「www」の笑い方を表現するのが難しくて（伊東）

──PVの脚本は、ふじた先生がお書きになっているんですよね？

ふじた　はい。流れが書いてあるたたき台をいただいて「宏嵩と成海ならこういう会話をするかな」とか「PVの狙いはこう宣伝させたいだろうから、これを取り入れつつ面白い場面も入れて」とかネタを考えています。

伊東　PV第1弾（参照：【CM】2015 4月30日発売『ヲタクに恋は難しい』2の1【先行放映】 - YouTube）の脚本にあった「www」の笑い方を表現するのが難しくて（笑）。

ふじた　あの（「忍たま乱太郎」の）ヘムヘムの笑い方みたいな。

伊東　え、ヘムヘム笑いなんですかあれは（笑）。確かに「はははは」という笑い方じゃないですけど。

伊達　失笑に近い感じなのかな。

ふじた　鼻部分で笑っている感じですよね。イケメンの笑い方ではないものを演じてほしかったんですが、伊東さんの笑い方はまさに思った通り、いや想像以上のものが上がってきてすごいと思いました。

伊達　あれは大好評でしたもんね！

伊東　第2弾以降、何種類もの笑い方を録ってみようとハードルが上がりました（参照：【8.14新着公開】『ヲタクに恋は難しい』PV2弾【コミケ88用】 - YouTube）。

ふじた　何パターンも笑わせちゃいましたね（笑）。もう笑いたくないですか？

伊東　いや、なんでもやりますよ。叫ばせてもらってもいいです。

ふじた　言いましたね？（笑）私、全然完成図がわからないPVの脚本もガンガン書きますよ？

伊東　また声をどれだけ出すか、引っ込めるかと悩むことになるとは思いますが……。宏嵩が叫ぶ……叫ぶのかな？

ふじた　さすがの宏嵩でも、メガネと顔の間にセミが入ってきたら叫ぶんじゃないでしょうか（笑）。ということは、次のPVは夏のシーンですね。……あ、成海は叫ばせまくって本当にすみません。

伊達　いえいえ、どんな叫びでもやります！ かわいく叫んだら成海ではないのかな、と思うので、喉との戦いでもあるんですが（笑）。

ふじた　こんなかわいい声の人に、ゴリラみたいな叫び声を上げさせるのは本当にはばかられる……。

宏嵩の笑顔にズバッキューン！（伊達）

──PVに成海の叫びが入ることで、「ヲタ恋」らしさが全開になるというか……。アクセントになっていて、ものすごくテンポがいいと思いました。

ふじた　ありがとうございます。PVだけでなく、マンガでもテンポのよさを一番心がけてるんですよ。それこそ恋愛パートより（笑）。

伊達　1巻の最後のエピソードはバリバリ恋愛パートだったと思うんですけど、宏嵩の笑顔にズバッキューン！でした。ここでやられた女性は数知れずですよ！

ふじた　そうなってくれたらいいんですけど（笑）。このエピソードは描くのにめちゃくちゃ時間かかってます。自分の作品でカップルをいい雰囲気にするのは抵抗があって……。

伊東　照れるということですか？

ふじた　ええ。このエピソードを描いているときの私、もう迷子の顔でしたよ。どうしていいか、何を求められているかわからない。でもここは決めとかなきゃ！という思いでした。

伊達　私、このエピソードを初めて読んだとき鳥肌が立ちましたよ。「完璧かよ……!!」って。

ふじた　えーっ!!

伊達　それまでコミカルに進んでいたじゃないですか。で「なんだこの2人、恋愛よりもオタク要素のほうが強いじゃん」と思わせつつ、最後に宏嵩のこの笑顔！

伊東　「www」じゃない笑顔だよね。

ふじた　今後2人の関係が進んでいったとき、この最後のエピソードを再度読んでいただいて、今とは違う面が伝わったらいいなと思っています。今の段階で2人がうまくいっているように見える人もいれば、違和感を覚えながら読んでいる人もいると思うんですよ……これ以上は今後の展開に関わってくるのであまり言えないんですが。

ヲタクに恋愛マンガを描くのは難しい（ふじた）

伊東　うわ、気になりますね。ただ僕は宏嵩が2人の関係にモヤモヤしてるんだろうなと思います。

伊達　確かに、口には出さないけど……宏嵩は顔にも出さないか（笑）。お泊まりエピソードで、宏嵩が成海に初めてキスをしましたよね。なんであのタイミングだったんですか？

伊東　あの場面しかねえだろ！

伊達　えー！（笑）

ふじた　作者からあんまり言わないほうがいいかなと思うんですけど……。「ひどいやつだと思うなら殴れ」と言われたので、そこで殴らずに……というのが答えです（笑）。

伊達　なるほど！ でもそのあと成海がすぐに攻撃を……。

ふじた　甘いシーンは私もいっぱいいっぱいで、もうええやろってなりまして（笑）。驚いたのが、pixivにコメントで「作者はこういうシーンが苦手なのかな」と書き込まれて……ばっちりバレてるわ！と。

伊東　たぶん、ラブラブなシーンを堂々と描いて、いい雰囲気で終わることができるマンガならこのタイトルになってない。

ふじた　あ、かもしれません！「ヲタクに恋愛マンガを描くのは難しい」ですね。

一同　あはは（笑）。

伊達　きれいに締まりましたね。