映画ナタリー Power Push - 「破門 ふたりのヤクビョーガミ」

佐々木蔵之介×横山裕インタビュー 狂犬×ぐーたら!凸凹コンビの格闘と自分ルール

佐々木蔵之介×横山裕インタビュー

関西人でよかった(横山)

──関西弁でのセリフの応酬が楽しい作品でした。まず出演のオファーを受けたときの気持ちからお伺いできればと思います。

横山裕 関西人でよかったなと感じました。原作を読ませていただいたときは桑原と二宮のポンポン言い合う会話劇の面白さに引きこまれて。連続で2回読んだのかな。「この世界観に自分が入れるんだ」と思ってうれしかったです。

佐々木蔵之介 まず関西弁が使えるっていう機会がそうそうないので、ネイティブスピーカーとしてはうれしくて。裏社会の人間の役もなかなか地上波のドラマではできないので、映画ならではという感じがして。

──橋本マナミさん以外のメインキャストは皆さん関西出身ですよね。関西系のネイティブという縛りがあってオファーを受けたのでしょうか?

横山 こだわりはたぶんあったと思いますね。

──小林監督は本作と同じく黒川博行さんの小説をドラマ化した「煙霞 -Gold Rush-」も手がけた方ですが、この作品でタッグを組んでみていかがでしたか?

佐々木蔵之介

佐々木 セリフの間、リズムにこだわりを感じましたね。小林監督は演出がとても細やかで、クランクイン後の1週間はシーンごとに丁寧に打ち合わせをして。セリフの意味合いや、いかに人間関係と感情を端的に表現するかについては特にたくさん話し合いました。

横山 小林監督は僕をすごく信頼してくださっていて、二宮を一緒に作っている感じがしました。リハーサルをガーッとやったらすぐに「本番いきましょ」ってほぼ一発で撮るので、すごい集中力と緊張感の中でやっていました。そのときはこの芝居が正解かどうかはわからなかったけど、監督が「大丈夫」と言ってくださっていたので、僕も安心してましたね。

“10秒以内に起きないと死ぬ”が自分ルール(横山)

──ご自身が演じたキャラクターについてはどんな印象を抱いていましたか?

横山 二宮はぐーたらで貧乏な男なんですけど、映画を観た周りの人たちから「すごい役に合ってたなあ」って言われるんです。そんなふうに見られてたんやなって思って。抜けてるところがあるキャラクターなので演じていて面白いし、「こんなことを言ったら絶対にどつかれるのに、こいつよう言うなあ」と思いながらやっていました。

佐々木 (横山は)この間渋谷すばるくんからも「そのまんまやな」って言われたらしくて。でも裕は全然ぐーたらじゃないよね? わりと自分ルールがある人だなと思います。目覚まし時計が鳴って10秒以内に起き上がれなかったら死ぬとか。

──その10秒ルールはどういうときに使うんでしょうか。

横山 毎日です。僕は二度寝は絶対しないですよ! だから時間を間違えたりとか、そういうこと以外では遅刻しないですね。前の日にどれだけお酒を飲もうが、「10秒以内に起きないと死ぬ」と思ったら起きられるんです。だって死ぬんですよ!?

佐々木 どんな日でもスッと起きられるのはすごいなあ。

──横山さんの朝は緊張感にあふれているんですね。毎日繰り返していても効果は薄れないんですか?

横山 薄れないですね! 毎回成功しているから僕は今も生きてるんです。

──一度も失敗していないってことですよね。ほかにも自分だけのルールはあるんでしょうか。

横山 ちょっとでも時間が空いたらジムに行くとかですかね。

佐々木 サウナは砂時計の砂が落ちきるまで入ってるんだよね?

横山 いつも12分以上はいますね。

佐々木 ぐーたらじゃないよね……。全然二宮っぽくない!

──佐々木さんはそういう自分ルールみたいなものは?

佐々木蔵之介

佐々木 僕はまったくないんですよ。

横山 それが意外でした! 蔵之介さんはスタイルがすごくいいけど、ジムには行かれへんっておっしゃってたので驚いて。僕はいろいろと身体を鍛えているのに(笑)。

佐々木 ルールを決めたら、それができたかできなかったかを意識しちゃうので。そういうのに縛られたくないんですよ。

桑原は狂犬さながらの“イケイケやくざ”(佐々木)

「破門 ふたりのヤクビョーガミ」より。

──横山さん演じる二宮はぐーたらな男とのことですが、佐々木さんは桑原という役についてどのように感じていましたか。

佐々木 かなりの無茶をする狂犬さながらのやくざだなと思いました。“イケイケのやくざ”という、こんな面白い役に巡り会えることはそうそうありません。すごく貴重で、最高に愛おしい役と出会えました。

──桑原はいつも服装が素敵ですよね。ストールやポケットチーフなど、細部までこだわり抜かれていてシーンごとの変化が目に楽しかったです。

佐々木 原作にもあるように、桑原はかなりこだわりのあるおしゃれさんなんですよ。典型的なオラオラ系のダブルのスーツではなく、イタリアンマフィアのようでありながら、大阪のやくざテイストも入れたいという監督の意向を汲んで、スタイリッシュでありながら、ド派手ではないけど遊び心の入ったユニークな衣装になっています。

INDEX
キャラクター紹介
佐々木蔵之介×横山裕インタビュー
三四郎インタビュー
Creepy Nutsインタビュー

「破門 ふたりのヤクビョーガミ」2017年1月28日全国公開

ストーリー

“イケイケやくざ”の桑原と“ぐーたらビンボー”の二宮は、映画プロデューサー小清水に製作資金の出資を持ちかけられる。二宮からその話を聞いた二蝶会の若頭・嶋田が金を出資すると、小清水は失踪! 持ち逃げされた資金を回収するため、桑原と二宮は小清水を探して関西やマカオを奔走するが、まさかの大トラブルに発展して追われる羽目になり……。

スタッフ / キャスト

監督:小林聖太郎
原作:黒川博行「破門」
出演:佐々木蔵之介、横山裕(関ジャニ∞)、北川景子、濵田崇裕(ジャニーズWEST)、矢本悠馬、橋本マナミ、國村隼、橋爪功

佐々木蔵之介(ササキクラノスケ)

1968年2月4日生まれ。京都府出身。大学在学中から劇団・惑星ピスタチオのメンバーとして活躍。2000年にNHK連続テレビ小説「オードリー」で注目を浴び、以降はドラマ、映画、舞台と幅広く活動している。2005年には自身がプロデュースを務める演劇ユニットTeam申を立ち上げた。公開待機作には「3月のライオン」2部作、「美しい星」「花戦さ」がある。

横山裕(ヨコヤマユウ)

1981年5月9日生まれ。大阪府出身。2004年に関ジャニ∞のメンバーとして「浪花いろは節」でCDデビュー。バラエティやドラマ、音楽とジャンルを問わず活動しており、映画出演作には「エイトレンジャー」シリーズ、「天地明察」などがある。2017年5月には主演を務める舞台「妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』」が上演される。


2017年1月24日更新