映画ナタリー Power Push - 「黒執事 Book of the Atlantic」

小野大輔(セバスチャン・ミカエリス役)×坂本真綾(シエル・ファントムハイヴ役)インタビュー ゾンビに震え「不死鳥」でほっこり!? 劇場版は「黒執事」の魅力が“全部盛り”

いい「不死鳥」いただきました(小野)

──「豪華客船編」の注目ポイントとして、「不死鳥(フェニックス)」のシーンについてもお伺いしたいです。秘密結社・暁学会の合言葉として、嫌々ながらもポーズ付きで高らかに叫ぶシーンは原作でもすごいインパクトでしたが……どのようなテンションで収録に臨まれたのでしょう?

劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」より。シエル(左)とセバスチャン(右)が秘密結社・暁学会の合言葉を唱えるシーン。

坂本 1回目の「不死鳥」のシーンは収録日が別々だったんですよ。

──そうだったんですね!

坂本 私のほうが収録日が先で。小野さんが先にやってくれてたら合わせられたのに!

小野 ははは! 確かに(笑)。

坂本 みんなで一緒にやるものでしょ、あれは!?(笑) 想像してみてくださいよ、1人でやる恥ずかしさを。

小野 うん、絶対やだ(笑)。恥ずかしさをみんなで分かち合うものですよね。あのシーンは一発OK?

坂本 1回で終わるようにがんばりました……。そういえばあまりにも心細かったので、収録の合間に「小野さん、なんで今日いないんですか?」ってLINEしたんです。

小野 あ、今思い出した!

坂本 一緒の収録日が別の日にあったので「その日はよろしくお願いします」って送信したら、スタンプで「御意」って返ってきて(笑)。しかもそれが小野さんの声が出るスタンプで。知らずに「あ、こんなのあるんだ」ってポンって押したら、わりとシーンとしていたところに「御意」って。みんな「え!?」ってなってました(笑)。

──いないはずの小野さんの声が(笑)。

坂本 それぐらい本当に心細くて。「不死鳥」を一緒にできないのが私にとって今回の一番の鬼門でした。とりあえずシエルにできるマックスのテンションでやっておいたんですけど……。

小野 本当にすみませんでした(笑)。いい「不死鳥」いただいたんでね、いい「不死鳥」重ねておきました。できあがりを観たんだけど、僕ら2人は崩しすぎちゃいけないから、やっぱりキャラを守ってました。みんなもっとやってる。やれちゃう人たちばっかりだから(笑)。

坂本 鬼気迫るシーンが多い中で唯一ほっこりできるポイントですよね。

秘めてる女の子は魅力的(小野)

──お二人から見た、ほかのキャラクターたちの見どころも教えていただけますか?

小野 すべてのキャラにちゃんと見どころがあるのが素晴らしいですけど、その中でもやっぱりリジーですよね。この物語のもう1人の主人公。スタッフさんたちはリジー大好きなんだと思います。作画も演出もすごい気合い入っててきれいだし、めちゃくちゃアクションするんですよ。なんだったら死神とか悪魔と同じぐらいの華麗さで戦ってますから。ぜひ注目していただきたい。

──リジーのファンが増えそうですね。シエルを思って「踵の低い靴を用意して」と頼むエピソードもいじらしいですし。

坂本 どうですか小野さん?

小野 まあこれはシエルを傷付けちゃうから言わないだけではあるけど……でも秘めてる女の子ってすごく魅力的に映るかもしれない。男から見ると。リジーは基本明るくて元気だけど、秘めてる部分もある。それを絶対に悟らせないようにしたまま、ここまでシエルの背中を追ってきたんだろうと思うとすごくいじらしくて素敵な女性だと思います。ちょっとうるさいとか思ったりしててごめん(笑)。

──葬儀屋の正体も明らかになりました。

劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」より、葬儀屋。

小野 真綾ちゃんは3期のとき、まだここまで原作を読んでなかったんだよね?

