コミックナタリー Power Push - 「美少女戦士セーラームーンCrystal」

私たちは、プリンセスを守る“騎士”

一度は変身してみたかった

──先ほども原作準拠というお話が出ましたが、キャラクターの設定も若干90年代アニメとは異なっていますね。

「美少女戦士セーラームーンCrystal 第3期 デス・バスターズ編」より。

皆川 はい。ウラヌスは90年代アニメでは男装の麗人というか、女性だったと思うんですが、今回は原作に沿っているので、「男性であり女性である」というネプチューンのセリフにある通りで。

──今日アフレコを拝見していて印象的だったのが、ウラヌスが女言葉をガッツリ話しているなと。

皆川 そうなんですよ! 私、はるかが登場したばかりの頃は本当に男として喋ってるんです。だから、女言葉を喋る時の声色や演技に迷ってしまって。何度も何度も、原作や台本を声に出して読んでみたりして、音域や語尾の処理を考えたんです。結果、声を変えるのはやめました。男の気持ちのまま女言葉を喋る。女でもあるから、本人に違和感はない、という感じ。最初は戸惑いましたが、監督も声は変えなくていい、むしろ変えないで、と言ってくださったので、今はすんなりできますね。

──第3期は、1、2期からキャラクターデザインが大きく変わりました。美麗なイメージから、少し丸みを帯びたようなタッチになりましたが、ウラヌス、ネプチューンのキャラデザを最初に観たときはどう思いましたか?

大原 90年代アニメより、さらに乙女になった気がする! キラキラと。

皆川 キラキラしてるよね。

「美少女戦士セーラームーンCrystal 第3期 デス・バスターズ編」より。

大原 あとね、みちる、90年代アニメよりちょっと髪が伸びたの。だからより華奢な、乙女な感じ……色っぽさが増した気がするね。

皆川 「かわいいなー、少女マンガいいな!」って思いました。ときめきますよね。やっぱり声優になったからには、一度は変身してみたかったんですよ。

──変身、初めてですか?

皆川 初めてです。女の子が変身しそうなアニメに出てても、男の子役だったりするので。純粋に、「わぁ、私の役が変身してる!」と思って感動してます。

大原 まさか純子さんが、こんなミニスカートを履くなんて。

皆川 私じゃないわ(笑)。でもやっぱり変身ものは、女性声優にとっては夢だと思うんです。私の声質ではできないと思ってた。

大原 私も。そういう作品に出ても、お母さんとか魔女キャラが多いから。

皆川 魔女キャラ(笑)。

大原 だけどやっぱり現場に入って、変身したり悪者と戦ったりすると、こんなにワクワクするんだーと思って。最初にほかの戦士キャストのみんなを観たときにすごく思ったんですけど、変身シーンは気合いの入り方が違う。やっぱりカッコよく決めなきゃいけないところだし、できあがりの画もすごく気合いが入ってるんです。先日完成した1話を観させていただいたんですけど、自分でも意外なことに感動して泣いてしまいました。

  • 「美少女戦士セーラームーンCrystal 第3期 デス・バスターズ編」にて、新たに描き起こされた変身シーン。
  • 「美少女戦士セーラームーンCrystal 第3期 デス・バスターズ編」にて、新たに描き起こされた変身シーン。
  • 「美少女戦士セーラームーンCrystal 第3期 デス・バスターズ編」にて、新たに描き起こされた変身シーン。

──今千秋監督は今回、「変身シーンをCGなしで描いていいなら」という条件で新監督としてのオファーを受けたそうで。1、2期からは変身シーンが一新されているのも見どころですね。

皆川 へー! でも納得です。もう隅々に愛を感じるよね。

大原 そうなの! だから演るほうも「ここは決めねば!」っていうすがすがしい緊張感がある。

皆川 ある。その緊張感がまたいいんだよね、ピリッとする感じ。技と変身のシーンは。

大原 特別だよね。緊張のあまり、オーディションのときも声が震えたもん。

皆川 私はオーディションのとき、噛んだよ。「ウアヌスプラネットパワー!」ってなっちゃって(笑)。「ウラヌス」ってけっこう言いづらいの。

最初で最後の変身シーン?

大原 そうかも。技もね、普通のアニメで戦うときとちょっと違うんですよ。例えば私の「サブマリンリフレクション」、だいたいほかの作品だと「サブマリィィーン!」って下から調子を上げていく感じなんだけど、「セーラームーン」の技名乗りは、ずっと平板のアクセントというか、トーンを変えずに叫ぶ感じ。

皆川 そうなんだよね。

──それは指導が入るんですか?

