「デジモンアドベンチャー tri. 第6章『ぼくらの未来』」|選ばれし子どもたちが切り拓く未来

「デジモンアドベンチャー tri. 第6章『ぼくらの未来』」が5月5日より3週間限定で劇場上映される。本作は、「デジモンアドベンチャー tri.」シリーズ第6弾にして最終章。“選ばれし子どもたち”とパートナーデジモンたちが、世界崩壊の危機に立ち向かうさまが描かれる。

映画ナタリーでは、八神太一役の花江夏樹、石田ヤマト役の細谷佳正、アグモン役の坂本千夏、ガブモン役の山口眞弓にインタビューを実施し、シリーズ最終章を迎えた思いを語ってもらった。さらに、監督の元永慶太郎ら本作に携わったスタッフからのコメントも掲載しているので、あわせてチェックしてほしい。

取材・文 / 秋葉萌実 撮影 / 上山陽介

太一が昔の熱さを取り戻した(花江)

──「デジモンアドベンチャー tri.」シリーズもいよいよ最終章です。皆さんは、これまでの物語をどういう気持ちでご覧になっていたのでしょうか?

花江夏樹

花江夏樹 どの章も終わり方が衝撃的なので、次回が気になる! 次の章が上映されるまでの数カ月が待ちきれない!というもどかしさがありました(笑)。僕が演じた太一はだんだんカッコよくなっていったので、成長が楽しみなキャラクターでしたね。

坂本千夏 私は選ばれし子どもたちの成長過程を母のような気持ちで見ていたんですよ。彼らがすごく小さいときから知っていたから、試練を与えられるたびに強くなっていく姿は頼もしく感じられました。

細谷佳正 僕はヤマトの“変わらなさ”が印象的です。第1章のときは大人っぽい感じの子なのかなと思っていましたが、実際はヤマトより太一のほうがどんどん大人になっていって。

山口眞弓 ガブモンとしてヤマトをつい目で追ってしまうんですが、私も「ヤマト変わらないなあ」と思いました。

花江 ははは(笑)。

「デジモンアドベンチャー tri. 第6章『ぼくらの未来』」より、ガブモン(左)と石田ヤマト(右)。

山口 だから第6章でヤマトが変わってくれてよかったな。過去のシリーズでは、坂本さんと同じく母のような視点で子どもたちを見ていたのですが、「tri.」では友達のような感覚に変わりました。ヤマトとガブモンの男同士の友情みたいな。

細谷 第5章の終盤で太一がいなくなってから、ヤマトは急に大人になった感じがしましたね。それまではいい意味で変わらない安心感があった(笑)。第5章までのヤマトは、なんでも行動や言葉に表すことが正義だと考えていたところがありましたが、第6章では仲間たちを思って、つらい現実をあえて伝えない選択をしていて。

花江 太一も、6章かけて昔の熱さを取り戻してきたという意味では、変化があったし成長している気がします。でもアグモンと話しているときの雰囲気は、シリーズを通してずっと変わっていないですね。

「デジモンアドベンチャー tri. 第6章『ぼくらの未来』」より、アグモン(左)とテントモン(右)。

坂本 アグちゃん(アグモン)は、やっぱり太一と食べ物が大事という超シンプルでブレないところが好き。太一がいなくなってからは、アグちゃんは進化できずにずっと1人でいたんですよ。その姿を見て、改めてデジモンにとってパートナーはすごく必要な存在だったんだなと思いました。

一同 (笑)

細谷 食べ物と太一だけ(笑)。

太一の不在がヤマトを変えた(細谷)

──シリーズを経るごとに、太一とヤマトの関係性が少しずつ変わっていくところも本作の見どころの1つですよね。花江さんと細谷さんはお互いのキャラクターについてはどう感じていますか。

「デジモンアドベンチャー tri. 第6章『ぼくらの未来』」より、八神太一のゴーグルを握り締める石田ヤマト。

花江 ヤマトは少年の心をずっと持っていて、表には出しませんが太一のことが大好きなのが伝わってきます。喧嘩もしましたが、アイコンタクトだけで意思の疎通をするシーンもけっこうあったりして、やっぱりお互いのことを思い合っている2人なんだなと思いました。

