川口ゆりなが韓国ドラマ「チェックイン漢陽(ハニャン)」で描かれる友情に共感 ペ・イニョク、キム・ジウン、チョン・ゴンジュ、パク・ジェチャン共演の青春ロマンス時代劇

韓国ドラマ「チェックイン漢陽(ハニャン)」がLeminoで独占配信、KNTVで放送されている。王宮よりもきらびやかだと言われる朝鮮最高の旅閣「龍天楼(ヨンチョンル)」を舞台とした本作は、それぞれに秘密や目的を抱いて集まった見習い従業員たちの愛と絆、そして復讐を描いた青春ロマンス時代劇だ。「ハオナ(ですが)四人衆」と呼ばれる問題児チームとなった若者4人が、いつしかかけがえのない親友になっていく姿が映し出される。4月26日には、キャストのペ・イニョク、キム・ジウン、チョン・ゴンジュ、パク・ジェチャン(DKZ)が来日するファンミーティングの開催も決まっており、話題を集めている。

映画ナタリーでは韓国ドラマ好きで、歌手・モデル・女優として活躍する川口ゆりなにインタビューを実施。“時代劇に抵抗のある人も気軽に楽しめる”作品の魅力や、キャストから受けた刺激、さらに俳優業を始めてからの自身の変化などについて聞いた。また「ハオナ(ですが)四人衆」と同じように、オーディション番組「Girls Planet 999(ガルプラ)」で夢や目標を追いながら共同生活をした経験のある彼女が“心の支えになっている仲間”たちについても語ってくれた。

取材・文 / 金子恭未子撮影 / 梁瀬玉実

韓国ドラマ「チェックイン漢陽(ハニャン)」予告編公開中

もっと韓国時代劇の面白さを発信したい!

──川口さんは韓国ドラマを普段からかなり観ていると聞きました。

両親が韓国ドラマ好きで、その影響で子供の頃から観ていたんです。当時は「宮廷女官チャングムの誓い」とか「イ・サン」とか、時代劇を両親と観ることが多かったですね。でも、保育園に通っていたときだったので、ストーリーは全然記憶になくて。「オーナラ、オーナラ」って、「チャングム」の主題歌を歌っていたことだけはなぜかすっごく覚えています(笑)。

──(笑)

成長して中高生になってからも韓国ドラマは両親と観ていました。母は時代劇が好きで、父は現代劇が好きなんですが、レンタルビデオ店に一緒に借りに行っていましたね。当時「華麗なる遺産」や「相続者たち」を観ていた記憶があります。

──“韓ドラ英才教育”ですね(笑)。

あはははは(笑)。韓国ドラマは幼い頃からずっと観てきたこともあって、あまり離れたことはないですね。宮崎から上京してからは、自分でサブスクを使って探すようになりました。

川口ゆりな

川口ゆりな

──どんなジャンルがお好きなんですか?

ディズニーとか、ファンタジーものの洋画を観て育ったということもあって、リアルなものよりは、世界観が作り込まれたファンタジーが好きです。「花郎<ファラン>」とか、「麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~」「太陽を抱く月」「雲が描いた月明り」、あとは「ホテルデルーナ~月明かりの恋人~」が大好きです。

──川口さんが感じる韓国ドラマならではの魅力はどんなところにありますか?

ビジュアルの優先度が高いというのが韓国ドラマならではの魅力につながっていると感じます。どういったビジュアルを追求するか、日本と韓国で違いがあると思うんです。日本の作品だと寝起きのシーンはすっぴんに近いメイクにしたり、暗闇の場面だったら照明を抑えてリアルを追求するじゃないですか。でも韓国ドラマは寝起きでもフルメイクだったり、暗闇のシーンでも人物がきれいに映ることを優先させた照明になっていたり。どちらがいいとか悪いということじゃなくて、リアルを追求すれば生っぽさにつながるし、韓国ドラマは絵画を観ているようで癒やされます。残酷なシーンも完全にフィクションの世界なんだって思いながら観られる。それぞれ、楽しみ方に違いがあると感じます。あとは韓ドラの魅力を語るならOST(オリジナルサウンドトラック)は外せない! お気に入りの作品はOSTも大好きになるんです。音楽も韓ドラの魅力の1つだと思います。

──お話を伺っていると本当に韓国ドラマがお好きなことが伝わってきます。

お仕事で一緒になった同世代の子と韓ドラの話をすることもありますね。私がミュージカル「梨泰院クラス」に出ることを知ってくれて、ドラマが気になったという子もいるのでお薦めしたり。私は時代劇も好きなので、そういった作品も観てほしくてお薦めするんですけど、「チャングム」のような歴史ドラマのイメージもあるからか「話数も多いし、ちょっと重いんじゃない?」って、抵抗があるみたいで。だからもっと時代劇の面白さを発信したい!と思っているんです。

川口ゆりな

川口ゆりな

「チェックイン漢陽」は気軽に楽しめる作品

──そんな川口さんに今回は青春ロマンス時代劇「チェックイン漢陽(ハニャン)」を4話までご覧いただきました。4人の若者の愛と絆、そして復讐が描かれます。いかがでしたか?

