映画ナタリー Power Push - 「デジモンアドベンチャー tri. 第3章『告白』」
選ばれし子どもたちとデジモンの絆
光子郎は演じていて苦しくなる(田村)
──さて、第3章のストーリーでは、そんな光子郎とタケルにスポットが当たるそうですね。1章や2章では、年長世代がぎくしゃくしている中で頼りがいのある感じだった2人ですが、3章ではちょっと弱い面を見せる。そういう違った一面を演じるにあたって、田村さん、榎木さんはどんなことを考えておられたのでしょう?
榎木 タケルはまだ中学生だし、いくら子供のときに壮大な冒険をしたとしてもまだまだ精神的に幼い部分もあるんです。予告映像でも明らかになっていますけど、今回パタモンが感染してしまう。親友や兄弟のような関係の相手が大変なことになっていたら、さすがに平常心ではいられませんよね。今回はそういうパタモンとの関係性による変化を意識して演じました。
田村 光子郎はかわいそうというか、演じていて苦しくなるというか……。みんなもがんばっているんですが、光子郎はとにかく「そんなに思い詰めなくても!」って思うくらい自分を追い詰めて、デジモンたちの危機を解決しようとするんです。この世界に大きな影響を及ぼす問題が、高校生になりたての子の肩にかかっているのは、責任も重くつらいだろうなと考えながら演じていました。光子郎はテントモンの支えがなかったらどうなっていたことか……。
パタモンが迷惑かけてすみません(松本)
──タケルや光子郎が追い込まれていくと、見守るパートナーデジモンたちも気が気じゃないですよね。櫻井さん、松本さんはどんなことを感じながら演じられていたのでしょう?
櫻井 今回、テントモンの心をずばりと表しているセリフがあるんですよ。昔の光子郎は好奇心や探究心の強さが魅力だったけど、今はそれで苦しんでいる。そんな姿を見るのはつらい、と。テントモンはあんまり自分の気持ちを押し出さないキャラクターですが、やっぱりボロボロになっていく光子郎を見るのがつらかったんでしょうね。光子郎が思い詰めている場面は、その気持ちもわかるがゆえに、テントモンも人知れず覚悟を決めていたりしていて。そういうシーンは、やっぱりしんどかったです。どのデジモンも自分のパートナーに対して抱くものだと思いますよ。……アグモンはよくわからないですけど。
一同 (笑)
松本 アグモンは何よりもおいしい食べ物に興味がある子だからねぇ……。
櫻井 はい。アグモンだけは不思議な成長をしてます(笑)。
松本 パタモンはテントモンと違って選ばれし子どもたちを見守る側ではなく、感染の事態の当事者なので、「迷惑かけてすみません」としか言えないです……。
田村 たまたまパタモンだっただけですから。パタモンは悪くないですよ!
子供の頃にワクワクしていた感覚がずっとある(櫻井)
──それにしても、「デジモンアドベンチャー」というシリーズが長きにわたって愛される理由はどこにあると思いますか? 改めてお聞きしてみたいです。
榎木 まず、デジモンたちが魅力的ですよね。みんなかわいかったりカッコよかったり、存在感が大きいんじゃないかと思います。それぞれが個性的だし、特徴が名前にも表れていて親しみやすいですよね。
田村 いつ観ても、強い敵と戦うドキドキや、冒険のワクワクがあるんです。子供の頃の夏休みの思い出みたいなものが詰まっているというか。その感覚が好きなのかな、と思います。
松本 勧善懲悪じゃなかったり、ときには命に関わる危険も描かれたり、単純なアニメではないところが新鮮だったんでしょうね。長く楽しんでいただけてありがたいな。そんな気持ちしかないです。
櫻井 子供だけで冒険していく様子は、見守るような気分にもなれるし、子供たちを自分に重ねることもできる。自分が子供の頃にちょっとワクワクドキドキしていた感覚が、このシリーズにはずっとあるなと感じています。
──気が早いですが、4章以降の展開も気になるところです。皆さん、今後の展開に期待されていることはありますか?
田村 4章からは「デジモンアドベンチャー」を観ていた世代にとって待望の展開になりそうなので、そこは楽しみです。
榎木 そうですね。ついに舞台はあの世界へ……! 期待していただければと思います。
──デジモンの皆さんはこれからも大変なことが続きそうな。
田村 でも、どうなってもテントモンの口調は関西弁ですよね。
松本 テントモン語よね。
櫻井 あれは本当は何弁なんでしょうね?
