「あゝ、荒野」|山田裕貴と新宿を巡る! ロケ地マップも

菅田くんは、すごく意識していた俳優

──菅田さん、ヤン・イクチュンさんとのお話も伺えたらと思います。

「あゝ、荒野」メイキングカット

ヤンさんとは、撮影現場よりもトレーニングのときのほうがよく会っていましたね。やっぱり「『息もできない』の人だ……!」と思っちゃったし、ヤンさんのパンチの音を聞いて、自分も負けないようにしないとなという気持ちになりました。菅田くんは、僕の中ですごく意識していた俳優だったんです。どの役でも生々しい表現をするし、すごく伝わってくるものがある。彼も「HiGH&LOW」を観てくれていたらしく、「いつか一緒にやりたいと思っていたんだよね」と思いが一致して。そういうのもあってトレーニングは楽しかったですし、いいライバル意識みたいなのが勝手に湧き出てきました。去年菅田くんも僕も9本の映画に出ていたんですが、数は一緒なのになんでこんなに違うんだろうなと思ったり(笑)。

──そんなことはないと思います!

でもそういう役者としての悔しさや葛藤みたいなものは、裕二とリンクさせられるなと。裕二も、そういう素ぶりを見せてはいないけど新次に食らいつこうとしていた。そんな部分は、僕っぽいなと感じたので、自分の中に自然に生まれる感情を膨らませていけば、裕二になれるんじゃないかと思っていました。

あんな瞬間はもう味わえない

──劇中には、裕二と新次の対決シーンも描かれますね。エキストラで参加していた方が、気迫に圧倒されて泣いてしまう場面もあったとか。

「あゝ、荒野」

僕らの芝居で泣いてくれた人が映像の中にいるっていうのは、本当にうれしいですよ! あんな瞬間はもう味わえないんじゃないかというくらい、生きていましたね。撮影が終わったあとに、菅田くんと「死ぬまでに、こんなにも“生きた”って思えることはあるかなあ」と話していたんです。そこまで自分たちも心を揺さぶられたというか。監督がカットの声をかけないので、冒頭は演出に沿って演じていたんですけど、だんだんアドリブになっていくんですよ。

──本編を観る限り、実際にパンチが当たっている場面もかなりありましたよね?

当たっていました! 一度、あごにパンチが入ってしまって意識が飛んだこともあって。でも台本にはひざをつくなんて書かれていないし、ひざをついた瞬間に裕二として負ける。菅田くんにも負けた気分になるし……といろんな感情があふれ出てきて、絶対立たなきゃあかんと思ってガッと踏ん張ったんです。

──まさしく裕二を生きていますね……。

山田裕貴

段取りのときに僕らが盛り上がって戦い始めてしまって、助監督の方や松浦さんが「やめろ! 今は段取りだから!」と怒るくらい、ほかの現場にはない異様な雰囲気がありました。試合シーンのために、撮影の2週間くらい前から糖質をカットして、1週間前からちょびっとずつ食べていき、前日かその日に6食分食べるという、プロと同じ調整をやっていたので体はめちゃくちゃ元気でしたね。

死ぬ気でやれば誰かに届く

──では最後に、山田さんのキャリアにとって、本作はどういう位置付けですか?

こんなに生きた瞬間はあったかなと思えるような作品に出会えました。自分が山本裕二として生きた瞬間というのが本当に存在したというか。登場シーンは多いとは言えないので、台本を読んでいるときから、絶対にかまさないとなと思っていたんです。それに懸けた思いも大きかったし。どの役もすべて本気で演じてますが、本当に死ぬ気でやれば、言葉はなくとも誰かに届くんだなと改めて気付かされました。あと愛されたい、生きたいという愛と生が描かれた映画ですが、それって人間の一番シンプルな部分だと思うんです。僕も俳優としても人間としても愛されたい、生きていたいともちろん思うので。観てくださった方には、それを感じ取っていただきたいなと思います。

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「あゝ、荒野」
前篇 10月7日(土) / 後篇 10月21日(土)より
2部作連続全国ロードショー
「あゝ、荒野」
ストーリー

2021年、東京・新宿。3年ぶりに少年院から出てきた新次は、ふとしたきっかけで吃音と赤面対人恐怖症で悩む男・バリカンこと建二に出会う。ともに孤独な彼らは、ボクシングジムのトレーナー“片目”のもとでプロを目指すことに。新次は因縁の相手・裕二を倒すため、そしてバリカンは自分自身を変えるためボクシングに没頭する。トレーニングを重ねるうちに友情を深めていく2人だったが、ある運命に直面し、その関係も変わろうとしていた……。

スタッフ / キャスト

監督:岸善幸

原作:寺山修司「あゝ、荒野」

脚本:港岳彦、岸善幸

音楽:岩代太郎

主題歌:BRAHMAN「今夜」(NOFRAMES recordings / TOY'S FACTORY / TACTICS RECORDS)

キャスト:菅田将暉、ヤン・イクチュン、木下あかり、モロ師岡、高橋和也、今野杏南、山田裕貴、でんでん、木村多江、ユースケ・サンタマリアほか

「あゝ、荒野」(全6話)
U-NEXTにて配信中
「あゝ、荒野」特装版 Blu-ray / DVD
11月1日(水)発売
「あゝ、荒野」公開記念 俳優・菅田将暉 3夜連続オールナイト
日本映画専門チャンネル 2017年10月7日(土)~9日(月・祝) 連日22時~
「あゝ、荒野」新宿エリアプロジェクト実施中
山田裕貴(ヤマダユウキ)
1990年9月18日生まれ、愛知県出身。2011年に特撮ドラマ「海賊戦隊ゴーカイジャー」で俳優デビュー。「闇金ドッグス」シリーズに主演したほか、主な出演作に「ストロボ・エッジ」「ふきげんな過去」「青空エール」「闇金ウシジマくんPart3」などがある。2017年には出演作「破裏拳ポリマー」「HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY」「亜人」「二度めの夏、二度と会えない夏」などが公開された。公開待機作は「HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION」「デメキン」など。