展開が気になって4話一気観しちゃいました! 物語のテンポがよいですし、観やすくて、重すぎないので、時代劇に抵抗のある人も気軽に楽しめる作品だと思います。でもしっかり、情緒を揺さぶってくれる。コメディ要素もあるし、韓ドラの醍醐味でもあるキュンキュンも味わえて、さらにミステリーも楽しめる。韓国ドラマのいいところ取りのような作品で、すごく面白いなと思いました。

男装ヒロイン&3人の青年が繰り広げる青春時代劇
「チェックイン漢陽(ハニャン)」ってどんなドラマ?

王宮よりもきらびやかだと言われる朝鮮最高の旅閣「龍天楼(ヨンチョンル)」に、秘密や目的を胸に抱いた4人の若者がやって来る。影の権力者を倒し王室を救う鍵となる「黃銅金匙(ファンドングムシ)」を見つけるためイ・ウノという名で龍天楼に飛び込んだ王子イ・ウン、父の死の真相を突き止めるため男装して龍天楼に潜入したホン・ドクス、龍天楼の後継者であることを隠し、見習いとして入ってきたチョン・ジュナ、そして没落した一族を再興するため龍天楼での成功を夢見るコ・スラだ。

4人の見習いたちは、龍天楼での生き残りをかけて苦楽をともにするうちに、いつの間にか「ハオナ(ですが)四人衆」と呼ばれる問題児チームとなり、かけがえのない親友となっていく。しかし、友情とも言えないドクスへの複雑な気持ちに戸惑うウノ。一方、ジュナはドクスが女性であることにいち早く気付き、彼女を守ろうとしていた。そんな中、親の代から複雑に絡んだ彼らの過去が明らかになり、やがて運命を変えるつらい選択の時が訪れる。

──川口さんは本作のどんなところに心惹かれましたか?

復讐劇の部分で言うと、ドクスとドクスの父親の弟子だったソル・メファの関係がすっごく気になりました! 幼少期のドクスはメファが自分の父親を刺すところを目撃してしまいますけど、そのあと逃げるドクスを見ているメファが一瞬映るじゃないですか? ということはメファはもしかしてドクスを逃したかもしれない。ドクスから見えているメファと、実際のメファは違うと思うんです。メファにいったい何があったのか先の展開が気になります。一方のドクスは父親の復讐に燃えているので、2人が今後どう交差していくのかすごく楽しみ。私の中で勝手にメファはめちゃめちゃいい人かもしれないというシナリオもできあがっています(笑)。

──メファの行く末も必見なのでぜひ見届けてほしいです。

キム・ジウン演じるホン・ドクスは父の遺言に従い、12年間、男として生きてきた女性。幼少期に父の弟子であり信頼していたソル・メファが父親を刺すところを目撃する。以来、「龍天楼」に入り旅閣を仕切るソル・メファに復讐することを目標に生きてきた

キム・ジウン演じるホン・ドクスは父の遺言に従い、12年間、男として生きてきた女性。幼少期に父の弟子であり信頼していたソル・メファが父親を刺すところを目撃する。以来、「龍天楼」に入り旅閣を仕切るソル・メファに復讐することを目標に生きてきた

あと、やっぱり気になるのはドクスをめぐってウノとジュナの関係がどうもつれていくんだろう?ってところですよね。ウノのお父さんである王と、王を操ろうとするジュナの父親チョン・マクトンはシビアな関係ですけど、父親たちとは違って、息子たちなら絆を築けるんじゃないかと思いたい。でもドクスをめぐって絶対、2人はバチバチするだろうなと予想しています(笑)。

