映画「一人の息子」 PR

「一人の息子」玉城裕規×谷健二インタビュー|舞台で話題の人気俳優がヒューマンドラマで魅せる

舞台を中心に活躍中の馬場良馬と玉城裕規がダブル主演を務めた「一人の息子」が、7月7日から東京・ユーロスペースにて4週間のロングランレイトショーをはじめ全国で順次公開される。本作は、別々の場所で生きる青年2人の人生が、ある書類によってつながっていくさまを描くヒューマンドラマ。「U-31」「リュウセイ」の谷健二がメガホンを取ったオリジナル作だ。

映画ナタリーでは、玉城と谷の対談をセッティング。初タッグを組んだ2人に撮影裏話のほか、映画のみならず舞台についても語ってもらった。

取材・文 / 興野汐里 撮影 / 佐藤類
ヘアメイク / 又吉桃花 [スーパーブリー](玉城裕規)

「弱虫ペダル」を先に観ていたらオファーしてなかったかも(谷)

──「一人の息子」は、2013年に公開された劇場デビュー作「リュウセイ」以来、谷監督にとって約4年ぶりのオリジナル作品となります。本作の題材を父と息子に設定しようと思ったのはどんな理由からですか?

谷健二 父と息子というより、家族の話を撮りたいなと思ったんです。僕の映画は男性の主人公が多くて、今回の「一人の息子」も馬場(良馬)くん扮する山内樹と、玉城(裕規)くん扮する倉田歩という2人の青年が主軸になっている。2016年に「U-31」の公開が終わってから構想を練り始めて、その1年後、昨年の10月頃に撮影に入りました。

──馬場良馬さんは過去に「リュウセイ」「U-31」にも出演されていますが、玉城さんと谷監督は今回が初タッグとなります。谷さんは、玉城さんのどんなところに惹かれてオファーされたのでしょうか?

左から玉城裕規、谷健二。

 馬場くんをはじめ、根本(正勝)くんだったり、(高崎)翔太くんだったり、彼らが所属しているトキエンタテインメントさんともともとご縁があって。玉城くんとはトキさんの忘年会で初めて会ったんだよね?

玉城裕規 そうでしたね。

 「一人の息子」でトキさんとご一緒することになって、馬場くんと見た目が被らずに対照的で面白いのは誰かなと考えたときに、玉城くんがいいんじゃないかなって思ったんです。初めて会ったときの佇まいが印象的で、いつか仕事をしたいな、と考えていました。そういえば玉城くんのキャスティングが決まったあと、ドラマ「弱虫ペダル」を観たんですが、「全然イメージ違う!」ってなって。「弱虫ペダル」を先に観ていたら、今回オファーしていなかった可能性があります(笑)。

玉城 「弱虫ペダル」で演じた東堂尽八はけっこうテンションが高いキャラですもんね。

 一方、今上演中の「舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰」の小烏丸は、玉城くんの素に少し近いひょうひょうとした役だなって。そう考えると、舞台に出演してる役者さんって演技の幅が広いですよね。馬場くんの舞台も何本か観てるけど、やっぱり普段の表情と舞台上の顔は全然違う。馬場くんは基本的に落ち着いてるもんね。

──馬場さんは、明るくて盛り上げ上手なイメージがあったので驚きました。

「一人の息子」より、馬場良馬演じる山内樹。

玉城 馬場さんはね……急にスイッチが入るんですよ(笑)。

 そうそう。「リュウセイ」のときも撮影中は好青年っていう感じだったんだけど、舞台挨拶でマイクを持った途端、いきなりマシンガントークし出したから「どうした!? どうした!?」みたいな(笑)。

あれ? これサスペンス映画だったっけ?(玉城)

玉城裕規

──玉城さんが今回演じた歩は、感情をあまり表に出さない、抑えた演技が必要とされる役でした。撮影にあたって谷さんとは、歩の人物像についてどんなお話をされましたか?

玉城 「一人の息子」を撮る直前まで「ゼニガタ」の現場にいて、感情の起伏が激しい樺山博史という役をやっていたんです。その影響や反動で、歩を演じているうちにだんだん暗くなっていっちゃって。そのとき監督から「暗くなりすぎず、“普通”で」という指示がありました。最初に登場するシーンで、歩が見知らぬ家族を眺めるんですけど、日差しが眩しかったのもあって渋い表情をしていたら、監督に「これからあの家族を殺しにかかる、みたいな顔してるよ」って言われて。