田村 デジタルワールドの……西寄り地方の言葉ですかね?
櫻井 あははは(笑)。懐かしいキャラも、今後はもしかしたら出てくるんですかね?
田村 スカモン、エテモンが見たいですね。
松本 「スカモンアドベンチャーtri.」(※2016年のエイプリルフールに作品公式サイトに掲載されたネタ企画)が実現したりして……(笑)。いろいろ出てきてくれると楽しいですよね。
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- Contents Index
- これまでのストーリー&細谷佳正コメント
- 田村睦心×櫻井孝宏×榎木淳弥×松本美和インタビュー
- キャラクター紹介
「デジモンアドベンチャー tri. 第3章『告白』」2016年9月24日より全国11館にて劇場上映
“選ばれし子どもたち”がデジタルワールドへ渡ったあの夏の冒険から6年。高校生に成長した彼らはそれぞれのパートナーデジモンと再会を果たし、望月芽心とメイクーモンが新たに仲間に加わった。しかしメイクーモンが突如異変を起こしてデジタルワールドの歪みの向こうへと姿を消してしまう。選ばれし子どもたちは、メイクーモンが“感染”したのではないかと考え、原因を探ることに。さらなる被害を防ぐためにデジモンたちは光子郎のオフィスに隔離されるが、パタモンに感染の兆候が見え始めて……。
スタッフ
製作:高木勝裕
企画:森下孝三
原案:本郷あきよし
監督:元永慶太郎
シリーズ構成:柿原優子
脚本:柿原優子、広田光毅、鈴木貴昭
キャラクターデザイン:宇木敦哉
キャスト
八神太一:花江夏樹
武之内空:三森すずこ
石田ヤマト:細谷佳正
泉光子郎:田村睦心
太刀川ミミ:吉田仁美
高石タケル:榎木淳弥
城戸丈:池田純矢
八神ヒカリ:M・A・O
望月芽心:荒川美穂
アグモン:坂本千夏
ピヨモン:重松花鳥
ガブモン:山口眞弓
テントモン:櫻井孝宏
パルモン:山田きのこ
パタモン:松本美和
ゴマモン:竹内順子
テイルモン:徳光由禾
メイクーモン:森下由樹子
- 「デジモンアドベンチャー tri.」シリーズ公式サイト
- デジモンtri.9.24劇場上映 (@Digi_advntr15th) | Twitter
- デジモンアドベンチャー Digimon Adventure 15th Anniversary Project | Facebook
- 「デジモンアドベンチャー tri. 第3章『告白』」作品情報
©本郷あきよし・東映アニメーション
田村睦心(タムラムツミ)
6月19日生まれ、東京都出身。「モンスターハンターストーリーズ RIDE ON」リュート役や「バトルスピリッツ ダブルドライブ」ヨク・アルバトロサ役など演じ、海外ドラマでは「GOTHAM」ブルース・ウェイン役、「the ORIGINALS」ヘイリー・マーシャル役などの日本語吹替を務めている。
櫻井孝宏(サクライタカヒロ)
6月13日生まれ、愛知県出身。「ダイヤのA」御幸一也役、「おそ松さん」おそ松役、「しろくまカフェ」シロクマ役など、個性豊かなキャラクターを数多く演じてきた。9月23日に出演作「亜人 -衝戟-」が全国ロードショー。また主人公・馬締光也の声を務めた「舟を編む」が10月よりフジテレビ系で放送される。
榎木淳弥(エノキジュンヤ)
10月19日生まれ、東京都出身。「カードファイト!!ヴァンガードG」の綺場シオン役、ゲーム「刀剣乱舞」の堀川国広役、「アイドルマスターSideM」の舞田類役などで注目を集めた。「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」では、ピーター・パーカーおよびスパイダーマンの日本語吹替を担当した。
松本美和(マツモトミワ)
12月15日生まれ、福岡県出身。テレビアニメ「デジモンアドベンチャー02」では、パタモンをはじめとしてトコモン、ポヨモン、エンジェモンなどさまざまなキャラクターの声を担当した。主な出演作は「水色時代」「夢のクレヨン王国」「しにがみのバラッド。」