──韓国ドラマといえばロマンスも大きな魅力の1つですが、この作品ももれなく魅力的ですね。

今後、ウノとドクスの恋愛模様がどう展開されていくか楽しみです。水中で2人の唇が……というシーンがあったじゃないですか。ウノはドクスが女性だとまだ気付いていないですが、おおぉ!となりました。ドクスもウノのことを若干意識しているだろうし。そしてそこにドクスが女性だと気付いたジュナが絡んできて、関係が複雑になっていく。すごく個人的な意見ではジュナとメファがくっついてもいいなって。お姉さんなメファと、頼るジュナってよくないですか?(笑)

(配給担当) 初めて出た意見です!(笑)

ジュナはまずドクスにドギマギしてもらって、失恋したあとにメファとなんて(笑)。そんなふうに、どうなるんだろう?と先の展開を想像しながら楽しんでいます。予想が外れるのもそれもまた楽しいです。

ペ・イニョク演じる現王の息子イ・ウン。王室をあざ笑う「龍天楼」の主と兵曹判書の弱みを探し出すため、「龍天楼」に潜入する。ドクスに対する自身の感情がいったいなんなのか理解できず、混乱するかわいい一面を持つ

ペ・イニョク演じる現王の息子イ・ウン。王室をあざ笑う「龍天楼」の主と兵曹判書の弱みを探し出すため、「龍天楼」に潜入する。ドクスに対する自身の感情がいったいなんなのか理解できず、混乱するかわいい一面を持つ

チョン・ゴンジュ演じるチョン・ジュナ。「龍天楼」の後継者であることを隠し、見習いとして入ってくるキャラクター。持ち前の陽気な性格でドクスとすぐに仲良くなるが、彼女が女性だと気付いてから、心がざわつき始める

チョン・ゴンジュ演じるチョン・ジュナ。「龍天楼」の後継者であることを隠し、見習いとして入ってくるキャラクター。持ち前の陽気な性格でドクスとすぐに仲良くなるが、彼女が女性だと気付いてから、心がざわつき始める

──キャラクターが魅力的だということも想像が膨らむ理由なのではないかなと思います。かけがえのない友情で結ばれていく「ハオナ(ですが)四人衆」はそれぞれどのような人物に映りましたか?

ハオナは4人で1つ。いいチームですよね! ウノはピュアで誠実で、ちょっと不器用な王子様という印象です。王子としてしっかりしなきゃという責任感とプレッシャーを抱えている。見習いとして潜入しているのに、ハオナのみんなといるときに、王子である素が出ちゃったりするのが面白いです。

ジュナは始めは自分の将来のこととか難しく考えることを手放して、目の前のことだけを楽しんでいる余裕のある人だなという印象だったんです。でもドクスが女性だと気付いてから急にめちゃめちゃドキマギするやんって(笑)。そこの余裕はないんだなって、すごくかわいいと思いました。現時点で「ハオナ(ですが)四人衆」の中では、私はジュナ推しなんです。ドクスの秘密に気付いても自分の心の中だけでとどめて、とても思いやりがある。

──“男装ヒロインもの”はいつ誰が秘密に気付くのか、そして気付いたあとの反応も見どころですよね。

そうなんですよね! ウノはドクスのサラシに黃銅金匙が刺さっているのを見ていたので、一番最初に女性であることに気付くかなと思っていたんですが、全然気付かなくて(笑)。いつ気付くんだろうと楽しみです。ジュナが先に気付く展開も面白いなと思いました。

キム・ジウン演じるホン・ドクス。彼女とイ・ウノ、チョン・ジュナの三角関係も本作の見どころ

キム・ジウン演じるホン・ドクス。彼女とイ・ウノ、チョン・ジュナの三角関係も本作の見どころ

──2人から思いを寄せられるヒロインのドクスは殺された父の遺言に従い、女性であることを隠して、12年間も男として生きているキャラクターです。

体術もできるし、賢いし、運もあって、主人公感たっぷり。ドクスってすごく頼もしくないですか? めっちゃくちゃかっこいいので、付いていきたくなります。でもお父さんを目の前で殺されてしまったトラウマを抱えていて、弱い部分もあるので、そんなところが垣間見えると愛しくなります。ドクスを演じているキム・ジウンさんは「となりのMr.パーフェクト」を観ていたので、知っていたんですが、また今回は全然違う役柄で! 俳優さん自体を知っていると、本人のイメージが先に入ってきてしまうこともあるんですけど、キム・ジウンさんは、最初からドクスとしてすっと入ってきてすごいなと思いました。