 あったあった。楽しそうにしている家族を眺めてうらやむシーンだったんだけど、どう見ても“このあと事件が起こる”みたいな表情になっちゃってたから(笑)。

玉城 「あれ? これサスペンス映画だったっけ?」っていう(笑)。

「一人の息子」より、玉城裕規演じる倉田歩。

 最後に“一人の息子”が取り残されて、成長した彼が玉城くん演じる歩に復讐する……そんなストーリーじゃないからね(笑)。

──公式パンフレットに掲載されている玉城さんのインタビューでも「もっと笑っていいよ」と監督からアドバイスされたというお話をされていました。

 歩は爆笑こそしないけど、現代の等身大の若者というか、本当に“普通”の人だと思うんです。これといった夢や希望はないけれど、日々を淡々と生きている地方の青年を描きたかったという意図がありました。

──対する馬場さんは、父を亡くした悲しみを心の底に沈めながら日々を過ごす樹を好演されています。完成した作品をご覧になって、樹からどのような印象を受けましたか?

玉城 劇中の樹と一緒に飲みに行って、「そんなに深く考えなくていいんじゃない? もっと気楽にいこうよ」って言いたくなりました。共演経験があって、プライベートでもよく飲みに行く馬場さんが演じているからこそ、そう感じた部分もあるかもしれませんが。

──玉城さんは歩と違ってオープンな家庭で育ったとおっしゃっていましたが、撮影を経てご家族に対する気持ちの変化はありましたか?

玉城 ささいな理由であっても、こまめに連絡を取ろうと思いました。あと、本作では秘密がキーワードにもなっているので、「もしかして自分の家族の中でも、お互いに秘密にしていることがあるかも……?」って疑心暗鬼になりましたね(笑)。

──樹役の馬場さんに加え、水崎綾女さんや篠原篤さんといった方々も、歩の勤務先である引っ越し屋の人として出演されています。

「一人の息子」より、水崎綾女演じる樋口香織。「一人の息子」より、篠原篤演じる三田村清太郎。

 玉城くんが普段出演している作品の現場に篠原くんみたいな俳優さんはあまりいないよね? “ザ・日本映画”みたいな(笑)。

玉城 確かに(笑)。

 サッカーマンガが原作の「U-31」を観てくださった篠原くんのマネージャーさんが、僕の事務所に彼のプロフィールを持ってきてくれて。そこから仲良くさせていただいているんです。

玉城 そういえば、なんで自分は「U-31」に出てないんだ?って思いましたよ。僕、サッカー部だったのに(笑)。

 えっ! そうだったの?

──サッカーはいつ頃までやられていたんですか?

玉城 中学から高校までですね。県大会で準優勝して、九州大会に出場しました。そこで、当時全盛期だった国見高校と対戦して大変なことに……(笑)。

「一人の息子」
2018年7月7日(土)より東京・ユーロスペースにて4週間のレイトショーののち全国順次公開
「一人の息子」
ストーリー

東京の映像制作会社に勤務する山内樹は父が倒れたという知らせを受ける。一方、群馬で引っ越し業者として働く倉田歩は父親を知らずに育った。職業も住む場所も異なる青年2人の人生はある書類をきっかけに交錯していく。

スタッフ / キャスト

監督:谷健二
脚本:佐東みどり
主題歌:ReN「Lights」
出演:馬場良馬、玉城裕規、水崎綾女、弓削智久、篠原篤、根本正勝、高崎翔太、関口アナム、三城千咲、森本のぶ、双松桃子、橘美緒、三坂知絵子、新津ちせ、竹下景子ほか

玉城裕規(タマキユウキ)
1985年12月17日生まれ、沖縄県出身。21歳から数多くの演劇に出演し、2011年に全労済ホールスペース・ゼロで上演された「少年ハリウッド」で注目を浴びる。舞台「弱虫ペダル」の東堂尽八役で人気を博し、ドラマ「弱虫ペダル Season2」にも同役で出演。舞台「ライチ☆光クラブ」では、“奇人で変人”のジャイボ役を演じ、テレビアニメ版の声も担当した。舞台のみならず「血まみれスケバンチェーンソー」「のぞきめ」「ゼニガタ」など数々の映画にも出演している。「舞台『刀剣乱舞』」シリーズの集大成となる「舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰」が、7月29日まで上演中。
谷健二(タニケンジ)
1976年7月24日生まれ、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京し、多数の自主制作映画に携わる。長年広告業界で勤務したのち、2014年にフリーに。2013年に「リュウセイ」で劇場映画デビュー、2016年に劇場映画第2作「U-31」を発表した。オリジナルビデオ「さとるだよ」、欅坂46・渡辺梨加の個人PV「ベリカ2号機」など作品は多岐にわたる。日本映画監督協会会員、武蔵野映画祭の発起人でもある。