「カメラを止めるな!」上田慎一郎&キャスト14名インタビュー|本当はカメラを止めたかった!ネタバレ解禁座談会&卒業文集風アンケート企画

カメラじゃなくて山﨑さんを止めてほしかった(合田)

合田 私はずっと、カメラじゃなくて山﨑さんを止めてほしかったです。

一同 ああー(笑)。

合田 山﨑さんを抱えて止めるシーンで、私はずっと困惑していて。

吉田 山﨑は力加減がまったくできないから、痛いんだもん。

合田 そうなんです。ずっと足を踏まれてるし……。すごい痛くて、1人じゃ止められなくて。「暴れる感じで」っていう話だったのに、本当に暴れ出すんです。

上田 本当は純奈が1人で山﨑を止めるはずだったんだけど、2人がかりじゃないと止められないってことになったんだよね。

しゅはま 私も練習のときに山﨑に腕つかまれて、「アザになるから手加減してくれない?」って言ったら「いや、できません」って返されたよ。

吉田 廃墟から戻すシーン、私も筋肉痛になったもん。

市原 シネマ・ロサに来てくれたお客さんと写真を撮ったときも、Twitterで「山﨑さんが本気すぎて、すげえ痛かった」って書かれてた(笑)。

どんぐり 私、最初の頃に頭をつかまれて、ホンマに痛いから「割れる割れるー」って言って。3回目くらいで真剣に「やめて!」って怒ったらやらなくなった。

左から、元女優の専業主婦・日暮晴美役のしゅはまはるみ、酔っぱらい俳優・細田学役の細井学、新米AD・栗原綾奈役の合田純奈。

細井学 みんなで飲むためのコーラのペットボトルを、山﨑が1人で一気飲みしてたんだよね。さすがに「それはちゃんとコップに移して飲みなさい」って言ったら、なんだかキレてどっか行っちゃったんだよ。この人大丈夫かな?って思ったよ(※このあともクレームが続いたものの割愛)。

真魚 クレームがどんどん出てくる(笑)。山﨑特集になっちゃう!

一同 (笑)

この作品で唯一回収されない伏線(山口)

──浅森さんがカメラを止めたかった瞬間は?

浅森 私は、そういう瞬間はなかったですね。

山口 リハーサルのとき、俺たちカメラマン役2人の関係性をどうしようかと試行錯誤してたよね。付き合ってるとか、お互い好きだけどうまく出せない感じにしようかとか。でも監督に話したら「いや、それはなしで」って(笑)。

上田 (笑)。最初、咲希奈(演じる松浦早希)はもうちょっと真面目なキャラだったんですけど、自分でコケるような役柄にしていったんだよね。

浅森 そうですね。後半、レンズを拭くための布を手渡しながらコケるシーンは、本当に転んだの?ってよく聞かれるんですけど、お芝居です。37分ワンカットの部分でレンズに血がかかったおかげで、あのシーンができました。

上田 あれ、僕含め一部のスタッフはコケるって聞いてなかったんですよ。

秋山 本気でコケたと思った!

真魚 大丈夫!?って駆け寄りましたよ! そしたら「エヘヘー」みたいな(笑)。みんな心配したのに!

大沢 大女優なんですよ。

浅森 みんな知ってると思ってました(笑)。

左から、適当プロデューサー・古沢真一郎役の大沢真一郎、腰痛カメラマン・谷口智和役の山口友和、おてんばカメラ助手・松浦早希役の浅森咲希奈。

山口 僕もワンカットチームではないので、本番中のピンチみたいなことはなかったんですよね。

上田 でも山口さん(演じる谷口智和)が腰を痛めて、置き去りにされるじゃないですか。あそこ、「彼に対するフォローはないのか?」っていう声がすごく多いんですよ。

山口 この作品で唯一回収されてない伏線ですからね(笑)。

上田 一応Blu-rayには未公開シーンとして、あのあとワンカットだけ山口さんを描いた映像が入っているんです。

しゅはま合田 ええー!

山口 いや、それでも回収されないんだけどね(笑)。楽しみにしていただければ。

真魚 最後の屋上のシーンでも、山口さんは映っていないですもんね。

上田 試しに1回、ワイプで入れてみたんですけどね。みんなの笑顔を順番に抜いていくから、山口さんのカットも入れないと、と思って。でもやめました。

山口 きっと笑顔じゃないでしょうね。助けを待ってる(笑)。

ワークショップ1日目でもう嫌になった(どんぐり)

──竹原さん(どんぐり)は、カメラを止めたかった瞬間はありますか?

どんぐり なんの問題もなかったです(笑)。

上田 竹原さんはすごく緊張してたんですよね。エキストラの方々に囲まれて自分が失敗したときに「申し訳ない、申し訳ない」と言っていて。飲み会のときに「できへん」って泣いてしまったこともあったし。

どんぐり ワークショップの1日目でもう嫌になった。「もう、なんで申し込んだんやろ」と思った。ほんで「できへん、できへん」って言ったら、真魚ちゃんが一緒に練習してくれて。

真魚 あ、そのへんちゃんと、しっかり話してください!(笑)

左から、中堅AD・吉野美紀役の吉田美紀、超適当プロデューサー・笹原芳子役のどんぐり(竹原芳子)。

どんぐり それから濱津さんたちも一緒に公園で練習しました。ほんで監督も来てくれはって。みんなで練習するはずやのに、私のために時間を使ってくれて、迷惑かけてしまった。こう見えて気い弱いんですよ。

細井 こう見えてね(笑)。

一同 (笑)

上田 吉田さんは、今だから言えることいっぱいありますよね?

吉田 自分が出ない日はスタッフをやっていたから、けっこうきつかったのよ。今までこんなに体動かしたことあったかな?ってくらいハードで。廃墟の外周を走り回って、無線の電波が圏外になりかけたとき、ふと「ここで私がいなくなったらどうなるかな、倒れたらどうなるかな」と思ったこともありましたね。

上田 予算も少なかったし、こういう映画だから役作りのためになるってことも含めて、みんなにスタッフを兼任してもらっていて。吉田さんはスタッフ目線での駄目出しもしてくれましたもんね。真魚がパンを一口かじって、味が好みじゃないからって戻したことをずっと怒ってた(笑)。

吉田 あれ、やっぱり真魚だったの!?

真魚 それ、本当に違うと思うんですよ。

秋山 あ、ゆずきだわ!

吉田 おめえかよ!

一同 (笑)

「カメラを止めるな!」より、アイドル女優・松本逢花役の秋山ゆずき。

真魚 私は「あのタンクトップの女だよ!」ってずっと言ってました(笑)。吉田さんがスタッフやってるときって、タイミング的に私もスタッフ側だったんですよ。だからそんなわざわざ仕事を増やすようなことしないのに、吉田さんがけっこう怒ってて……。違うって言い返しても「お前だ」って言われるからだんだん私もムカついてきて「絶対にあの女に決まってる!」って(※秋山と真魚は「どちらが本物のヒロインか」と争うのが恒例となっている)。

秋山 ゆずき、そういえばなんか戻したわ!

吉田 (顔をゆがめながら)チーズのパンが、一口だけかじってあって……。

しゅはま すごい、ディテールまでちゃんと覚えてる(笑)。