あとコ・スラは絶対、ハオナにいなきゃいけないですよね! 問題児の3人を正しい道に導いていく存在。最初は、スラって信念がしっかりあるから、自分の意見を頑なに譲らなかったり、頑固なのかなって思っていたんです。でもほかの3人の意見も聞いて、受け入れるキャラクター。ドクスのお遊びに乗ったりもして、ハオナのほかの3人には心を許しているから、彼の殻みたいなものが外れるのかなと。本当にいいチームだと思います。

パク・ジェチャン(DKZ)演じるコ・スラ。没落した家を立て直すため「龍天楼」に入り成功を目指しているが、問題児のドクス、ウノ、ジュナが起こすトラブルに巻き込まれてしまう。最初は彼らと距離を置こうとしていたものの、同じ部屋で苦楽をともにするうちにかけがえのない友情を築いていく

パク・ジェチャン(DKZ)演じるコ・スラ。没落した家を立て直すため「龍天楼」に入り成功を目指しているが、問題児のドクス、ウノ、ジュナが起こすトラブルに巻き込まれてしまう。最初は彼らと距離を置こうとしていたものの、同じ部屋で苦楽をともにするうちにかけがえのない友情を築いていく

──川口さんは4人の中で誰と一番仲良くなれそうですか?

ドクスですね。仲良くなれそうというか、仲良くしたい! 頼もしすぎます。私のお友達も自分をしっかり持っている子が多いので、刺激をもらっているんですが、ドクスも一緒にいたらすごく刺激をもらえそうだなと思いました。

──「ハオナ(ですが)四人衆」を演じているペ・イニョクさん、キム・ジウンさん、チョン・ゴンジュさん、パク・ジェチャンさんは4月26日に開催される「チェックイン漢陽(ハニャン)」のファンミーティングのために来日される予定です。4人に聞いてみたいことはありますか?

やっぱりお芝居について聞いてみたいですね。私は、キャラクターのバックグラウンドとか、感情の流れとか、どんなことを思ってこのセリフを口にしているのかとか、けっこう細かく考えて、それをインプットして演じるタイプなんです。だから、感覚的に演じるとか、役を憑依させてみたいな演じ方はまだ経験がなくて。準備せずに現場に行くのは怖いなって思っちゃうんです。だから皆さんが、緻密に計算されるタイプなのか、感覚タイプなのか知りたいです。どんなふうに役作りされているのかすごく気になります。

「チェックイン漢陽」ドラマファンミーティング in TOKYO ~チェックインなさいますか?~

2025年4月26日(土)東京都 豊洲PIT
昼公演 開場 13:15 / 開演 14:00
夜公演 開場 17:15 / 開演 18:00

チケット料金

税込14000円
※チケット購入者全員に“お見送り会&ペンライト”特典付き

出演者

ペ・イニョク / キム・ジウン / チョン・ゴンジュ / パク・ジェチャン(DKZ)

──本作を観ていて、役者目線で4人から刺激を受けた部分はありますか?

ありますね。4人とも表情で魅せてくれるので、注目して観ていました。韓国の俳優さんのお芝居って、表情筋の使い方が日本の俳優さんと違うなと思うんです。日本人はリアクションするときに、眉毛を動かすことはあまりないと思うんですけど、韓国の俳優さんは表現の1つとしてかなり使っている。韓ドラを観るとセリフだけじゃなく、細かい表現が大切なんだなと勉強になるんです。例えばペ・イニョクさんが演じるウノは佇まいから王子だなと感じました。歩き方もきっと意識されているんだろうなと。キム・ジウンさんもドクスを演じるにあたって、歩き方や、身振り手振りの荒さを意識しているだろうなと思いました。ドクスの女性としての一面が出るときは、逆に表情がやわらかくなる。私が今後、男装の役をやることがあるかはわからないですけど、いつそういう役が来てもいいように、引き出しは作っておきたいなと思うので、とても勉強になりました。

ハオナ(ですが)四人衆

ハオナ(ですが)四人衆

──俳優業を始めてから、作品の見方に変化はありましたか?

完全に変わりましたね。学べるものは学びたいと思ってドラマや映画を観るので、日本の作品の場合はよくも悪くも世界感にどっぷり浸るということが難しくなりました。日本語のセリフの場合、自分だったらこういう言い回しにするなとかいろいろ考えながら観ていたり。韓国ドラマや洋画はそういうことがないので、観るとリフレッシュできます。

──今はミュージカル「梨泰院クラス」の準備中と聞いています。

もともとドラマが大好きだったので、そことリンクさせるためにもまた観直さなきゃなと思っています。でもクォン・ナラさんが演じたオ・スアに寄せていくのは違う。しっかりオリジナリティあるオ・スアを作るため、がんばります!