「シキザクラ」OP主題歌アーティスト 亜咲花×ゲスト声優 吉原雅斗(BOYS AND MEN)対談|名古屋出身アーティストが、東海発のアニメに夢を懸ける「これから、地元を盛り上げてくれる心強い同志に」

愛知県をもっと盛り上げたい!

──ところで、今の名古屋のオタク文化というのはどんな感じなのでしょう。世界コスプレサミットはすっかり定期イベントとして根付いているのは有名ですが、あと、東京の秋葉原や大阪の日本橋と並ぶ場所として、名古屋には大須がありますよね。

亜咲花

亜咲花 コスサミの盛り上がりは毎年すごいですね! 大須はあれですね、オタクって、アニメ以外にも、メイド喫茶を回るのが好きな人とか、音楽好きとか、いろいろジャンルがあると思うんですけど、大須はそういう文化に強いイメージがあります。メイド喫茶の「おかえりなさいませ、ご主人さま」ってフレーズは名古屋発祥と言われてるみたいですし(注:2002年にオープンした大須の「M's Melody」発祥という説がある)。

吉原 そうなんですか!?

亜咲花 それを思うと、オタク文化に割と名古屋は強いのかな。大須は今でもそのイメージが強いですね。

吉原 でも大須って、けっこう特殊な場所だよね。東京の下北と原宿と、大阪のアメ村が合わさったみたいな……。

亜咲花 そうそう! ホントそんな感じで、私はずっと、「ちょっと親しみやすい原宿」だと思ってるんですよ。古着屋もあって、食べ歩きもあるし、ちょっとオタク文化、秋葉原要素もあって、なんかいろんなところがフィーチャーされたカオスな街だと。日常的に使うようなスーパーもあるし、おばあちゃんたちが着れる服とかも売ってて、ちょっと巣鴨っぽい要素もあるし。

吉原 あるある!

亜咲花 だからほんと老若男女楽しめる街なんです、大須って。

──大通りから1本入ると、雰囲気のあるお店がありますもんね。

亜咲花 レトロな老舗とかもあったりするから。

吉原 団子屋があったりね。

亜咲花 決して若い子たちだけの街ではないっていうのが大須の魅力。だからこそ、そこは今後も雰囲気を変えないでほしいです。どんどん新しくしていこうっていうふうにせずに、昔ながらのものは昔ながらにしておいてほしいなあって。……名古屋トーク楽しいなあ! すごく楽しい!

亜咲花
吉原雅斗

──話しているとおふたりの名古屋愛の強さをひしひしと感じます。やっぱり普段はあまりする機会はなかなかないですか?

亜咲花 そうですね。ゲームをやるときに、最新の名古屋事情を割と聞いたりはしますけど、細かい話はしないんですよ。

吉原 僕も取材とかで、名古屋のおすすめデートスポットをよく聞かれたりするので、そういうときくらいかな。

──ちなみにどこがおすすめなんですか?

吉原 いつもそう聞かれたときは、「シートレインランド一択」と答えてます。哀愁一本でやっている、港町にある遊園地。名古屋を取り上げた番組や作品でそういう場所が出てくると、名古屋人はもうスタンディングオベーションですよ。

亜咲花 わかる。「愛知県のおすすめデートスポットは、南知多ビーチランドです!」とか言われたら、私もスタンディングオベーションしちゃうもん。

吉原 そうそう! わかってる。さすが。「シキザクラ」にも絶対、そういう“わかってる”ところが出てくるはずですよね。

「シキザクラ」で描かれる、シキザクラの地。

亜咲花 そもそも「シキザクラ」って、豊田市野原町に咲く桜が「四季桜」なことからできたタイトルなんだよね。名古屋もなんだけど、私、豊田市の学校に通っていたので、豊田市がピックアップされるうれしさもある。

吉原 わかる。

亜咲花 愛知県の、名古屋以外の市が作品に描かれる機会はホントに少ないから。コロナも終わったら、四季桜を見に、アニメで知ったいろんな土地の皆さんが来てくれるといいなと思っています。

