JUNONのパートが来たときの空気の変わり方は本当にすごい(RYUHEI)
──本当に細かいところまで読み込んでいらっしゃいますね! ちなみにJUNONさんとRYUHEIさんの関係性は、出会ってから今までで変化した部分はありますか?
JUNON 最初はあんまりRYUHEIの中身を知らなかったけど、オーディションの頃から考えたら、いろいろと変化したよね。
RYUHEI サイズアップはしたかな(笑)。
JUNON 物理的に?(笑) 年齢差での上下関係がまったくないグループなので、ずっと対等な関係性ではあると思います。
RYUHEI JUNONは歳上だから、やりたくないことをやってくれるのがすごくうれしいですね(棒読みで)。
JUNON そうそう。俺はRYUHEIをこき使ってるし。……あ、全部嘘ですからね(笑)。
──(笑)。では、対等な関係性という前提で、お互い頼りにしている部分を挙げるとすると?
RYUHEI 真面目に話すと……歌唱面で、JUNONのパートが来たときの空気の変わり方。「Bye-Good-Bye」のサビを踊りながらあれだけ歌っているのは本当にすごい。JUNONのあのパートが、「Bye-Good-Bye」を曲にしてくれたと思っています。
JUNON ダンスを始めたときから身長の高さに悩んでいたので、RYUHEIはその壁を先に突破している先輩で。いつも見本にしています。僕はずっとサッカーをやっていたんですけど、背が高くなってやりづらくなった経験があるんですね。RYUHEIも小さい頃からずっとダンスをやっているから、きっと身長が伸びて同じ経験をしたと思うんです。そこを乗り越えてきているから、学ぶところがたくさんありますね。
──素敵な関係性ですね。お二人に限らず、BE:FIRSTさんはメンバーみんな仲が良く、刺激し合っている関係性であることが日頃から伝わってきます。凪と玲王も自分にないものを持っている相手に惹かれ、刺激を受けて成長していくというところが物語の軸になっていますが、ほかのメンバーさんも含め、同じように刺激や影響を受けた経験はありますか?
JUNON さっきの話と被ってしまうんですが、ダンスですね。自分を潔に例えるとすれば、全メンバーのいろいろな部分を見て、奪って、ここまで来ている実感があります。
RYUHEI 僕は、音に対してのアプローチかな。自分がひじで取る音を、ほかのメンバーは足や指で取っていたり。そういう感性はまねできない部分だけど、いつも「盗もう」と思っています。
──自分のスタイルや特性になじまないものは「自分には向いていない」とあきらめてしまいそうなものですが、そうではなく貪欲に吸収しようとしているんですね。
RYUHEI ダンスって、ジャンルレスにやっていかないと対応力がなくなってしまうんですよ。ヒップホップをしっかり実践的にやっていくには、ブレイクダンスに触る必要がある、とか。新しさやオリジナリティを出すには別のジャンルを何かしら習得しなければいけないので、そこはダンスのめちゃくちゃ難しいポイントだと思います。
──自分が苦手なことは、メンバーさんに教えてもらうわけではなく、あくまで自主的に盗むんでしょうか?
RYUHEI そうですね。「うまいな」と思ったら、とりあえずじーっと見て覚えます。
JUNON ダンスの根本的なテクニックを教えてもらうことももちろんありますけど、見せ方とか形とか、そういう部分は見て奪うことが多いですね。
アーティストとしてはいいエゴだったんじゃないかな(JUNON)
──そういう姿勢が、BE:FIRSTのハイスピードな進化を後押ししているんでしょうね。劇中で凪は自分のエゴに目覚め、サッカーへの意欲を高めていきますが、お二人はアーティストとしてエゴを抱いた瞬間はありますか?
JUNON エゴと言っていいかはわからないですけど、自分たちで「楽曲制作にもっと携わりたい」と主張したのは、アーティストとしてはいいエゴだったんじゃないかなと思っています。やるべきことを自覚したうえで「こうしたほうがBE:FIRSTにとっていいよね」という形を、みんなで話し合いました。
RYUHEI 凪のように一気に覚醒することって、現実ではなかなかないと思うんですね。僕は自分の中にあるものを最大限に生かすというスタンスでやってきたので、そんな今の自分を見てほしいという気持ちは、ある種“エゴ”かもしれないです。極限状態に置かれて全力を出して、自分を越えていかないといけないという環境は凪たちに近しい部分があると思うし、そうする中で今までの自分になかったアイデアが湧いてくる感覚も似ているなと感じます。
──閉鎖空間である“ブルーロック(青い監獄)”は、サバイバル番組やオーディションに似ている面もありますよね。映画を観ていて、オーディションの頃の気持ちを思い出したりはしましたか?
JUNON 凪がスマホを取り返すためにがんばるシーンがあって、僕たちも持ち込み禁止だったなあ、と思い出しました(笑)。でもスマホが手元になければ、余計なことに時間を使わなくて済むし、練習に集中できたから、正しいといえば正しかったなと思います。
RYUHEI 僕は絵心の言葉を聞くと、オーディションって感じがする。絵心のプロデュース能力はすごいと思うんです。人は言葉で動くので、どんなに環境が整っていようが、プロデューサーの一言でその人が動くかどうかが決まると思うんですよ。絵心の言葉を聞いていると、どんなにエゴが強かろうと、一度彼の下についてみたいな、と思いますね。
──SKY-HIさんと絵心が重なる瞬間もあったり?
