“先輩”(CV:斉藤壮馬)と書店デート!没入感溢れる「ボイスフレンド」を体験してみた

まるで話し手が本当に隣にいるかのような音声体験ができると話題を呼んでいる「ボイスフレンド」。これは特定の書店で体験できる音声コンテンツで、最新のMR技術を駆使することで、自らの動きに合わせて没入感の高い音声を楽しむことができるというものだ。コミックナタリーではその「ボイスフレンド」第2弾となる「待ち合わせは文喫で ~先輩(cv:斉藤壮馬)とボイスデート~」に関する特集を展開。「ボイスフレンド」を体験してきたライターが、斉藤壮馬演じる先輩との書店デートの様子をレポートする。

取材・文 / 青柳美帆子撮影 / 武田真和

斉藤壮馬演じる“先輩”と書店デート
「ボイスフレンド」第2弾を実際に体験してみた

本好きの皆さんの“あるある”の1つが、誰かと行く本屋の楽しさではないだろうか。気になっている本が一緒なのも、全然知らない本を推してくれるのも、「面白いから早く読んでよ」と頼み込まれるのも、全部楽しい。本を通じて相手を知れてうれしくなるのだ。
さてここで、いきなりですがぐーーーっっと想像力(妄想力)を使ってほしい。
あなたは、本が好きな女子大生。憧れの“先輩”に片思いをしている。大学の同じ学部の先輩で、本が好きで自分でも執筆活動をしていて、声優の斉藤壮馬に声が似ている。ある日あなたは先輩から遊びに誘われる。待ち合わせ場所は、六本木にある本屋さん──。
……そんな体験ができるのが、1月30日から2月29日にかけて東京・六本木にある書店、文喫で開催中の、「ボイスフレンド」の第2弾「待ち合わせは文喫で」だ。

本当に話しかけられているような体験

「ボイスフレンド」とは、日本出版販売株式会社(日販)が企画・運営しているMR(複合現実)のコンテンツ。
番号を打ち込む美術館や博物館の音声ガイドや、端末をタッチするようなビーコンを体験したことがある人は多いだろう。ボイスフレンドはそれらをさらに進化させたような仕組みになっている。
システム上に現実の空間──文喫の店内の様子を作り上げてリンクさせているので、複雑な操作は必要ない。スマートフォンを首から下げて自分のペースで歩くだけで、イヤフォンから自然なタイミングでコンテンツが再生される。例えば階段の手前で「階段気をつけてね」と声をかけてくれるような体験って、実はこれまでの技術では実現しにくかった。しかもオープンイヤーイヤフォンを使っているので、外部音と一緒に声が聞こえてきて、本当に話しかけられているような感覚になる。

オープンイヤーイヤフォンは耳にかける形で使用する。より“先輩”と一緒にデートしている感覚が楽しめる。

オープンイヤーイヤフォンは耳にかける形で使用する。より“先輩”と一緒にデートしている感覚が楽しめる。

その「ボイスフレンド」は現在、入場料が必要な書店・文喫で活用されている。文喫は「本と出会うための本屋」をコンセプトにした六本木の書店。数万冊の本を揃えつつ、喫茶エリアやコワーキングスペースなどとして使えるエリアも備えている。

文喫 六本木の入り口。

文喫 六本木の入り口。

文喫 六本木の2階にはコワーキングスペースも完備。

文喫 六本木の2階にはコワーキングスペースも完備。

2023年11月には「ボイスフレンド」第1弾として七海ひろき出演の「七海ひろきと書店巡り in 文喫 六本木」を開催。「本当に七海さんと一緒に書店に遊びに来ているみたい」と話題を呼び、体験者にアンケートを取った結果、約98%が「満足いった」と回答しているという。今回は第2弾、斉藤壮馬演じる“先輩”との書店デート体験だ。もちろん音声の内容はすべて書き下ろし・録り下ろしとなっている。

ボイスフレンド第2弾あらすじ

「わたし」に全力で没頭しよう

受付でオープンイヤーイヤフォンとスマホを受け取って、いざ体験スタート!

