TVアニメ「22/7」|「一番やりたくないこと」から始まった、全12話の軌跡

お好み焼きの円陣はまだしたことありません

──ここから各メンバーの過去が明かされるエピソードが続きます。まずは桜とその祖母・さくらの過去が語られる、第4話「約束に咲く花」です。

天城 桜ちゃんとさくらお祖母様、そして花の桜がリンクしている話ですね。桜ちゃんが初めて桜を見たときに「桜は短い期間しか咲かないけど、その儚さが桜をより美しく見せている」という話を聞いていたので、「さくらお祖母様が亡くなるときも、桜のように美しかったのかな」とか思っちゃいました。あとアメリカにいた頃に桜ちゃんが住んでいた家のインテリアが、天城家とほぼ瓜二つなんですよ。スタッフさんがアメリカのうちに来たことってないはずなので、偶然か、アメリカの家にありそうな家の様子なんだとは思うんですけどね。最初にそのシーンを観たときは「私の家だ!」と驚きました。

──キャラクターやエピソードが、リアルユニットとリンクしてる「ナナニジ」らしい話ですね。ちなみに、キャラクターとリアルメンバーで一番ギャップがあるのはどなたでしょう?

一同 詩ちゃんとニコルちゃん?

河瀬 確かに、あんなに強くものを言ったことがないです。

一同 (笑)。

斎藤ニコル役の河瀬詩。

河瀬 ニコルちゃんは自信があるから思ってることも素直に言えるんでしょうけど、私は全然自信がないので、あんなに強く言えるのが羨ましいです。憧れますね。負けず嫌いなのと頑固なところは似ているんですけど、それ以外は正反対です。

──なるほど。続いて第5話「ひっくり返せばええねんで!」は河野都の上京と並行して、お好み焼きパーティでメンバー間の結束が深まる話でした。

天城 (都役の倉岡)水巴ちゃんは、都が上京のために新幹線に乗り込むシーンが好きだとよく言っています。お母さんや兄弟に見送られているときには泣かないけど、車内に入ってからうずくまって「必ず見つける。お父ちゃんを見つけて、みんなを幸せにするから」と決意する場面。そこは何度もリテイクして、本人もすごく試行錯誤していましたね。その一言に都ちゃんの強い意志や家族思いなところが詰まっていて、私も好きなシーンです。

──そして、このエピソードで「薄力粉」「豚肉」から始まる、お好み焼きをモチーフにした円陣の掛け声が生まれますね。

白沢 あの掛け声、一言一言が短くバンバン進むので、マイクワークがとっても大変なんです。だからアフレコであのシーンになると「1回止めようか」となって。

一同 あはは(笑)。

第5話「ひっくり返せばええねんで!」より。

白沢 そしてマイク前で「海乃はここ、天城はここ、西條、斉藤、帆風……」と並びを決めて、自分のセリフを言った人はすぐにマイク前からどいて入れ替わっていくんです。今でも円陣のシーンが来たらあわあわしちゃうと思います。

宮瀬 あの掛け声、単語しか言わないんですけど、言い方にキャラクターの個性が出ているのがいいんですよ。リアルでもあの円陣をやってみようと言ったことがあるんですけど、まだやったことがありません(笑)。

──いつかファンの前で披露されるのを期待します。第6話「偶数と奇数のあいだ」は22/7で水着撮影に臨む中、リーダーになった麗華が葛藤する話でした。

帆風 第6話ではお父さんとの掛け合いが好きですね。アイドルになるために上京することにお父さんがすごく乗り気で、麗華ちゃんはお父さんに対して「私がいなくなって平気なの?」と問いかけるんですが、一番寂しいのは麗華ちゃんなんですよ。メンバーといるときには見せない、娘としての顔が見られて推しポイントです。

──お父さん、いいキャラしてますよね。麗華が次に実家に帰ったときにはたくさんグッズを集めてたりして。

帆風 絶対に浪費してますよね!

