小林勇貴と西村喜廣が語るNetflixオリジナル映画「ブライト」| 日本映画界の“逆徒”コンビは映像配信サービスの巨人が放つ超大作をどう観たか

100億円あったら街を1個作ってぶっ壊せる(西村)

──「エルフが100億円をくれたら」というお話が西村さんから出ましたが、実際にNetflixから「100億円出す」と提案されたらどんなオリジナル映画を作りたいですか?

小林西村 ……。

──100億円という金額はイメージしにくいかもしれませんが……(笑)。

西村喜廣

西村 100億はイメージ浮かばないよね。

小林 100億だと何ができるんですかね……。道路は作れますか?

西村 作れる。あと建物も作れる。

小林 じゃあ道路を作ってカーチェイス、それから建物を作って大爆破ですね。

西村 高速道路を作りたいね。

小林 “第三東名”を作るとか(笑)。じゃあ高速道路でカーチェイスをして、その道路も最終的にバラバラにぶっ壊れて家もぶっ壊れるっていう、スケールのでかい「逆噴射家族」(1984年に公開された石井聰互の監督作)を撮りたいな。

左から小林勇貴、西村喜廣。

西村 100億あったら街を1個作ってぶっ壊せるんじゃない?

小林 すげえ!

西村 富士宮(小林の出身地。小林はこれまで富士宮を舞台にした作品を多く制作している)っていう街を1個作っちゃって(笑)。

小林 で、不良をたくさん呼んできて「何してもいいぞ!」って(笑)。

どんな形式で観ても面白い映画を作ってる自信がある(小林)

──その映画、ぜひ観てみたいです(笑)。ちなみに今回は、どんなデバイスで「ブライト」を鑑賞されたんでしょうか。

小林 うちのパソコンですね。

西村 僕もそうです。今回初めてNetflixを利用して思ったのは、途中で再生が止まることが全然ないってこと。

小林 そういえばまったく止まんなかったですね。

西村 動画配信サービスって、ものによってはストリーミング中にしょっちゅう止まっちゃいますから。画面がめちゃくちゃ荒れたり。でもNetflixは最後まで安定してる。

──Netflixはテレビやパソコン、スマートフォン、タブレットなどで観ることが前提ですが、そのことにはどういう印象を持たれていますか? 映画監督の中には「自分の作品は劇場で観てもらいたい」という方も少なからずいますが。

西村 僕の場合は劇場で観てもらいたいというよりは、自分もお客さんと一緒に観たいという思いがあるんですよね。

小林 俺もそうですね。

西村 まあ大きい画面で観てもらいたいっていう気持ちはありますよ。でも時代が時代なんで、スマホとかでもいいとは思います。

小林 あと、デバイスによって作品の面白さが損なわれるとは思ってないんで。どんな形式で観ても面白い映画を作ってるっていう自信はあります。

小林勇貴&西村喜廣「ブライト」なりきりフォトギャラリー

Netflixオリジナル映画「ブライト」
配信中
ストーリー

人間やオーク、エルフなどさまざまな種族が共存する、もう1つの世界のロサンゼルス。人間の警官ダリル・ウォードは、最下層の種族であるオークから初めて警官になったニック・ジャコビーと嫌々コンビを組んでいる。ある日ウォードとジャコビーは、むごたらしい死体の残る異様な犯罪現場に遭遇。恐怖に震えるエルフの少女ティッカと、魔法の杖(ワンド)を見つける。どんな願いも叶える力を持ち、使い方によっては世界を滅ぼしかねないワンドは、選ばれし者“ブライト”だけが使えるとされるアイテム。悪用されることを恐れたウォードとジャコビーはワンドを持ってティッカとともに逃走するが、人間のストリートギャング、警察に恨みを持つオークたち、そしてエルフの邪悪な異端集団インファーニが3人に襲いかかる。

スタッフ

監督:デヴィッド・エアー
脚本:マックス・ランディス

キャスト

ダリル・ウォード:ウィル・スミス
ニック・ジャコビー:ジョエル・エドガートン
レイラ:ノオミ・ラパス
ティッカ:ルーシー・フライ
カンドミア:エドガー・ラミレス

Netflix

Netflixは、190カ国以上で1億900万人超のメンバーが利用する、エンタテインメントに特化した世界最大級のオンラインストリーミングサービス。アワード受賞作を含むオリジナルコンテンツ、ドキュメンタリー、長編映画など、1日あたり1億4000万時間を超える映画やドラマを配信している。メンバーはあらゆるインターネット接続デバイスで、好きなときに、好きな場所から、好きなだけエンタテインメントを楽しむことが可能。広告や契約期間の拘束は一切ないうえ、Netflix独自のレコメンデーション機能が1人ひとりのメンバーの好みに合わせて作品をオススメするため、お気に入りの作品が簡単に見つかる。

小林勇貴(コバヤシユウキ)
1990年9月30日生まれ、静岡県富士宮市出身。デザイン会社で働きながら自主映画「TOGA」「絶対安全カッターナイフ」を制作し、動画サイトに投稿する。第3作「Super Tandem」がPFFアワード2014に入選。「NIGHT SAFARI」でカナザワ映画祭2014のグランプリを受賞し、「孤高の遠吠」でゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016オフシアター・コンペティション部門のグランプリを獲得する。本物の不良をキャスティングした暴力的かつユニークな作風で注目を集め、2017年3月には「逆徒」を発表。同年11月、間宮祥太朗が主演を務め、西村喜廣がプロデューサーとして参加した「全員死刑」で商業映画デビューを果たす。12月には西村と再びコンビを組み「ケータイで撮る」映画シリーズ第1弾「へドローバ」を発表した。
西村喜廣(ニシムラヨシヒロ)
1967年4月1日生まれ、東京都台東区出身。学生時代から自主映画を制作し、「限界人口係数」でゆうばり国際冒険・ファンタスティック映画祭'95のオフシアター・コンペティション部門審査員特別賞を受賞する。その後多くの映像作品で特殊メイクや特殊造型を担当しながら、「東京残酷警察」「ヘルドライバー」などを監督。2012年にはナチョ・ビガロンド、井口昇、アダム・ウィンガードらとともにホラーアンソロジー「ABC・オブ・デス」に参加した。近年は実写映画「進撃の巨人」や「シン・ゴジラ」で特殊造形プロデューサーを務めつつ、「虎影」「蠱毒 ミートボールマシン」を監督。2017年には小林勇貴の「全員死刑」「ヘドローバ」をプロデュースした。特殊メイクや特殊造型を手がける西村映造の代表取締役。