コミックナタリー Power Push - 「美少女戦士セーラームーンCrystal」

私たちは、プリンセスを守る“騎士”

ムーン様に恥ずかしくない戦士でいたい

──「Crystal」カンパニーはどんな雰囲気ですか?

「美少女戦士セーラームーンCrystal 第3期 デス・バスターズ編」より。

大原 “クリスタルカンパニー”ってすごいカッコいいね。きらびやか!

皆川 ね(笑)。でもその名に恥じず、女性が多くて華やかですね。女性が多いって一般的には怖いって思われるかもしれないけど、ギスギスしていることも全然なく。

大原 やっぱり琴さん(三石琴乃)の存在は大きいと思います。中心になって引っ張っていってくださるし、みんなが琴さんをリスペクトして、大好きっていう気持ちをまず持っている上で、できあがってる現場な気がする。

左から皆川純子、大原さやか。

皆川 「琴乃さんに迷惑を掛けないようにがんばらなきゃ」っていう気持ちがあるよね。

大原 琴さんに恥ずかしくないような戦士でいたいって思うんです。

皆川 ムーン様に恥ずかしくない自分でいたい。

大原 うんうん。

──まさに、カンパニーの中でのプリンセスだと。キャスト発表会のとき、三石さんはご自身のことを「チームのパパだ」っておっしゃってましたね。

皆川 そういう強さもありますね。カッコよさというか、温かさというか、黙って見守ってくれてるパパの背中みたいな感じ。それと、フォローしてくれるママの優しさもある。

大原 大黒柱だよね。

「美少女戦士セーラームーンCrystal 第3期 デス・バスターズ編」より。

皆川 琴乃さんがそこにいるだけで、「セーラームーン」っていう作品の空気感ができるんだと思うんですよ。琴乃さんがそういう言葉を私たちに発するわけじゃないけど、存在自体がもうセーラームーンイズムを作り出してるというか。

大原 しかもすごく自然体なんだよね。90年代アニメからのキャストって琴さんだけじゃないですか。プレッシャーも大きいと思うんですけど、私たちにはまったくそういうところを見せず、ナチュラルにいてくださるんです。それで緊張がすぐに解けたところもありましたね。どの現場でお会いしてもあの自然体な感じは変わらないので、こういう先輩になりたいって思う。

皆川 そんな感じよ、あなたも。

大原 本当に? あなたもよ♡

皆川 やだー♡ 本当?

大原 もう、カッコいいに尽きるんですよ。純子さんのウラヌスの声、ずっと聴いていたいって思う。

皆川 うれしい。私も大好きだよ(固い握手を交わしながら)。かわいさがチラ見えする美しさっていうのかな。凛としたカッコよさ。さやかの声自体もそうだし、それがネプチューンの存在自体にぴったりで、美しいのひと言です。

2人の関係性が込められたED

──……本当に、役に負けないアツアツぶりですね。

セーラーウラヌス(CV:皆川純子)×セーラーネプチューン(CV:大原さやか)によるエンディングテーマ「eternal eternity」が収録されたCDのジャケット。

大原 そんな2人の関係性がですね、エンディングの歌詞にも込められています。2人で歌わせていただいてるんですけど、超ラブラブな歌です。私の1オクターブ下で純子さんが歌ってて。普通の女性は出ないキーなんですよね。

皆川 あははは(笑)。

大原 本当は同じ高さで歌う予定だったんですけど、ウラヌスのキーで歌おうとすると、1オクターブ下のほうが歌いやすいということで。1オクターブ下げたことでむちゃくちゃカッコよくなって。ゾクってする。

皆川 ただ単に高い音域が出なかっただけなんですけど(笑)。ウラヌスで歌うとなると、キーが高いとウラヌスにならなくて、誰やねん!っていう声になっちゃうので(笑)。1オクターブ下でもいいように作ってくださって、ありがたかったです。

大原 あの曲を歌わせていただいたことで、よりこの2人の関係性を実感してアフレコに臨めましたね。

皆川 メインはネプチューンで、私は下の音域を支えてるんですけど、それが関係性をまた表してるっていうか。バランスがしっくりくるんです。

大原 「はるか」「みちる」っていう言葉がちゃんと入ってて、お互い自分の名前が入った部分を歌っているのもまたよくて。そのあたりもぜひ聴いてほしいですね。

皆川 ネプチューンの歌声がね、綺麗なんですよ。もともと声綺麗だけど。

大原 いやー、ほんっとにカッコいいんですよ、ウラヌスがまた!

騎士としての思い、本妻の余裕

──なんだかもう、ごちそうさまです(笑)。ウラヌスとネプチューンは固い絆で結ばれている、原作でも90年代アニメでも絶大な人気を誇るキャラクターですね。

皆川 過酷な運命を背負った戦士、というのは感じます。ウラヌス、ネプチューン、プルートは1人で星を守っていたわけですよね。その使命って自分の人生には実際起きないでしょうけども、想像しただけで震えがくるほど孤独というか。だから、戦いは過酷ですけど、ネプチューンやプルート、うさぎちゃんたちに出会えてよかったね、って思います。

大原 過酷だけど、幸せかもしれないよね。みんなに出会えたことがすごくうれしいと思う。

──役作りはどのようにしていきましたか?