──このエピソードでは、麗華が水着撮影と向き合うきっかけを作ったあかねもよかったですね。

白沢 サイコロを使って麗華を諭すシーンは、音響監督さんから「自分を神様だと思って」「神々しく、導くように言ってあげないと麗華も心が動かないよ」と言われたのを覚えています。「神様ってどんな感じだろう」と思いながら、自分なりの神様感を出しました。

──ただ、なんで水着姿でサイコロ持ってるんだというのが不思議なところで。

白沢 私もわかりません(笑)。

帆風 あかねちゃんは「お守り」なんて言ってましたけど、不思議ですね。

細かな描写も「22/7」の見どころ

──第7話「ハッピー☆ジェット☆コースター」は、ほかのメンバーが倒れたなか、ジュンがメンバーの分もひとりで奮闘する話でした。

海乃 最後に回復したみんなと再会したジュンが、「本当に、本当に、楽しかった」って言うシーンが大好きです。一番子供って言われがちなジュンも、実は大人なんだなと思えるシーンですが、大変な目にあっても「楽しかった」と言える強さは過去の悠ちゃんとの経験があってのもので。

──悠は、病弱だったジュンが入院先の病院で同じ部屋になって仲良くなった女の子ですね。本編のラストカットで、ジュンが後ろ手に持った悠からの最後の手紙が映るシーンは泣けました。

第7話「ハッピー☆ジェット☆コースター」より。

海乃 クシャって手紙を少し握るSEが入っていて、観ていて「おおー」っとうれしくなりました。エンディングではその悠ちゃんとお別れしてから5年経った今でもジュンちゃんの中で生き続けているのが描かれるし、その悠ちゃんと同じくらいメンバーのことが大好きというのもわかるんですよね。

──ジュンがステージ上でメンバーのモノマネをするシーンもありますが、海乃さんが一番自信があるモノマネは誰ですか?

海乃 いや、自信なんて全然ないです(笑)。でも都ちゃんは関西弁だからある意味やりやすくて、メンバーからも似てると言われました。でも基本的には全然……あかねとか特に自信がないです。

白沢 ええっ、めちゃくちゃ似てたよ!

海乃 ……と言ってくれるので、そのくらい一緒にデビューしてからの3年間であかねの声も聞いてたんでしょうかね。

白沢 自分の中で“あかねの声のトーンを出す位置”みたいなものがあるんですけど、海乃るりちゃんが出す位置がまさにそこだったんですよ。

──西條さんはいかがですか?

西條 私は聞いていて少し恥ずかしくなりました。もともと自分の声を聴くのが嫌なので、「ふわあ」って……。

──それくらい似ていたということですね。第8話「ゆめみるロボット」ではあかねの幼少期の事件とともに、知られざる一面が明かされます。

丸山あかね役の白沢かなえ。

白沢 あかねちゃんが小さい頃に絵を描いているシーンがありましたが、私もずっと絵を描くのが好きなんですよ。しかもあかねちゃんは油絵とかも本格的に描く環境があって、羨ましいなと思いながら声をあてていました。

──子供の頃のあかね、絵を描くときに相当荒ぶってましたね。

白沢 そうですね。あそこは直前まで何と言うか全然決まってなくて、るりちゃんに相談したら、「うーん、『うりゃあ!』とか?」と言われてそれを採用しました。

──8話は過去と今のあかねのギャップが印象的でした。次の第9話「お星さまのララバイ」では温泉宿を舞台に、絢香のグループに対するスタンスが描かれます。

宮瀬 絢香ちゃんってメンバーの中ではお姉さん的な立ち位置ですけど、家族の中だと末っ子で妹キャラになるんですよ。そこがすごく好きなんです。特に、次女のお姉ちゃんと一緒に男の子に絡まれていたところを長女のお姉ちゃんに助けてもらって、三姉妹の絆が深まる場面がお気に入りです。

──1周年ライブを前にメンバーの仲が深まっている様子が見られるのもいいですよね。

第9話「お星さまのララバイ」より。

宮瀬 はい。もうひとつ9話で好きなのが、落ち葉を使った描写なんですよ。メンバー8人がケンカすると、8枚の落ち葉がパッと散らばって、仲直りするとまた集まって。ほかにも三姉妹のシーンでは3枚の落ち葉が重なっているとか、そういった細かい表現もすごく素敵なんですよね。

──皆さんが結成1周年を迎えた頃には、アニメ内のメンバーくらい仲がよかったのでしょうか?

帆風 あそこまでじゃなかったかな……。

天城 アニメだとトランプでケンカしていますけど、ケンカするほど仲がいいって言いますよね。私たちの場合はまだお互いの意見を尊重し合ってたというか、どうぞどうぞ精神があったかな。

帆風 去年やった定期公演くらいから、少しずつ言い合えるようになってきたくらいだよね。これはケンカしなきゃいけないのかも。でも「スマッシュブラザーズ」とか、ゲームしながらしょうもないことでケンカしたりはするよね(笑)。