RYUHEI (しばし考えて)……ちょっとスタンスが違うかな(笑)。絵心の言葉で1つすごく好きなものがあるんです。潔と凛のチームが戦ったとき、浮いたボールを凛が拾うんですが、そのプレーについて「運は運だ。偶然以外の何物でもないだろ」という潔に対して、絵心が「“運”は降ってきてから考えたってもう遅いんだ チャンスが落ちてくる場所を見極めて待つ そんな嗅覚を持つ人間にしか“運”の女神は微笑まない」って言い放つんですね。初めて読んだとき、もう「ああああ!」って刺さって。運をたぐり寄せる、なるほど!と。そこを読んだときにこのマンガを買ってよかったと心から思いましたし、現実に絵心がいたら絶対に付いて行きたいと思いました。
SKY-HIさんのご両親に「ブルーロック」を薦めたことがある(RYUHEI)
──「ブルーロック」の選手たちは現実離れしたスーパープレーを見せますよね。JUNONさんは長らくサッカーをされていましたが、本作のプレーの描写はいかがでしたか?
RYUHEI 蜂楽のドリブルとか、現実で再現可能なものなのかな?
JUNON TikTokとかで再現にチャレンジした映像をたまに見るね(笑)。シンプルに全部すごいんですけど、自分は小野伸二さんとか、トラップがうまい人がすごく好きなんです。劇中でも凪が背中でトラップしていますけど、かっこよかったですね。不可能そうに見えて、ギリギリできそうな範囲を攻めている気がします。胸でトラップしてオーバーヘッドする技は(リオネル・)メッシもやっているから、そういうところから取っているのかな?とか、バイシクルショットかっこいいな、とか。
RYUHEI 僕は、原作の描き方を意識したシーンが熱いな!と思いました。最初にアニメ化されたときも、走っているシーンを映像で観られたのが新鮮だったんですけど、シュートのシーンで急に描写が切り替わったりするところが熱かったですね。
JUNON あと、「ブルーロック」は映像も素晴らしいんですけど、テレビシリーズの頃から音の迫力がすごいなと思っていて。劇場で観るとまた全然違って、引き込まれましたね。シュートを打っている音をリアルに具現化したようなサウンドになっていて、臨場感がありました。
──音と言えば、主題歌はSKY-HIさんとNissyさんによる「Stormy」です。SKY-HIさんも「ブルーロック」ファンということですが、主題歌を担当することは事前に聞いていましたか?
JUNON いや、僕たちも発表されて知って、「えっ!」って驚きました(笑)。
RYUHEI SKY-HIさんが「ブルーロック」を好きなのは知らなかったです。そういえば、僕、SKY-HIさんのご両親に「ブルーロック」を薦めたことがあるんですよ。
──えっ? それはどういう流れで?(笑)
RYUHEI 上京してすぐの頃、SKY-HIさんの実家に下宿していた時期があったんです。そのとき僕がリビングでずっと「ブルーロック」を読んで、机の上に山積みにしていて(笑)。さっきの絵心のシーンも薦めました。お父さんが「おお、いいこと言ってるな!」って言ってましたね(笑)。
──予想外のエピソードでした(笑)。「Stormy」は心の奥が静かに燃えるさまを描いたようなサウンドの楽曲ですが、聴いてみていかがでしたか?
RYUHEI 緊迫感のある曲調でしたね。Ryosuke“Dr.R”Sakaiさんのトラックもかっこよくて。なんか、サッカーの匂いがしました。
JUNON どういうこと?(笑) 2人の声のバランスもすごくよくて、かっこよかったですね。歌詞で凪たちの心情を描いていることも伝わってきました。
RYUHEI ラップを聴いていたら、何を考えてリリックを書いたのか気になりました。SKY-HIさんもサッカーをやっていたから、その時代のことを思い出したりしたのかな?と。今度会ったときにいろいろ聞いてみたいです。
──ぜひ聞いてみてほしいです! この映画で初めて「ブルーロック」に触れる人もいると思いますが、観たらきっと物語の続きが気になってしまうと思うんです。本作の先にもまだまだ魅力的な物語が広がっているので、その面白さを知っているお二人のお薦めポイントも踏まえつつ、最後に一言ずついただけたらと思います。
JUNON 凪と玲王は天才だから、この物語の中ではわりとサラッと進んでいく印象を受けるかもしれないですが、本編の主軸になっているチームZは練習の描写も細かくあったりして、サッカー少年たちの姿がより詳細に描かれています。映画を観たらぜひ、さらに原作やテレビシリーズも追ってほしいですね。みんなで一緒に寝泊まりする描写も、きれい好きな人がいれば部屋を散らかす人もいたり(笑)、部活をやっていた人は思い出す部分があるんじゃないかな。
RYUHEI サッカーの要素がリアリティを持って描かれている作品です。ストライカーの役割にフォーカスしてはいるけど、ミッドフィルダーとして優秀な選手もいたりしますし、チームとして支え合うチームZはすごく魅力的。真の強さに気付いていく展開に引き込まれます。そして、実在する好きなサッカー選手と照らし合わせて観てみるのも面白いと思います!
プロフィール
BE:FIRST(ビーファースト)
SKY-HIが率いるレーベル・BMSGに所属する7人組ダンス&ボーカルグループ。メンバーはSOTA、SHUNTO、MANATO、RYUHEI、JUNON、RYOKI、LEOの7人。メンバーそれぞれが歌、ダンス、ラップの高いスキルとポテンシャルを持ちながら、作詞作曲や振り付けにも携わる。2023年11月から2024年2月にかけて9都市22公演を回る全国アリーナツアー「BE:FIRST ARENA TOUR 2023-2024 “Mainstream”」を開催し、初の東京ドーム公演も成功させた。東京ドーム公演にて初披露した表題曲「Masterplan」を収録したニューシングルは、2024年4月24日にリリースとなった。
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