「離婚しようよ」松坂桃李×仲里依紗インタビュー 政治家と女優の夫婦役で初共演、“喧嘩シーンも心地よい”撮影や結婚観語る (2/2)

悪魔の顔を見せられるか、それで相手が笑ってくれるかどうか(仲)

──プロデューサーの磯山晶さんは「いろんな人の結婚観が提示されることで、視聴者が自分の結婚観を改めて考えられるようにしたい」とおっしゃっていました。ネガティブに捉えられがちな「離婚」に「しようよ」という前向きな言葉が付いているタイトルからも、終盤に出てくるゆいのセリフからも、作り手のそういったメッセージが感じられました。お二人は既婚者ですが、結婚についてどう捉えていますか?

 向いている人と向いていない人がいるとは思います。婚姻届という紙を出してるか出してないかだけの違いではありますが、よくも悪くも妻だしな、夫だしなと気が張ると思うんです。

松坂 責任は感じるようになりますよね。

 ゆいと大志は、妻と夫であることを意識しすぎてうまくいかない部分もあるんじゃないかなって。

左から東海林大志役の松坂桃李、黒澤ゆい役の仲里依紗。

左から東海林大志役の松坂桃李、黒澤ゆい役の仲里依紗。

──結婚していることがいい方向に働くこともあれば、悪い方向に働いてしまうこともあると。お二人が結婚相手に求めていることはなんですか?

 愚痴や悪口を言っているときの自分って絶対に不細工だし、嫌な顔をしてるんです。その悪魔の顔を見せられるか、それで相手が笑ってくれるかどうかですかね(笑)。

仲里依紗

仲里依紗

松坂 確かに。自分の一番の味方になってくれる人だと思うので、そういうことな気がします。

──松坂さんから見てゆい、仲さんから見て大志は結婚相手としてはどうですか?

松坂 ゆいちゃんみたいにズバッと言ってくれるのはうれしいです。ため込んでもいいことはないので、思ったことはすぐに言ってほしいタイプです。ゆいちゃんのことを話し出すと、なんで大志はああいうことしちゃったんだよ……という気持ちばかりが湧いてきます。大志の親に対してもはっきり自分の気持ちを伝えるじゃないですか。そういう性格が気持ちいいですし、心強いなと思います。

松坂桃李

松坂桃李

 大志は選挙活動の拠点である愛媛に対する愛情が強くて、そういう愛がある人って悪い人ではないと思うので、いいなって感じます。家柄的には政治家の跡継ぎとか大変なことがありますが、人間的には魅力のある人だなって。空気を読めずに「どら焼き食べよー」というシーンがありますが、えええ!?って感じでかわいいですし。

結婚に縛られて共倒れになるのは本末転倒(松坂)

──結婚とは逆に、離婚についても伺いたいです。今作は大志とゆいが離婚を“目指す”物語で、「離婚しようよ」というポップなタイトルからもわかる通り、離婚がネガティブなものとして描かれていません。現実世界にも気持ちに折り合いがつかなかったり、世間体を気にしたりして離婚できない夫婦がいると思いますが、ある意味そういう人たちの背中を押す作品になっていると思います。

松坂 本人たちが望んで離婚という形を選んだのであれば、それはまったく悪いことではないと思います。「結婚しているから」という責任感に縛られて、自分たちの首を絞めて共倒れになるのは本末転倒ですし、このドラマは「離婚も選択肢の1つとしてあるんだよ」ということを提示しているのかなと。

 私も離婚は必ずしもネガティブなことではないと思います。実際に離婚している友達もいますが、そういう人たちが常に暗い表情をしているかと言ったら、そんなわけないです。ママとパパの仲が悪くて、ずっと何かに我慢しているような状態は、子供を育てるという点でも本当によくない。子供は笑っている両親を見たいと思いますし、離婚によってそういう関係性になれるのであれば、それはむしろいいことだと感じます。親が仲悪い家庭って変な電磁波が出てると思う(笑)。

松坂 ははは(笑)。

 結婚が婚姻届を出すだけのように、離婚だって紙だけですよ(笑)。

左から松坂桃李、仲里依紗。

左から松坂桃李、仲里依紗。

プロフィール

松坂桃李(マツザカトオリ)

1988年10月17日生まれ、神奈川県出身。2009年に特撮ドラマ「侍戦隊シンケンジャー」で俳優デビュー。以降、「日本のいちばん長い日」「キセキ ─あの日のソビト─」「彼女がその名を知らない鳥たち」「不能犯」「娼年」、「孤狼の血」シリーズ、「蜜蜂と遠雷」など話題作に立て続けに出演して注目を集める。石田衣良の小説を原作とする「娼年」では舞台、映画ともに主演を務めた。映画やドラマのほかに「マクガワン・トリロジー」「ヘンリー五世」といった舞台や、洋画の日本語吹替など幅広いジャンルで活躍している。「新聞記者」で第43回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。近年の作品には「流浪の月」「耳をすませば」「ラーゲリより愛を込めて」があり、2023年7月期のTBS日曜劇場「VIVANT(ヴィヴァン)」、8月4日公開「しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~」、10月13日公開「ゆとりですがなにか インターナショナル」にも出演する。

仲里依紗(ナカリイサ)

1989年10月18日生まれ、長崎県出身。ティーン誌のモデルを経て、女優活動を開始した。2006年に劇場アニメ「時をかける少女」で主人公の声を担当し話題を集める。「純喫茶磯辺」で2008年に第30回ヨコハマ映画祭の最優秀新人賞などを獲得。2010年には実写版「時をかける少女」「ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲」の演技が評価され、第34回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞した。そのほか出演作には映画「モテキ」「ハラがコレなんで」、「土竜の唄」シリーズ、「劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~」、ドラマ「ホリデイラブ」「恋する母たち」「大奥」などがある。2023年8月4日公開の「トランスフォーマー/ビースト覚醒」日本語吹替版に参加し、10月6日公開の「白鍵と黒鍵の間に」にも出演。2020年4月に開設した公式YouTubeチャンネル「仲里依紗です。」の登録者数は185万人を超えている。