アフレコの最後は“壁”を壊す「とりゃー!」
──いよいよ終盤です。第10話「さよなら、私たちの世界」では“壁”の指令によって22/7が解散することになります。解散という展開を知ったときはどう感じられましたか?
天城 「このまま終わる彼女たちじゃないだろう」「どうやったら解散しないでいられるんだろう」と思っていました。
帆風 “壁”は指令に対して従うしかない絶対的な存在ですけど、彼女たちがその“壁”をどう乗り越えていくのかな、というのが気になりました。
──そして第11話「ただその背中を追いつづけて」でニコルとみうの過去が明かされ、再びメンバーが集います。
河瀬 11話は全体を通して、これまでの話の答え合わせをしていくような回だったな、と思います。先ほど話した3話のライブシーンでの、ニコルの笑顔の理由も、ここで過去が明らかになることでわかる。10話でニコルがみうちゃんに「あなたの大切なものって何?」って問いかけたシーンがありますが、11話でニコルが「どうして助けてくれたの?」と尋ねたら、みうちゃんが「大切なものが壊れちゃう気がして」と答えてくれるんですよね。1話ではみうちゃんにとって大切なものは家族で、それが壊れるくらいなら嫌いなアイドルにだってなってやると言っていたのが、11話ではメンバーもその“大切なもの”に加わっているんです。
──小学生のニコルとみうが参加する学芸会の演劇中、ニコルがいじめにあって、それをみうが助けるシーンがありますよね。
河瀬 小学2年生のはずなんですが、いじめが思ったより陰湿でした。
海乃 絢香もいじめられるシーンがありましたけど、個室トイレの上から水をかけられる描写に、音響監督さんも「この令和の時代に」と言っていました(笑)。
──みうがいじめっ子のマウントを取ってグーパンで殴りつける描写に驚いたのですが、そこでの演技はみうにしては激しかったですね。
西條 そうですね。私は基本的に嘘をつきたくない人間なんですけど、このシーンが来て「人を殴ったことがないのでどうしよう」と思っていたんです。すると音響監督さんが「じゃあ本当に殴ってみよう」って言ってくださって、実際にひたすら殴ったんです。それで嘘ではない声になりました。
河瀬 11話は私と和さんの2人だけ早くアフレコ現場に入っていたので、その様子を私だけが見ていました。音響監督さんが「もっと獣のように!」と指導してくださって、「殴るときってこうやって演技するんだ」とすごく勉強になりました。
──そして再び集ったメンバーで“壁”を壊し、ファンの前でライブを行う最終話「ナナブンノニジュウニ」です。
海乃 そのライブシーンが、これまでずっと流れていたオープニングのサビになっているんですよね。「やっとここまで来られたね」という。すごく胸熱なシーンだし、いちアニメ好きとして、「あっ、つながってるんだ!」っていう高揚感がありました(笑)。
宮瀬 ほかにも物理的に“壁”を壊して(笑)、進んだ先にある赤い部屋にメンバー全員の小さい頃からの写真が貼られているじゃないですか。あそこもオープニングで絢香が赤い場所でフィルムに囲まれているカットとつながっているんですよね。実はオープニングにすごく大事な伏線があったという。
海乃 ただ、幼少期から壁にずっと見られていたっていうのも怖いよね。
宮瀬 監視カメラもすごくいっぱいあるし(笑)。
──メンバー全員で“壁”を壊すシーン、あそこは皆さん獣のようになったのでしょうか?
