田島列島のマンガを沖田修一が映画化した「子供はわかってあげない」が8月20日に全国で公開された。水泳部に所属する高校生・朔田美波と、書道部員の“もじくん”こと門司昭平が繰り広げるひと夏の冒険を描いた本作。上白石萌歌が美波、細田佳央太がもじくんを演じ、千葉雄大、古舘寛治、斉藤由貴、豊川悦司もキャストに名を連ねる。
撮影が行われたのは2019年夏。この特集では、19歳から21歳になった上白石と、17歳から19歳になった細田の今を写真家・石田真澄が切り取った。また上白石と細田にインタビューを実施。笑いと敬意があふれる対談を楽しんでほしい。
取材・文 / 小澤康平撮影 / 石田真澄
同世代の中で一番尊敬できる役者さん(上白石)
──2019年夏に撮影が行われた「子供はわかってあげない」は、新型コロナウイルス感染拡大による公開延期を経て、8月20日に全国で封切られます。撮影から約2年が経っていますが、今日の撮影中に笑顔で雑談していて仲がいいんだなと思いました。
上白石萌歌 あははは。そうですね。
細田佳央太 仲良くしていただいていて。ありがたいです(笑)。
──映画の撮影も今日のようにくだけた雰囲気でしたか?
上白石 撮影前に沖田(修一)監督がリハーサルの時間を作ってくださって、佳央太くんとトランプやゲームをしながら読み合わせをしました。そこで関係性を築くことができて。
細田 それがあったからこそ、「今日はこのシーンを撮るぞ!」と気合いを入れてお芝居に臨むのではなく、ずっと自然体でいられました。
上白石 うんうん。私は沖田監督の大ファンなんですが、いざ現場に入ってみたら、スタッフさんが全員楽しそうなんです。映画を楽しく作るってこういうことか、これがエンタテインメントかと思いました。撮影って重労働で、特に今作は暑くて大変だったんですけど、周りの方のいい顔を見ていると「これが沖田監督の現場かー!」って(笑)。
細田 「子供はわかってあげない」の撮影が終わったあと、いろんな作品の現場に行きましたが、沖田監督と仕事をしたいスタッフさんって本当に多いんです。ご本人の温かさが、撮影現場にも、作品にも出てる。
上白石 現場の楽しさって、空気としてここまで映像で伝わるんだと驚きました。
──沖田監督、皆さんから愛されているんですね。お互いの印象は2年経って変わりましたか?
上白石 「ドラゴン桜」で10kg以上増量したり、命を懸けてお芝居をしているんだなと感じます。この2年で見せる顔が増えたと、勝手に思ったりもしていて。同世代の中で一番尊敬できる役者さんです。
細田 いやいやいや!……でもうれしいです。ニヤニヤが止まらない。
上白石 (笑)
細田 体重で言うと、萌歌ちゃんも「いだてん~東京オリムピック噺~」で増やしてますからね。「子供はわかってあげない」の撮影はそのあとで、萌歌ちゃんは減量して臨んでいたんですが、自分が増量を経験した今振り返ると、よりすごさを感じます。役者としての自分を大きくしてくれた存在です。
上白石 照れる……ありがとう。
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共演者のお芝居を見て泣きそうになったのは初めて(細田)