受付ではデートに必要な機材を一式受け取る。

最初に言っておくと、この体験は、自分の中の気恥ずかしさを全部捨てて、全力でなりきり、妄想のスイッチをオンにしたほうが楽しい。このあたりは、夢小説で回路を鍛えてきた人ほど得意なはず。

コンテンツの中の主人公(わたし)にはセリフはなく、先輩も名前や外見が設定されていない。でも耳に届く先輩の優しくて甘い声から、グワッと想像を膨らませる。
わたしは女子大生……ホンワカしてるけどときどきボソッと言うツッコミが面白いタイプ……先輩はきっとこんな外見をしていて……わたしのことは……どう思ってるんだ!? 悩ましい~!(※割と自由度があるので皆さんも皆さんなりの「わたし」と「先輩」で挑んでほしい)

先輩の“実在”を感じられるくらいまでテンションを高めたところで、書店デートスタート! 先輩は先に文喫に訪れていて、店に入ってきたわたしに声をかけてくれた。すみません待ちましたか~!? 先輩の声に導かれるままに文喫の本を見て周る。

階段を登ってデートスタート!

階段を登ってデートスタート!

2階へ上がるとすぐに特集コーナーが。

2階へ上がるとすぐに特集コーナーが。

今回の体験では特にマップなどを渡されるわけではない。先輩に「あのエリア行ってみよっか」「こういう本が好きなんだけどどのへんにあるかな」というような言葉で促されて移動していく。先輩が気になっているエリアはどこかなとちょっと目線を上げて探すといった、探り探りの体験が楽しい。

店内の様子。

たぶん最初は、先輩の声ももっと聞きたいし、先輩の興味のある本をいち早く知りたくて、ずんずん先に進みたくなってしまうと思う。そういうときの「わたし」は、いわば子犬系後輩モード。

と同時に、自分のペースで歩けるのも「ボイスフレンド」のいいところ。歩いていくうちに、「このエリアの選書、すっごくいいな……」「あ、この本気になるな」という気持ちが湧いてくるタイミングもあるはず。そういうときは先輩を翻弄したり焦らしたりしてもいい。小悪魔やおもしれー女モードと言うべきか。むしろ先輩に本に関する“好き”を伝えて、脳内で雑談したっていい。

海外文学の書棚には有名作品からの引用文をデザイン。

海外文学の書棚には有名作品からの引用文をデザイン。

ちなみに体験中、気になった本は手にとってパラパラ読んでも大丈夫だし、気に入ったら手にとって最後にレジに持っていってもOK。先輩とのデートも大事だけど、それはそれとしていい本との出会いも大事だ。

ゆうゆうとした空間で読書を楽しめる。

先輩とわたしの恋のゆくえは……

店内をひととおり周ると、先輩が受付周辺に戻るように促してくれる。だいたい20分から30分くらいの書店デートも終わりの時間。

デート終わっちゃうのさみしいな……と“わたし”モードで思っていたところ、最後の最後、先輩からかけてもらえる言葉に、思わずキャーッと言いたくなる気持ちになった(声に出すのは耐えた)。どんな“わたし”として先輩とデートしていたとしても、甘い気持ちになるのは間違いない!

店内の喫茶コーナーはゆったりとくつろげる空間に。
ボイスフレンド第2弾の実施期間中、併設するカフェではコラボドリンクとしてメロンクリームソーダを提供。メロンの果肉シロップがふんだんに使用されており、メロンのみずみずしさをたっぷりと味わうことができる。価格は税込715円。

ボイスフレンド第2弾の実施期間中、併設するカフェではコラボドリンクとしてメロンクリームソーダを提供。メロンの果肉シロップがふんだんに使用されており、メロンのみずみずしさをたっぷりと味わうことができる。価格は税込715円。

今回先輩を演じた斉藤壮馬といえば、読書好きで知られている。もちろん体験中先輩が話題に出していた本の中には、斉藤オススメの本もある。受付周辺には、今回の体験のために斉藤がセレクトしたオススメ本コーナーやコメント付きのPOPもあるのでお見逃しなきよう。さっきまでの先輩との会話も思い出させてくれる。

斉藤壮馬オススメの本を集めた特設コーナー。

斉藤壮馬オススメの本を集めた特設コーナー。

なお、オリジナルグッズとして斉藤壮馬の音声を収録したアクリルキーホルダーも販売。文喫でのわたしたちのデートの“続き”を聞ける会場限定アイテムだ。先輩との甘~い思い出を持ち帰れる。このコンテンツはぜひ、人の目を気にせず思う存分キャーッとなれる場所……家に帰ってから再生してほしい!

