執炎
シュウネン
製作:1964年(日本) / 配給:日活
解説 蔵原惟繕の最高傑作ともいえる純愛もの。主演の浅丘ルリ子にとっては主演100本目の記念作にあたり、事実この映画は彼女が女優として大きく飛躍する分岐点となった。浅丘演じる娘・きよのは、水産学校を卒業した拓治と結婚する。情熱的に愛し合う二人だが、やがて拓治は戦争に駆り出される。ほどなく拓治は右足を負傷して帰還、きよのの必死の看病もあって彼は回復するが、再び赤紙が舞い込む。きよのは戦地の拓治の無事を祈ってお百度を踏むが、その甲斐もなく拓治は戦死。きよのも後を追って崖から身を投げる……。浅丘ルリ子の、愛する者を奪われ、精神的に追いつめられていく時の演技は、そのテンションの高さといい、思いつめる表情といい、一人芝居ながら緊張感にあふれ、観る者の胸を刺す。純愛が女のエゴに転化し、それがエロチシズムにまで昇華するには、同じ蔵原=浅丘による「愛の乾き」(1967)まで待たねばならないが、彼女の女優としての美が一つの結実をみたのは、この作品によってであった。
スタッフ |
監督:蔵原惟繕 |
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キャスト |
久坂きよの:浅丘ルリ子
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