選ばれし子どもたちの成長を見られて感慨深い（櫻井）

──「デジモンアドベンチャー tri. 第3章『告白』」の上映開始日が近付いてきました。1章、2章と大きな反響があったかと思うのですが、それを受けて皆さんは今どんなお気持ちですか？

榎木淳弥　シリーズが始まった当初は、選ばれし子どもたちのキャストが変わることを受け入れてもらえるのか、正直不安なところがありました。ヒットしたことで、うれしい反面、これからもますます気を引き締めていかなければ、という思いも湧いてきています。

田村睦心　キャストもそうですが、キャラクターデザインや監督、ほかにもいろいろと変わったところがありました。それでも「デジモンアドベンチャー」という作品が好きで続きを観たいという人がたくさんいて、私もうれしいと同時に「がんばらなきゃな」という気持ちにもなりました。

松本美和　上映劇場が10館限定だったということもあって、きっと遠くから劇場に足を運んでくださった方もいただろうし、上映の前には行列を作って待っていただいたと耳にしました。そういう熱心な皆さんに支えられて、しっかり作品を作っていけていることが、本当にありがたいです。

櫻井孝宏　「懐かしい」と思いながら観ている人と、新しい作品として観ている人が、半々くらいなのかなというのがなんとなくの印象です。成長した選ばれし子どもたちを描くのは、チャレンジだったと思うんです。でもモンスター側からしてみると、成長した彼らを見られるのって、感慨深いものがあって（笑）。だから、僕は純粋にこの作品に関われることを楽しんでます。あまり難しいことは考えないで、のんびりやってますね（笑）。なんか昔より楽じゃないですか？

松本　楽しいのもそうだけど、昔より気持ちが楽だよね！ 当時はまだ若手だったから「ほかの皆さんに迷惑をかけちゃダメだ」という一心でがんばっていた部分があって、ピリピリしていたときもあったから。

櫻井　経験が浅くて、必死でしたからね。お互い歳を取りましたねえ……。

松本　そんなこと言っちゃダメだよ。若くあろうよ（笑）。

タケルは人間愛があるキャラクター！（榎木）

──本当に皆さん息がぴったりですね（笑）。改めてお聞きしたいのですが、田村さん、榎木さんは今回の「tri.」からシリーズに参加されましたが、ここまでアフレコを重ねてきて、手応えはいかがですか？

田村　第1章のときは、天神有海さんが演じた光子郎のイメージになるべく近いものにしなきゃと考えすぎて、それにとらわれていたような気がしていたんです。でも、2章、3章と演じていくうちに役になじめてきたような気がしているんですけど……どうでしょう？

松本　ぴったり合ってるよー。

田村　ありがとうございます！

榎木　僕も田村さんと一緒で、なるべく役の印象を引き継ごうと考えていて、以前の作品を観返してみたりもしたんですが、やっぱりあまり意識しすぎるとただのモノマネになってしまいそうな怖さがあったんですよね。なので最終的には、自分なりのタケルを作ろうと思ってアフレコに臨みました。今回のタケルは飄々としていて心が読めない部分があるんですが、普段の自分に近いところでもあるので、自分らしさを出しつつ演じられたら大丈夫だな、と。

──ご自分に近いところがある？

榎木　そうですね。でも僕はタケルと違って女性は苦手なんですけど。

田村　それ、まだ言う？（笑）

榎木　そこだけは自分にない部分なので意識して演じています（笑）。

──タケルはちょっとチャラい感じに育ちましたもんね……（笑）。

榎木　そんなことはないですよ。彼はいい子です（笑）。

田村　女性であるとか、男性であるとかの垣根がないんですかね。

榎木　そう！ タケルは人類愛、人間愛があるキャラクターなんです！

松本　大きく出たねえ（笑）。

──松本さんと櫻井さんは、タケルと光子郎の役を引き継がれたお二人の演技にはどんな印象を持っていますか？

松本　私はまったく違和感を抱きませんでした。普通に「あ、タケルね」って、自分の中でパチっとピースがハマる感じがしました。

榎木　ありがとうございます……。

櫻井　僕も「ああ、光子郎やほかの選ばれし子どもたちは、こういう成長を遂げるだろうな」と、作品として描かれてない時間も見えるような、そんなふうに感じていました。