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2019年に公開された「ジョーカー」の2年後が舞台となる本作では、社会への反逆者、民衆の代弁者として祭り上げられたジョーカーの暴走が加速。彼の狂気は謎の女リー、そして群衆へ拡散していく。アーサー・フレック / ジョーカーをフェニックス、リーを
会見は「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」が出品されている第81回ヴェネツィア国際映画祭の開催地・ヴェネツィアと日本をつないで開催された。画面を通して姿を見せたフェニックスは、笑顔でこちらに両手を振るなど陽気な様子。前作「ジョーカー」では金獅子賞を受賞した同映画祭について「多くの人が劇場に足を運んでくれて、すごいエネルギーを感じました。ステファニー(ガガ)と戻って来ることができてうれしいです」と充実した表情を見せる。
今作の役作りに関しては「準備の半分は減量と言ってもいいかもしれません。極端なダイエットをした人は同じことを言うと思いますが、昼も夜もごはんを食べなかったりすると、感情の振れ幅が激しくなるんですよね。正直、現場で自分の感情が出てしまうことはあった気がします。でも監督や共演者、脚本がキャラクターの感情をナビゲートするガイドになってくれました」と回想。1作目の制作中に「まだ終わりじゃない。もっと伝えられることがある」と感じていたそうで、「監督のトッドと冗談で『ローズマリーの赤ちゃん』『カッコーの巣の上で』『ゴッドファーザー』のポスターにジョーカーの顔を入れても成立するよねっていう話をしていて。そのポスターは出来がよかったからリリースするべきかなと考えているんですが(笑)。2作目については、女性(リー)からの敬愛に関して、アーサーがどんなふうに舵を取っていくのかというアイデアを持っていました」と明かした。
2作ともに掘り下げているのはアイデンティティだという。フェニックスは「例えばバンドのキッスのメンバーはメイクをしていて、人生の初期の段階ではそのキャラクターを演じられることにワクワクしたと思うけれど、中年になって家に帰ってメイクを落としているときに『普通の人生を送りたいのに』と感じていたかもしれない。アーサーの場合、ジョーカーという分身として世の中の支持を集めていくけれど、アーサー自身の人生はどうなるのか。これは僕が興味を持っていたことの1つでした」と説明する。そして「つながりを求めることは人間の基本的な感情ですが、子供の頃に愛を受けていなかったアーサーは、それをコメディアンとして賛美されることに置き換えてしまった。そんな彼がリーと出会い、初めて自分自身を見てくれていると感じて恋に落ちる」と2作目の物語にも触れた。
歌唱シーンやダンスシーンが多く含まれている「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」。フェニックス自身は歌ったりダンスをしたりする機会があるかどうかを聞いてみると、「ないよ。ごめんね(笑)。僕はカラオケで歌うタイプではまったくないんだ」とほほえみながら話した。
その後、フェニックスと入れ替わる形でフィリップスが登場。本作を「ミュージカル映画ではない」と謳っている理由について聞くと、「1作目がコミックブック映画と呼ばれてしまうこともありますが、それだけでは作品を表現しきれないと思うんです。それに僕はミュージカル映画を観たときにハッピーになるけど、この映画を観た皆さんはそうはならない気がします(笑)。作品を観終わったときに最後の曲を口笛で吹くかもれないけれど、特定のジャンルだと思わせてミスリードをしたくない気持ちがあるんです」と伝えた。また「アーサーの中には音楽が流れていて、1作目で彼が踊るときにそれを表現しました。なので2作目では、愛を見つけた、あるいは愛を見つけたと感じているアーサーが気持ちを歌に乗せるのは自然なことだと思ったんです。少しクレイジーな飛躍と感じるかもしれませんが、僕の中では成立しています。それにホアキンは大きなチャレンジがないと続編をやらなかったんじゃないかな。彼は茨の道を選ぶタイプであることを知っているので、このチャレンジを突き付けました」と語る。
ガガの起用に関しては「一番の理由は、映画に音楽を持って来ることができる役者であること。彼女にとってホアキンのような人と共演するのは脅威だったと思いますが、リーというキャラクターの脆さをすぐに表現してくれて、本当に驚かされました」と述懐。続編の制作にあたりプレッシャーも感じていたそうで、「楽ではないけれど、ずっと一緒にやってきているスタッフと一緒に映画を作れることに感謝の気持ちを持って、なんとかがんばりました。これは何ものにも代え難い経験です」と、映画制作への愛情をのぞかせた。
「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」は10月11日より全国でロードショー。
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tAk @mifu75
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