思うようになってきて。自分の内面をより成長させて、一段階深く大人になりたいなと思うようになりました。「40代」というものを、すごく前向きに捉えられるようになった1年でした。

綾瀬はるか
綾瀬はるか

綾瀬はるか

──お仕事についてはいかがでしたか?

お仕事の面でも、作品が続いて忙しくて、しかもご一緒する方も同世代の方が多くて。同世代の方は感性も似ていることが多いし、きっとこれまでの経験を踏まえて、自分がやりたいものを作っているんだなと感じられることが多くて「ものづくりって楽しいな」とより思えた年でもありました。

──先ほど、生きていること自体がラブレターだとおっしゃっていました。綾瀬さんがこの先見せていきたい“ラブレター”はどのようなものなのか、最後に教えてください。

経験が増えた分、自分の心もそうですし、人の心も救えるような人になっていきたいなと思っています。ちゃんとみんなに幸せをあげられる人になりたい。20代はそれが自然とできていたと思うんです。悩みもそんなになかったし、自然とみんなに笑顔を提供できると思っていました。だけど、だんだんと経験を重ねていろいろなことが見えてきて、幸せを提供することは簡単ではないと思うようになっていった。今は一周回って、そういうことができるかっこいい大人の女性になれたらいいなと思っています。

綾瀬はるか

綾瀬はるか

映画「人はなぜラブレターを書くのか」場面写真

映画「人はなぜラブレターを書くのか」場面写真

プロフィール

綾瀬はるか(アヤセハルカ)

1985年3月24日生まれ、広島県出身。2004年放送のドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」で注目を浴び、2007年に「ホタルノヒカリ」で連続ドラマ単独初主演を飾る。主な出演作はドラマ「白夜行」「JIN-仁-」「きょうは会社休みます。」「奥様は、取り扱い注意」「義母と娘のブルース」「天国と地獄 ~サイコな2人~」「元彼の遺言状」「ひとりでしにたい」、大河ドラマ「八重の桜」「いだてん~東京オリムピック噺~」「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」、映画「海街diary」「今夜、ロマンス劇場で」「奥様は、取り扱い注意」「はい、泳げません」「レジェンド&バタフライ」「リボルバー・リリー」「ルート29」など。大悟(千鳥)とともに主演を務め、是枝裕和が原案・監督・脚本・編集を担った「箱の中の羊」が2026年5月29日に公開を控える。

登場人物&キャスト

寺田ナズナ【現代】(演:綾瀬はるか)

寺田ナズナ【現代】(演:綾瀬はるか)

古民家ダイニング「アホウドリ」を営む明るい女性。愛情たっぷりの“特大おむすび”で常連客を喜ばせている。あることがきっかけで高校時代に想いを寄せていた初恋の相手に、24年の時を超えて再びラブレターを書く。

小野ナズナ【学生時代】(演:當真あみ)

小野ナズナ【学生時代】(演:當真あみ)

少し内気な女子高生。毎朝、同じ時間・同じ車両で顔を合わせる信介にひそかな想いを抱く。名前も知らず、話したこともない信介へ宛てたラブレターを渡せず、初恋の気持ちを胸の内にしまい込んでいる。

富久信介(演:細田佳央太)

富久信介(演:細田佳央太)

進学校に通いながら、ボクシングに打ち込む高校生。正義感は人一倍強い。大橋ボクシングジムの会長や先輩にかわいがられている。ナズナの初恋の相手。

寺田良一(演:妻夫木聡)

寺田良一(演:妻夫木聡)

ナズナの夫。不器用な性格だが、時に優しくナズナを気に掛ける。

川嶋勝重(演:菅田将暉)

川嶋勝重(演:菅田将暉)

信介のボクシングジムの先輩であり、よき理解者。「世界チャンピオンになる」という夢を持つ。激しく降る雨の中でも走り込みをするほどの熱血漢。

富久隆治(演:佐藤浩市)

富久隆治(演:佐藤浩市)

信介の父親。息子の死後も彼の人生を深く知ろうとする。

寺田舞(演:西川愛莉)

寺田舞(演:西川愛莉)

ナズナと良一の娘。母の隠しごとを気にしている。

大橋秀行(演:音尾琢真)

大橋秀行(演:音尾琢真)

信介や川嶋が通う大橋ボクシングジムの会長。ある日、ボクシングジムに届いた信介宛ての手紙を受け取る。

富久晴子(演:原日出子)

富久晴子(演:原日出子)

信介の母。夫・隆治とともに、24年ぶりに息子宛てに届いた手紙を受け取る。

営団地下鉄日比谷線・中目黒駅構内 列車脱線衝突事故とは

2000年3月8日午前9時1分頃、帝都高速度交通営団(現:東京メトロ)日比谷線において、恵比寿駅から中目黒駅に入線しようとしていた列車がカーブで脱線し、対向列車と衝突した鉄道事故。死者5名、負傷者64名(※2000年10月26日付の事故調査検討会報告書では63名)を出した。その後、東京メトロは2016年4月、実車を走行する実地訓練が可能な「総合研修訓練センター」を東京・江東区新木場に開所するなど安全意識の徹底に努めている。


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