皆川 今回は昔のアニメとは違って原作準拠なので、同じ「セーラームーン」だけど別の作品という気持ちで挑んでいます。原作をじっくり読んで予習してますね。

大原 そうだね。前のキャストさんを意識せずに切り替えようと。それは琴さんも言ってくださったんですけど。

皆川 前任者の方がいてこそのウラネプだと思うので、おふたりへの尊敬の気持ちはいつも持っています。おふたりが大切に思っているキャラクターを、私たちも大切にしていこうと。ですが、あえて似せようとはせず、私たちなりのウラヌス・ネプチューンを作っていけたらという思いでやっています。

左から皆川純子、大原さやか。

大原 私も同じです。あとはウラヌスの純子さんとのバランスを考えて、ナチュラルに感じられるように。彼女の持つ大人っぽさに準ずる、「正妻でいよう」という気持ちというか。“旦那”って呼んでるんで。

皆川 あはは(笑)。でもネプチューンのほうが強いんだけどね。

大原 ときどきたしなめるもんね(笑)。

──ちょっと気になっていたんですが、ウラヌスとネプチューンが夫婦だとすると、セーラームーンはどういう立ち位置になるんですかね。原作でも、うさぎとはるかが距離を縮めてドキドキさせる描写があったり、ウラヌスが「あたしはただこの手であの子(セーラームーン)を守りたかった ただ それだけだったんだっ……!!」て叫んでいたりします。

皆川 私もそれ、めちゃくちゃ悩んだんです。今回のアニメは、原作準拠とはいえ、90年代アニメでのウラネプの関係性も踏まえてますよね。だからどういう気持ちで演じればいいのか結構悩みました。で、考えた結果、自分は“騎士(ナイト)”なんだと。そしてネプチューンも同じ騎士なんですよ。強い騎士。この2人は死してなお共にあるのが宿命、絶対的な絆がある。そしてプリンセスは絶対に守るべき存在なんです。プリンセスを守るのもまた宿命。もしプリンセスとネプチューンが同時にピンチになった時に、どちらを守るかって言ったら……。

「美少女戦士セーラームーンCrystal 第3期 デス・バスターズ編」より。

大原 うん、プリンセスだし、私も「行ってらっしゃい。プリンセスを守ってちょうだい」って言う。私は私で、自分を守るから。

皆川 はるかにとって、間違いなくうさぎちゃんは大事な存在で、2人の間に愛はあるんだけど、みちるとの間にある愛とはまた違ったものなんです。愛というか、さだめ、ですかね。

大原 正妻と愛人というわけではない、ってことですね(笑)。

──なるほど。とてもしっくりきました。とは言え、みちるはうさぎにヤキモチを妬いたりしないのかな、と思ってしまうんですが。

大原 それは、本妻の余裕ですよ。

皆川 なるほど。カッコいい!

「美少女戦士セーラームーンCrystal」第3期 デス・バスターズ編
「美少女戦士セーラームーンCrystal」第3期 デス・バスターズ編
放送情報

TOKYO MX:2016年4月4日より毎週月曜23:00~
テレビ北海道:2016年4月10日より毎週日曜25:05~
テレビ愛知:2016年4月10日より毎週日曜25:35~
サンテレビ:2016年4月5日より毎週火曜24:00~
TVQ九州放送:2016年4月8日より毎週金曜25:58~
BS11:2016年4月12日より毎週火曜23:30~

スタッフ

原作:武内直子
監督:今千秋
脚本・シリーズ構成:小林雄次
キャラクターデザイン:高橋晃
美術監督:倉橋隆
音楽:高梨康治(Team-MAX)
音楽制作:キングレコード
アニメーション制作:東映アニメーション

キャスト

月野うさぎ/セーラームーン:三石琴乃
水野亜美/セーラーマーキュリー:金元寿子
火野レイ/セーラーマーズ:佐藤利奈
木野まこと/セーラージュピター:小清水亜美
愛野美奈子/セーラーヴィーナス:伊藤静
ちびうさ/セーラーちびムーン:福圓美里
冥王せつな/セーラープルート:前田愛
天王はるか/セーラーウラヌス:皆川純子
海王みちる/セーラーネプチューン:大原さやか
土萠ほたる/セーラーサターン:藤井ゆきよ
地場衛/タキシード仮面:野島健児
ルナ:広橋涼
アルテミス:大林洋平
ダイアナ:中川翔子

カオリナイト:よのひかり
土萠教授:桐本拓哉
ファラオ90:土師孝也

〈ウィッチーズ5〉
ミメット:長久友紀
ユージアル:たかはし智秋
ビリユイ:本泉莉奈
テルル:大空直美
シプリン:庄司宇芽香

皆川純子(ミナガワジュンコ)

11月22日生まれ、茨城県出身。主な出演作品に「テニスの王子様」(越前リョ-マ役)、「SUPER LOVERS」(海棠零役)、「PandoraHearts」(オズ=ベザリウス役)、「暁のヨナ」(ユン役)、「ARIA」シリーズ(晃・E・フェラーリ役)、「コードギアス 反逆のルルーシュ」(コーネリア・リ・ブリタニア役)など。

大原さやか(オオハラサヤカ)

12月6日生まれ、神奈川県出身。特技はチェロ演奏。主な出演作品に「×××HOLiC」(壱原侑子役)、「夏雪ランデブー」(島尾六花役)、「FAIRY TAIL」(エルザ・スカーレット役)/「コードギアス 反逆のルルーシュ」(ミレイ・アッシュフォード役)、「ARIA」シリーズ(アリシア・フローレンス役)など。