細谷 太一がある決断をする場面では、すごくシビアな成長をしたなと感じます。第1章で、太一はヤマトに「戦うことが必ずしも正義ではない、犠牲を考えろ」というニュアンスの言葉をかけますよね。実は、太一はそこからあまり変わっていないような気がしていて。でもヤマトもあとから同じような考えに至っているので、太一の不在がヤマトを変えて、最終的に似た考えを持てるようにまでなったんじゃないかなと。

──坂本さんと山口さんはひさしぶりにアグモンとガブモンをそれぞれ演じてみてどうでしたか? 過去のシリーズから引き継いだ点や、逆に新しくした部分はありましたか。

山口眞弓

山口 「デジモンアドベンチャー」は私のデビュー作だったので、今回のアフレコでは当時の緊張感がそのままよみがえってきました!(笑)章を経てもその緊張感はなくならなくて、だいぶ硬かったんですが、でもそれがガブモンなのかなとも思うようになって。とにかくそっとヤマトのそばにいることを心がけていました。

坂本 太一やヤマトは不器用で無口な男チームっていう感じがあって、それがすごくよかったよね。私は時間の経過をお客さんに感じてほしくないという思いがありました。アグモンは変わらずにいることが大事だったので、自分の中で新鮮な気持ちを持ち続けていなきゃと思っていました。

「デジモンアドベンチャー tri. 第6章『ぼくらの未来』」
2018年5月5日(土・祝)より3週間限定劇場上映
「デジモンアドベンチャー tri. 第6章『ぼくらの未来』」
ストーリー

暴走したメイクーモンは、暗黒進化したテイルモンを吸収。そして強大な力を持つオルディネモンへと変化していった。現実世界がデジタルワールドにのみ込まれようとしている状況下で、ホメオスタシスは“最終計画”を実行に移そうとする。破滅を食い止めるべく、必死の戦いを続ける選ばれし子どもたち。しかし、彼らにある決断を下す時が訪れて……。

スタッフ

製作:高木勝裕
企画:森下孝三
原案:本郷あきよし
監督:元永慶太郎
シリーズ構成・脚本:柿原優子
キャラクターデザイン:宇木敦哉

キャスト

八神太一:花江夏樹
武之内空:三森すずこ
石田ヤマト:細谷佳正
泉光子郎:田村睦心
太刀川ミミ:吉田仁美
高石タケル:榎木淳弥
城戸丈:池田純矢
八神ヒカリ:M・A・O
望月芽心:荒川美穂

アグモン:坂本千夏
ピヨモン:重松花鳥
ガブモン:山口眞弓
テントモン:櫻井孝宏
パルモン:山田きのこ
パタモン:松本美和
ゴマモン:竹内順子
テイルモン:徳光由禾
メイクーモン:森下由樹子

花江夏樹(ハナエナツキ)
6月26日生まれ、神奈川県出身。「東京喰種」シリーズ、「四月は君の嘘」「クジラの子らは砂上に歌う」などに出演。子供向け情報バラエティ番組「おはスタ」ではメインMCとして活躍している。
細谷佳正(ホソヤヨシマサ)
2月10日生まれ、広島県出身。主な出演作に「この世界の片隅に」「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」などがある。2018年4月放送の参加作は「されど罪人は竜と踊る」「メガロボクス」ほか。
坂本千夏(サカモトチカ)
8月17日生まれ、東京都出身。「となりのトトロ」の草壁メイ役、「少年アシベ」の芦屋アシベ役などで知られる。出演作「鬼灯の冷徹」第弐期その弐が放送中。
山口眞弓(ヤマグチマユミ)
5月12日生まれ、岩手県出身。主な出演作はフォルテ・シュトーレンに声を当てた「ギャラクシーエンジェル」シリーズ、エンヴィー役を務めた「鋼の錬金術師」。

衣装協力(細谷佳正) /
Iroquois Headshop(03-3791-5033)、
BICASH(03-3871-1855)