天城 あそこは1人ずつ録ったんですけど、けっこう長い時間殴るときの声を入れなきゃいけなかったので最初は恥ずかしかったですね。ワンパターンだとおかしいので、いろいろとパターンを変えながらやったりもして難しかったです。
宮瀬 私も11話の和ちゃんと一緒で、音響監督さんの手を殴りながら、本気で息が苦しくなりながら演技させてもらいました。しかも最後に“壁”が壊れる、その一石を投じるのが絢香ちゃんなんですけど、アフレコの最後がそこだったんですよ。メンバーみんなや三宅さんが見守ってくれるなかで“壁”を壊す「とりゃー!」をやり、「オールアップです!」と言われて収録が終わったので思い入れがあるシーンです。
キャラクターとしての活動もより増やしたい
──その最終話のラストに出てきたメンバー3人が登場する第13話「8+3=?」が、Blu-ray / DVD vol.06に収録されます。収録はこれからだそうですが、どういったところが注目ポイントになりそうでしょうか?
天城 “壁”を壊して一致団結したメンバーに、その新しい3人がどう加わっていくかというのが見どころになると思います。
海乃 すごく個性的な声の持ち主の3人なんですよ。
帆風 しかもキャラクターにぴったり合っているんです。だから3人ともすごく自然に、自由に演技をしていて、ゲーム用の収録は一緒にやっているんですが、見ていて楽しくなります。
──そして春にはスマートフォン用ゲーム「22/7 音楽の時間」がリリース予定です。この作品の魅力を紹介してください。
海乃 リズムゲームなんですけど、私たちがこれまでリリースしてきた楽曲はもちろん、カバー曲も豊富で、王道から知る人ぞ知る楽曲まで幅広く収録されているんです。だからアニメファンもアイドルファンも楽しんでいただけるはずです。
天城 あとストーリーもあって、メンバーがアニメとは違って六番町学院という同じ学院に通うんですけど、彼女たちがどんな生活を送っているか見てほしいし、同じ制服を着ているのもポイントです。新しく登場する3人やライバルユニットのChouChou(シュシュ)がどんな活躍をするかも注目してほしいです。
──カバー曲はどんなものが収録されるんですか?
海乃 私が個人的に楽しみなのは、麗華ちゃんが歌っている「名前のない怪物」で、聴いたんですけど本当にカッコいいんですよ。あとはあかねちゃんと絢香ちゃんがカバーしている曲も、どういうテイストになっているのか気になります。
宮瀬 あの、渡り廊下走り隊?
白沢 違う、後ろ指さされ組。
一同 (笑)。
宮瀬 すみません。そんな大御所のアイドルさんの「象さんのすきゃんてぃ」という曲をカバーさせていただくことになって、2人で驚きました。すごくかわいらしい曲なんですけど、上のパートと下のパートに分けてカエルの合唱みたいに……。
白沢 輪唱?
宮瀬 そう、輪唱(笑)。輪唱して。これまで「ナナニジ」にデュエットはなかったので、2人で楽しく練習していました。収録してできあがったときも、帰り道で2人で歌いながら仲良く帰りました。
帆風 平和な2人だなあ……(笑)。
──かわいらしい光景が思い浮かびます。最後に今後について伺います。以前、音楽ナタリーのインタビューで天城さんが「アニメ化は目標ではあったんですが、私たちにとってゴールではなく、新しいスタートだと思っています」とおっしゃっていました。TVアニメの放送が終わった今、22/7の次の目標への意気込みを教えてください。
天城 これまでは私たちが前に出てステージに立つことが多かったんですけど、アニメが放送された3カ月を通じて多くの人にキャラクターのことを知っていただきました。だから個人的にはキャラクターのライブとかもやってみたいです。
西條 確かにアニメが始まってから「みうちゃんが好き」と言ってくださる方がすごく増えたので、ライブもそうだし、もっとキャラクターとして活動できたらいいなと思っています。
天城 あとアニメでよく流れた「ムズイ」や「空のエメラルド」以外にもたくさん曲があるので、ゲームを通じて22/7の楽曲をもっともっと好きになってもらって、パフォーマンスを見に来てくださる方が増えたらうれしいですね。
帆風 年始にみんなで目標は「世界制覇」と言っていたよね。22/7は私たちとキャラクターでできることが違いますが、それぞれ新しいこと……それこそ私たちが思いつかないようなことにも挑戦して、目標を達成するための礎となるような1年にしたいです。