TVアニメ「憂国のモリアーティ」|ウィリアムチーム・斉藤壮馬&小林千晃 VS シャーロックチーム・古川慎&小野友樹 知力を尽くした“謎解きゲーム”バトル 答えに早く辿り着くのはどちらのチームか?謎の先に待ち受けるものは……。

斉藤壮馬(ウィリアム役)×小林千晃(ルイス役)対談

ウィリアムとシャーロック、わかりやすくない関係性が魅力
(斉藤)

──現在、2クール目が放送中の「憂国のモリアーティ」ですが、ここまでの物語を振り返って、感想を聞かせてください。

斉藤壮馬 おかげさまで、いろんな方からご好評をいただいて。僕らも物語に惹き込まれながら収録しているので、作品として楽しんでいただけるのはうれしいです。最初は3兄弟ぐらいしかメインキャラクターがいなかったんですが、1人また1人と仲間が増えていき、それとともに好敵手も現れて、2クール目にしてようやく役者が揃ったなと。

小林千晃 僕は1クール目の後半、シャーロックがウィリアム兄さんのお眼鏡にかなって(笑)、それまで淡々と仕事をこなしていたルイスが感情むき出しになったシーンが印象的です。

左から小林千晃、斉藤壮馬。

──ウィリアムの関心がシャーロックに移って、ルイスがヤキモチを焼いているようにも見えました(笑)。

小林 物語としてもシャーロックが出てきて動き始めたところがあるし、ルイス的にもシャーロックとウィリアムが濃く関わり合ったときに強い感情が出たのは面白かったです。

斉藤 モノローグで饒舌にしゃべってたもんね(笑)。

TVアニメ「憂国のモリアーティ」より。

小林 いや、ほんとに(笑)。1クール目で一番しゃべりましたよ。

斉藤 ウィリアムも悪い男だなと(笑)。ルイスの気持ちわかってるだろうに。

小林 「弟の心、兄知らず」みたいな気もしますけどね。でもルイスのかわいい一面が見られたんじゃないかなと思います。

斉藤 僕も10話で「Catch me if you can, Mr. Holmes.」と言うあの瞬間の、2人だけの世界は印象深いです。シャーロックはわかりやすくテンション上がってましたけど、ウィリアムもウィリアムで、自分と同じ眼差しで世界を見ることができる存在は稀でしょうから、出会えた喜びが隠しきれてないなと。

小林 シャーロックが出てくるまで、ウィリアムは計画を遂行するだけでしたけど、それ以外の感情が垣間見えましたからね。

──おふたりはシャーロックとウィリアムのライバル関係をどう捉えていますか?

斉藤 これはウィリアムとしてというよりは、斉藤壮馬個人としての感想ですが、今の段階ではまだウィリアムのほうが一枚上手かなっていう印象です。ウィリアム自身も自分が筋書きを書いて、シャーロックに演じてもらっているという認識だと思うので。

小林 僕も現時点ではライバル関係にまでは至ってないのかなと。ウィリアムが常に先導しているというか、「Catch me if you can.」という言葉の通り「私を捕まえてご覧なさい」っていう、まだ手の平で転がされている印象です。で、たまに噛みつかれるけど、それもウィリアム的にはうれしいみたいな。これからウィリアムのライバルになっていくであろう相手を自分で成長させていく、なんか調教師めいた感じですね(笑)。

斉藤 (笑)。でもシャーロックもウィリアムに導かれている自覚はあるだろうし、あえて誘いに乗ってるところもある。そういうわかりやすくない関係性が彼らの魅力だと思います。だからこの先、物語が佳境に差し掛かっていくにしたがって、関係性がどう変わっていくのかが楽しみですね。シャーロックって物事の本質に辿り着くのがすごく早いというか、だからこそ推理も乱暴になりがちみたいなところがあると思うので、もしかしたら確信的な一歩を踏み出す速度はウィリアムよりシャーロックのほうが早いのかなって気もしますし、先が読めない2人ですね。

シャーロックとジョンは面倒臭い彼氏とそれに振り回される彼女
(小林)

──今回はシャーロックチームとの対決を行いましたが、シャーロックとジョンの関係はおふたりから見てどう感じますか?

