「美少女戦士セーラームーンClassic Concert」|三宅一徳(オーケストラ編曲担当)×小佐野文雄(原作担当編集)インタビュー オーケストラが奏でる、愛と正義の「セーラームーン」イズム

今年の公演では新しいセットリストや、ファンにはたまらないドラマパートも

──今年の公演のプログラムについてはすでに公開されていますが、今はアレンジの真っ最中というところでしょうか(取材は6月中旬)。

「美少女戦士セーラームーン Classic Concert 2018」セットリスト

三宅 そうですね。自分が関わっている部分はほぼできていますけれども。

小佐野 去年のプログラムは「セーラームーン」曲のオールタイムベストという感じで、もう今年は“裏ベスト”しかできないんじゃないかと思ったんですけど(笑)、平野さんがアイデアマンなので、また全然違う魅力を打ち出してくれた感じですね。それがお客さんにちゃんと伝わるといいなと思います。

──どのあたりが見どころでしょうか。

三宅 新しくアレンジャーとして川崎龍くんというアカデミック系の若手作曲家の方に入ってもらったんですが、そこをぜひ楽しみにしてもらいたいですね。「ムーンライト伝説」を担当してもらっています。

──去年とは異なるアレンジになる?

三宅 はい。これだけ有名な曲なので、多少のことをやっても皆さんついてこられるだろうと。なので全然違う形になってるかもしれないですよ。あとは、日替わりというか公演ごとに替わるところもあります。

──キャラクターソングのパートですね。水野亜美の「同じ涙を分け合って」、火野レイの「聖・炎・愛~Fire Soul Love~」、木野まことの「STARLIGHTにキスして」、愛野美奈子の「ルート・ヴィーナス」、そして「タキシード仮面登場のテーマ」の5曲のうち1曲が公演ごとに披露されると。

手前から三宅一徳、小佐野文雄。

小佐野 キャラソンは昨年のアンケートでも待望する声が多くて。なのに毎回行かないと全部聴けないという、鬼のような仕組みなんですよ。

三宅 鬼(笑)。「聖・炎・愛~Fire Soul Love~」なんかはヒップホップっぽい曲なので、それをどう料理しているかっていうのは興味深いところですね。跳ねもの系というか、そういうリズムはオケって結構苦手なので。

小佐野 あと、昨年の公演のドラマパートはうさぎがコンサートに遊びに来ているというライトな内容だったのですが、今年はセーラームーンの名場面のストーリーを音楽と合わせて楽しんでいただける内容がたくさんちりばめられています。ムーンとギャラクシアの掛け合いもたっぷりと感じていただけると思いますし、無印最終話のうさぎの名セリフも三石さんに演じていただきます。

──えっ! ……それは、聞いただけでファンとしては胸が熱くなってしまいます。

三石琴乃

小佐野 最終話のシーンはBGMとして小坂明子さんによる「ムーンライト伝説」のピアノバージョンも披露されますし、楽しみにしていてください。

──今年で2回目の開催となりますが、今後もクラシックコンサートは続けていく予定でしょうか?

小佐野 今回もうまくいったらもちろん続けたいなと思っています。決めるのは僕らじゃなくて、お客さんですね(笑)。アンケートを見ると、クラシックのコンサートに行くのはこれが初めて、東京芸術劇場のようなホールに来たのも初めて、という方が9割近くもいました。「新しい音楽体験をさせてくれてありがとう」と。こちらこそ「ありがとうございます」なんですが、そういう場を提供できるのはいいことだなと思っています。

三宅 作品と結びついたこうした公演で初めてオーケストラに触れる機会を作れるのは、とてもうれしいです。お母さん世代が、お子さんを連れて来場したら、さらにまた広がる可能性があるので、単純に音楽文化の広がりとしてもとても素敵なことだと思います。イギリスなんかは学生の席が500円程度で入れたり、おじいちゃんおばあちゃんがフラッとやってきたり、コンサートに行きやすい環境があるんですよ。日常の中で鑑賞するっていう景色が当たり前になっていくといいなと思います。

小佐野 去年来ていただいた方も、まったく新しい感じでまた楽しんでいただけると思うので、ぜひいらしていただきたいです。年に1回の恒例行事みたいにしていけたらいいなあ。

三宅 ああ、いいですね!

※記事初出時、本文の曲数に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

「美少女戦士セーラームーンClassic Concert 2018」
「美少女戦士セーラームーンClassic Concert 2018」
東京公演

日程:2018年8月28日(火)、29日(水)
時間:13:00開場、14:00開演 / 18:00開場、19:00開演
会場:東京芸術劇場

大阪公演

日程:2018年9月7日(金)
時間:18:00開場、19:00開演
会場:フェスティバルホール

出演

指揮:新田ユリ
ゲスト:堀江美都子、小坂明子、寺下真理子、SUGURU(from TSUKEMEN)
声の出演:三石琴乃、堀江美都子

管弦楽

東京公演:東京フィルハーモニー交響楽団
大阪公演:関西フィルハーモニー管弦楽団

三宅一徳(ミヤケカズノリ)
1963年生まれ。作・編曲家。フルオーケストラから、シンセサイザーの打ち込み、バンド、純邦楽器、民族楽器までを巧みに使いこなし、CM、ドラマ、アニメ、特撮などさまざまなジャンルの劇伴も担当。代表作に「忍風戦隊ハリケンジャー」「仮面ライダー剣」「Woman」「anone」など多数。
小佐野文雄(オサノフミオ)
「美少女戦士セーラームーン」原作編集担当。ファンからは「おさBU」の愛称で親しまれている。

2018年8月29日更新