坂本 はい。だから葬儀屋は“いつも「笑わせろ」って言ってくる面倒くさいやつ”としか思ってなかったです(笑)。実際いたらやだなあって。

小野 評価が低い(笑)。でも葬儀屋は「豪華客船編」がなければ、ただのなんだかよくわからない人っていうままだったからね。「黒執事」の中で間違いなく最強の部類に入る、圧倒的な強さを持つ圧倒的な悪。そこに2人が立ち向かっていくのは、ある意味少年マンガの王道的な面白さというか。悔しいけど、めちゃくちゃカッコいいです。

坂本 葬儀屋がこういう存在になってくるとは思ってなかったですよね。あと今回、スネークとの関係性が深まっているのもよかったです。いまだにシエルのことを「スマイル」と呼んでくれるし。シエルって自分は孤独だと思っているようですけど、本人が気付いていないだけで、みんなにすごく大切に思われてるんです。ハッピーな環境にいるのに、自分はハッピーになっちゃいけないと思ってるみたいで。みんなの愛に気付いてほしい。

Contents Index
「黒執事」担当編集・熊剛氏 インタビュー
主題歌アーティスト・シド インタビュー
小野大輔(セバスチャン・ミカエリス役)×坂本真綾(シエル・ファントムハイヴ役)対談
劇場アニメ「黒執事 Book of the Atlantic」2017年1月21日(土)全国ロードショー
劇場アニメ「黒執事 Book of the Atlantic」
あらすじ

19世紀英国──名門貴族ファントムハイヴ家の執事セバスチャン・ミカエリスは、13歳の主人シエル・ファントムハイヴとともに、“女王の番犬”として裏社会の汚れ仕事を請け負う日々。ある日、まことしやかにささやかれる「死者蘇生」の噂を耳にしたシエルとセバスチャンは調査のため、豪華客船「カンパニア号」へと乗り込む。果たして、そこで彼らを待ち受けるものとは──。

スタッフ

原作:枢やな(掲載 月刊「Gファンタジー」スクウェア・エニックス刊)
監督:阿部記之
脚本:吉野弘幸
キャラクターデザイン・総作画監督:芝美奈子
音楽:光田康典
制作:A-1 Pictures
配給:アニプレックス

キャスト

セバスチャン・ミカエリス:小野大輔
シエル・ファントムハイヴ:坂本真綾
エリザベス・ミッドフォード:田村ゆかり
葬儀屋:諏訪部順一
グレル・サトクリフ:福山潤
ロナルド・ノックス:KENN
ウィリアム・T・スピアーズ:杉山紀彰
スネーク:寺島拓篤
バルドロイ:東地宏樹
フィニアン:梶裕貴
メイリン:加藤英美里
チャールズ・グレイ:木村良平
チャールズ・フィップス:前野智昭
エドワード・ミッドフォード:山下誠一郎
フランシス・ミッドフォード:田中敦子
アレクシス・ミッドフォード:中田譲治
ドルイット子爵:鈴木達央
リアン・ストーカー:石川界人
ほか

小野大輔(オノダイスケ)

1978年5月4日生まれ。高知県出身。テレビアニメ「進撃の巨人」エルヴィン・スミス役、「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの空条承太郎役、「おそ松さん」松野十四松役など多くのキャラクターを演じている。劇場アニメでは2016年に「GANTZ:O」「この世界の片隅に」などに出演。公開待機作に「劇場版 黒子のバスケ LAST GAME」「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」や、日本語吹替を務めた「ドクター・ストレンジ」などがある。

坂本真綾(サカモトマアヤ)

1980年3月31日生まれ。東京都出身。テレビアニメ「物語」シリーズの忍野忍役、「舟を編む」林香具矢役、劇場アニメ「コードギアス 亡国のアキト」シリーズのレイラ・マルカル役、「攻殻機動隊 新劇場版」草薙素子役などを担当。コンサートや舞台など活動は多岐にわたる。2017年11月上演のミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ」にジルーシャ役で出演。キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード役で出演している「傷物語〈III冷血篇〉」が現在公開中。