コミックナタリー PowerPush - 「暁のヨナ」

強固なチームワークで紡ぐ大河ファンタジー 草凪みずほ(原作者)×斎藤千和(主演声優)対談

草凪みずほ(原作者)× 斎藤千和(主演声優)対談

初対面で「先生ハグしていいですか?」

「暁のヨナ」9巻限定版に付属した、アフレコレポートマンガより。

──単行本9巻限定版に付属したドラマCDが「暁のヨナ」初の音声化でした。草凪先生のアフレコレポートマンガによれば、斎藤さんは初対面の際「先生ハグしていいですか?ヨナ演れて嬉しいです」と駆け寄ったそうですね。

斎藤千和 わあ、そんなこともありましたね!(笑) 覚えてます。ドラマCDに出演することが決まって原作を送っていただいたんですけど、もう作品自体に惚れ込んでしまって一気に読んで。ヨナ役をやらせてもらえることが光栄だっていう気持ちが湧き上がってきて、先生に会うなり「この気持ちを全身で伝えたい!」って思った記憶があります。いま思い返すと、いきなりハグなんてものすごい失礼な行為でしたよね?

草凪みずほ いやいや! すごく光栄でした。……ちょっとびっくりしましたけど(笑)。

斎藤 (笑)。誰しも自分にものすごく刺さる作品ってありますよね。私にとって当時、「暁のヨナ」はまさにそれだったんです。

──どのあたりに、そんなにも惚れ込んだんでしょう。

斎藤 うーん……いっぱい理由はあるけど、ヨナというキャラクターにもう心底惚れてしまったんです。まっすぐで一生懸命で、純粋で。「こんな素敵な役、私にできるかな?」って思うくらい好き。自分が演じるキャラクターを(原作で)読んでここまで好きになるって、本当にありがたいです。

草凪 希望は出してたけど千和さんにやっていただけると思ってなかったので、ドラマCDのキャストに決まったときは私もすごくありがたかったですよ。アニメでも変わらず演じてもらえることになって、本当にうれしかったですね。

アニメ化が決まったときはホッとした

──アニメに至るまでには、4回のドラマCD制作がありました。アニメ化が決まったときはどんな心境でしたか?

アニメ「暁のヨナ」より。

草凪 パイロットフィルムを1年くらい前に作っていただいたんですが、アニメ化が本決まりになるまでだいぶ時間が掛かったので、どちらかというとあまり期待しないようにしてたんですね。半信半疑のまま半年以上が経って。アフレコ何日か前くらいに、「決まりました!」ってようやく聞いたような感じだったんです。

斎藤 えー、そうだったんですか!

草凪 だからワーッて喜んだというよりはもう、ホッとした感じでしたね。

斎藤 アニメ化となるとキャストが変わることも多いので、私も期待しすぎずにいました。だから続けて演じられることになって、すごーくうれしかったです。表情ひとつとってもマンガでは1コマで表現されるけど、アニメだとそこに至るまでの動きが付いてきますよね。草凪先生のマンガって絵自体に力があるから、ひとつの表情に行き着くまでにキャラがどういう動きをするのか興味がありました。ドラマCDのときは、常に動きを自分の想像で埋めて演じていたので。

アフレコ前に監督が「今日の目玉はここです!」

草凪 ドラマCDはドラマCDで、役者さんならではのアドリブが入って面白かったですよ。

斎藤 ああ、特にキジャですか? 森田(成一)さんがもうね……イキイキとしてて(笑)。

草凪 (9巻限定版に付属したドラマCDの)「私は掘る!とにかく掘るー!!」とかね。面白く聴かせてもらいました(笑)。キャラクターのことをわかってないと、そのキャラらしいアドリブなんて無理だろうと思うんですけど、みなさん本当にすごい反射神経で出してくれるから感動してしまって。

斎藤 ふふふ。みんな原作を読み込んでますから。

アニメ「暁のヨナ」より。

草凪 アニメでも米田(和弘)監督が、原作に沿ったキャラクターになるようにすごく気を遣ってくれているので、きっとマンガを読んでる人も違和感なく楽しめると思います。

斎藤 原作に忠実ですもんね。原作の必要な部分をちゃんと埋めながらやってる感じがあります。

草凪 そうなんですよね。ありがたいことです。

斎藤 とにかく監督の、原作への愛情が半端ないんですよ。毎回アフレコが始まる前に監督と音響監督がブースにいらして「今回の目玉はここです!」「今日はこのキャラが見せ場なんです!」と熱く語ってくださるんです。そういうことってなかなかないし、役者としても気合いが入ります。

草凪 すごく熱い方ですよね。私もできるだけアフレコに足を運んでいて、新しいキャラが出てくるときは特に、セリフのニュアンスとか意見を言わせていただくんですけど、全部きちんと聞いてくださるのでありがたいです。

──先生から斎藤さんの演技にリクエストを出すこともありますか?

草凪 千和さんはドラマCDから何度もやっていただいているので。もう、私が想像していなかったところまで、かゆいところに手が届くような感じ。

斎藤 あはは、うれしいです。

TVアニメ「暁のヨナ」2014年10月7日放送開始

AT-X:毎週火曜23:00~、毎週木曜11:00~、毎週土曜29:00~、毎週月曜17:00~
TOKYO MX:毎週火曜24:30~
テレビ愛知:毎週火曜25:35~
BS11:毎週火曜27:00~
サンテレビ:毎週火曜24:30~
熊本放送:毎週火曜26:13~
dアニメストアでも配信

スタッフ

監督:米田和弘
シリーズ構成:猪爪慎一
キャラクターデザイン:吉川真帆
音楽:梁邦彦
音響監督:長崎行男
アニメーション制作:studio ぴえろ

キャスト

ヨナ:斎藤千和
ハク:前野智昭
スウォン:小林裕介
キジャ(白龍):森田成一
シンア(青龍):岡本信彦
ジェハ(緑龍):諏訪部順一
ゼノ(黄龍):下野紘
ユン:皆川純子 ほか 

草凪みずほ「暁のヨナ」
草凪みずほ「暁のヨナ」

高華国の姫・ヨナは、優しい父王・イルに大切に育てられ、幼馴染みで従兄のスウォンに想いを寄せる平穏な日々を送っていた。だが16歳の誕生日、父がスウォンに斬殺された!城を追われたヨナとハクは、神官イクスに「ヨナが生きることは国を揺るがすという事。伝説の四龍を探せ」とお告げを受ける。ヨナは自らの身を守りながら、父が愛した高華国の真実の姿を見つめるため、伝説の四龍を探す旅に出る!

草凪みずほ「暁のヨナ(15)」 / 2014年9月19日発売 / 白泉社
ドラマCD付き初回限定版 / 2106円
通常版 / 463円
草凪みずほ(クサナギミズホ)
草凪みずほ

2月3日熊本県生まれ。2002年、「御神兄弟がゆく!?」で第27回アテナ新人大賞優秀新人賞を受賞。2003年に花とゆめ(白泉社)にて「よいこの心得」でデビュー。同作が連載化したことで、第28回アテナ新人大賞デビュー優秀者賞を受賞する。続けて「夢幻スパイラル」「ゲーム×ラッシュ」「NGライフ」とヒット作を飛ばし、現在花とゆめにて「暁のヨナ」を連載中。同作は2014年10月にTVアニメ化された。

斎藤千和(サイトウチワ)
斎藤千和

3月12日埼玉県生まれ。主な出演作に「物語シリーズ」戦場ヶ原ひたぎ役、「プリズマ☆イリヤ ツヴァイ!」クロ役、「黒子のバスケ」相田リコ役など多数。