吉原 今はだいぶ変わってきましたけど、愛知県はエンタメ不毛の地だと言われていて、アーティストのツアーでも「名古屋飛ばし」というのがあったんです。

亜咲花 あるよね。だから私は絶対に東名阪ツアーで名古屋を入れるし、やるときは「凱旋」って謳う。

吉原 気持ちがわかる。自分たちボイメンは、そんな名古屋で一番人を集められるグループを自負して、がんばってきたんですけど。

亜咲花 ナゴヤドームでやってるもんね。お世辞じゃなくて、マジで尊敬してます。

吉原雅斗

吉原 それこそ歌手だったり、モデルだったり、芸能人になりたいっていうなら東京に出て行く。お笑いをやりたい、バラエティをやりたいというなら、みんな大阪に行っちゃう。それが昔の名古屋、昔の愛知県の人だったわけですね。その中で僕たちボイメンも、亜咲花ちゃんも、名古屋を盛り上げたいっていう気持ちがあってやってきたところがある。第3都市と言われている名古屋が、そんなんじゃ寂しくない?と。なので、「シキザクラ」みたいに同じ名古屋を盛り上げてくれる同志がいるっていうのは、心強いです。「シキザクラ」のおかげで名古屋にたくさん人が来たら、それはもう、家族のことのようにうれしいですね。それを僕たちもできるだけサポートしていけたらなあと思っています。

──今後の名古屋発アニメの夢、未来のビジョンはありますか?

亜咲花 まず「シキザクラ」が、ちっちゃい子たちにも広まるといいな。大人も楽しめるけども、派手なアクションはちっちゃい子たちも楽しいと思うんです。中京テレビで日曜朝に放送したりしてほしい。

吉原 ヒーローものだしね。

亜咲花 そうそう。戦隊ものとかと同じくらい愛されそうな、すごいアニメだと思うので。

吉原 僕はですね……今回、この作品では新人に近い声優さんを育成するチャレンジをしているんです。「シキザクラ」自体が盛り上がってくれるのもうれしいですし、その声優さんたちが……僕なんかが言うのもあれですけども、成長されて、ビッグな存在になってくださって、伝説的なアニメになるといいなと思います。そして……すごく有名なアニメって、関連した街ごと有名になったりするじゃないですか。「ゲゲゲの鬼太郎」だとか「こち亀」だとか。豊田市といえばやっぱり車のイメージが強いですけども、「シキザクラ」が2大巨頭と言われるような、そんな街になったら僕はすごくうれしいなって思っています。「シキザクラ」がそこまでいったら、すげー夢がある話だなって。

亜咲花(アサカ)
1999年10月7日生まれ。愛知県名古屋市出身。3歳からの5年間、アメリカ合衆国のミシガン州で過ごす。2016年10月に17歳の高校生アニソンシンガーとして、TVアニメ「Occultic;Nine –オカルティック・ナイン-」のエンディングテーマ「Open your eyes」でデビュー。その後、TVアニメ「セントールの悩み」「ゆるキャン△」「ISLAND」「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」「ひぐらしのなく頃に 業」など、さまざまなアニメとゲームの楽曲を担当した。近年はラジオパーソナリティを複数担当するなど、歌以外にも活動の場を広げている。「シキザクラ」のオープニング「BELIEVE MYSELF」はシングルとして11月10日にリリース。
吉原雅斗(ヨシハラマサト)
1994年7月22日、愛知県生まれ。2013年4月、東海エリア出身・在住のメンバーで構成されたエンタテインメント集団・BOYS AND MENに加入する。グループとして2015年に「第58回 輝く!日本レコード大賞」新人賞を受賞。2019年に愛知・ナゴヤドームにて単独公演「ボイメン名古屋夢まつり~ツッパリ町おこしお兄さん最強烈伝~」を開催し、2020年には結成10周年を記念してのホールツアー「全国ホールツアー「10th Anniversaryボイメン全国ライブツアー『BARI BARI★PARTY』」を成功させる。個人の活動として、NHK Eテレで放送の「テレビでハングル講座」にて2019年4月から2020年3月まで生徒役としてレギュラー出演していた。