皆川 周りがそうしてたから、そういうものなんだと勝手に判断した感じですね。たぶん90年代アニメから続いてる伝統だと思うんですけど。本当にいつも、技と変身は緊張します。

大原 でも、もっと変身したいよね! 90年代アニメでは1年かけてやっていた話を今回は1クールでギュッとやる分、毎回毎回がクライマックスなんです。すべてのカットに愛がこもってるし、入れたくても入れられなかったカットも、きっとたくさんあるのではないかと。変身シーンもそのひとつだと思うので、1回1回がすごく重要。

──戦士が10人ともなると、毎回全員の変身シーンを入れ込むのも難しいですもんね。

皆川 尺が足りないですよ。だから私たち、そうそう変身しないんです。

大原 でもさ、純子さん今日録った分までで2回変身してるよね? 私、まだ1回なの。1回なんだよ!!

皆川 そうだっけ?(笑)

大原 もう1回したい! もしかしたらあれが最初で最後だったのかもしれない……。あああ、がんばったけど、もっとがんばればよかった。一発OKだったんですよ。ちょっとミスしておけばよかった、なんて(笑)。

左から皆川純子、大原さやか。

皆川 (笑)でもだからホント、すべてのカットを瞬きしないで観てほしいよね。監督の今さんはじめ、みんな「セーラームーン」を好きで好きでしょうがない人が作ってる。「セーラームーン」を好きな人たちの気持ちを裏切りたくなくて、良いものを作りたくて必死でやってます。演者としても、皆さんの愛に負けないように、この作品を愛してがんばっていくので、応援よろしくお願いします。

大原 本当に皆さんの期待を裏切らないと思う。90年代アニメが一番だと思ってる人もぜひ騙されたと思って(笑)、一度観ていただきたいですね。想像を超えるクオリティと溢れんばかりの愛を、感じ取ってもらえるはずです。

「美少女戦士セーラームーンCrystal」第3期 デス・バスターズ編
「美少女戦士セーラームーンCrystal」第3期 デス・バスターズ編
放送情報

TOKYO MX:2016年4月4日より毎週月曜23:00~
テレビ北海道:2016年4月10日より毎週日曜25:05~
テレビ愛知:2016年4月10日より毎週日曜25:35~
サンテレビ:2016年4月5日より毎週火曜24:00~
TVQ九州放送:2016年4月8日より毎週金曜25:58~
BS11:2016年4月12日より毎週火曜23:30~

スタッフ

原作:武内直子
監督:今千秋
脚本・シリーズ構成:小林雄次
キャラクターデザイン:高橋晃
美術監督:倉橋隆
音楽:高梨康治(Team-MAX)
音楽制作:キングレコード
アニメーション制作:東映アニメーション

キャスト

月野うさぎ/セーラームーン:三石琴乃
水野亜美/セーラーマーキュリー:金元寿子
火野レイ/セーラーマーズ:佐藤利奈
木野まこと/セーラージュピター:小清水亜美
愛野美奈子/セーラーヴィーナス:伊藤静
ちびうさ/セーラーちびムーン:福圓美里
冥王せつな/セーラープルート:前田愛
天王はるか/セーラーウラヌス:皆川純子
海王みちる/セーラーネプチューン:大原さやか
土萠ほたる/セーラーサターン:藤井ゆきよ
地場衛/タキシード仮面:野島健児
ルナ:広橋涼
アルテミス:大林洋平
ダイアナ:中川翔子

カオリナイト:よのひかり
土萠教授:桐本拓哉
ファラオ90:土師孝也

〈ウィッチーズ5〉
ミメット:長久友紀
ユージアル:たかはし智秋
ビリユイ:本泉莉奈
テルル:大空直美
シプリン:庄司宇芽香

皆川純子(ミナガワジュンコ)

11月22日生まれ、茨城県出身。主な出演作品に「テニスの王子様」(越前リョ-マ役)、「SUPER LOVERS」(海棠零役)、「PandoraHearts」(オズ=ベザリウス役)、「暁のヨナ」(ユン役)、「ARIA」シリーズ(晃・E・フェラーリ役)、「コードギアス 反逆のルルーシュ」(コーネリア・リ・ブリタニア役)など。

大原さやか(オオハラサヤカ)

12月6日生まれ、神奈川県出身。特技はチェロ演奏。主な出演作品に「×××HOLiC」(壱原侑子役)、「夏雪ランデブー」(島尾六花役)、「FAIRY TAIL」(エルザ・スカーレット役)/「コードギアス 反逆のルルーシュ」(ミレイ・アッシュフォード役)、「ARIA」シリーズ(アリシア・フローレンス役)など。