AR機能付きアクリルキーホルダー。税込880円。

AR機能付きアクリルキーホルダー。税込880円。

斉藤壮馬から参加者に向けたメッセージが到着!

斉藤壮馬

斉藤壮馬

ボイスフレンドというユニークな企画で、大好きな本と関わることができて、本当に嬉しく思います。

ノベルティの配布や本にまつわるオリジナルグッズの販売も!

「ボイスフレンド」の体験前後で文喫を利用した人には、ノベルティとして斉藤壮馬のサインとメッセージをあしらったオリジナルコースターをプレゼント。コースターは斉藤壮馬のイメージカラーである緑を基調に仕上げられている。また文喫で書籍を購入した人には、“先輩”のセリフを記載したしおりを1枚贈呈。1冊の購入につき全3種の中からランダムで渡される。

またレポートでも言及されていた通り、先輩の“声”を持ち帰れるAR機能付きアクリルキーホルダーを販売。アクリルキーホルダーは緑色のカセットテープの形をしており、デートからの帰宅後、先輩からかかってきた電話の内容を聞くことができる。そのほか斉藤壮馬のサインがデザインされたトートバッグとブックカバーも販売される。

また3月下旬からは「ボイスフレンド」第3弾の展開も決定。第3弾では、俳優・梅津瑞樹とともに文喫を巡る。詳細は続報を待とう!

「ボイスフレンド」に込めたこだわりは?
開発担当者に聞いてみた

Q1. 斉藤壮馬さん演じる“先輩”との書店デート、というコンセプトはどのように生まれたのでしょうか。

きっかけは文喫への入店ハードルの高さを下げたいという思いからでした。文喫は普通の書店とは違い、入場料があったり検索機がなかったりと、お客様にとって入店するハードルが高いのではないかと感じていまして。そこで本に詳しい人に書店を案内してもらうという体験をしていただくことで、より入店しやすい環境を整えられたらと思い「ボイスフレンド」を企画しました。ご出演いただくキャストの方も、本に造詣の深い方で納得感が出るようにしていますし、第2弾に関しては、導いてくれる人の役割として“先輩”というキャラクターを採用しました。これをきっかけに、文喫はもちろん、徐々に減ってきている本屋さんにふらっと立ち寄っていただくきっかけにもなればと思っています。

Q2. 「ボイスフレンド」の制作でこだわったポイントを教えてください。

こだわりはとにかく、没入感のある体験です。美術館などの音声ガイドではボタンを押したりQRコードを読んだりと、さまざまなワンアクションが入ってきますが、「ボイスフレンド」ではそれらをなくし、シームレスに使用できるように工夫しました。利用者が自分の動きに合わせて動けるところを大事にしたかったんです。
あとはオープンイヤーのイヤフォンを使用することで、外部の音も聞こえる状態で音声を楽しんでいただくことができるので、本当に先輩が横にいるような感覚になれるのもこだわりました。今までにない体験ができるのではないかと思っています。

店内の様子。

Q3. 「ボイスフレンド」第2弾の聞きどころは?

やっぱりデートっぽいセリフには注目ですね。実際に斉藤さんにも文喫に足を運んでいただいているので、より会場とマッチした臨場感のある問いかけになっているのではないかと思います。
音声コンテンツとなると、どうしても利用者が一方的に聞く役回りに徹してしまうことが多いんですが、今回は後輩となった“わたし”が頭の中で言葉を返せるような間も設けているので、先輩とのコミュニケーションをロールプレイできるようにしています。後輩になりきって、セリフの掛け合いなども頭の中で楽しんでいただければと思います。

Q4. 「ボイスフレンド」第2弾はどんな人にオススメしたいですか?

斉藤さんとデートされたい方ですかね(笑)。あとは文喫に興味はあったけど行くきっかけがなかったり、新たな本や、本屋さんとの出会いを求めている方にもオススメしたいです。今までにない最新技術やデバイスを活用した体験なので、そういった面でも興味があればぜひお越しください。デートの下見としてのご来場もお待ちしております!

店内の様子。