TVアニメ「憂国のモリアーティ」より。

小林 最初は天才と凡人というか、奇人と常識人みたいな印象があって。でも話が進むにつれて、お互いにすごく必要な存在なんだなって感じることが増えました。ジョンがしっかり者のお兄さんでシャーロックが手のかかる弟、みたいな。

斉藤 確かに、一緒にいるときは「俺について来い!」って強気な感じなのに、ジョンがいなくなりそうだと急に「俺を置いて行くのかよ……」って弱気になるよね(笑)。

小林 面倒臭い彼氏とそれに振り回される彼女みたいな(笑)。

斉藤 でもよくよく考えると、ジョンもまあまあ変な人だと思いますよ。急に結婚するとか言い出したり(笑)。

小林 そうですよね。シャーロックみたいな変人についていけるのもすごいし。

斉藤 そういう意味ではいいコンビなんでしょうね。お互いを補い合っているというか。こういう言い方が適切かわからないですけど、男同士の友情って感じがします。ウィリアムとシャーロックは魂の削り合いみたいなところがありますけど、それよりもっとフランクな関係ですね。

──ちなみに前回の取材のお茶会のとき斉藤さん、佐藤拓也さん、小林さんの3人揃っての企画は初めてだったとのことでしたが、それから収録などを重ねてきて、3兄弟の関係性には変化がありましたか?

斉藤 僕は……千晃くんと仲良くなったと思ってるよ?

小林 僕も本当にお慕い申しておりまして……。

斉藤 その表現はどうなの(笑)。一度2人だけでじっくり話をする機会があって、それがよかったよね。

小林 はい。役者としての壮馬さんというよりは、素の壮馬さんとお話ができて、それ以来ほかの現場で会っても話がしやすくなりました。

TVアニメ「憂国のモリアーティ」より。

斉藤 佐藤さんとはもともといろんな場所でお世話になっていて、最初から仲がいい状態だったから安心感があったんですけど、千晃くんとはガッツリ仕事をしたのが初めてで。どういう作品が好きなのかとか、どういう考え方の人なのかはあんまり知らなかったんです。でも最初の先行上映会のメッセージ動画を見て……。

小林 そこですか(笑)。

斉藤 これはもしやと思って(笑)。その後お茶会の撮影があって、じっくり話をする機会が持てて、順調に仲良くなれているなと思います。世が世なら、飲みに行ったりしたいですけどね。

小林 壮馬さんもさとたくさんも普通にしゃべりやすくて、先輩だからといって気を使ったり緊張したりすることもなく。のびのびとお芝居させてもらえて、ありがたいです。

斉藤 「憂国のモリアーティ」のアフレコ現場はかなり穏やかなんですよ。物語は殺伐としている部分もあるんですけど、基本優しい人しかいない空間だよね。

小林 僕ら3人だけじゃなくフレッド役の(上村)祐翔さんとか、モラン役の日野(聡)さんもなんとなく雰囲気が似てますね。お互いがお互いの時間を自由に過ごしているというか、無言で台本やスマホとかいじっていても違和感がない。元気でわーって感じの人はボンド役の日笠(陽子)さんぐらいですかね。

斉藤 日笠さんは……ちょっと別枠ですから(笑)。

ドラマCDという形だったとしても描いてもらえてよかった(斉藤)

──アニメのBlu-ray / DVD第3巻に付属しているドラマCD「バスカヴィル家の狩り」では、ウィリアムとルイスの内面を知るうえで特別なエピソードが描かれています。アフレコの際のエピソードなどあれば聞かせてください。

斉藤 うわー出たー。現場は和やかですよって話した矢先に殺伐ストーリー(笑)。

小林 全然和やかじゃない(笑)。

「バスカヴィル家の狩り」のエピソードが収録されている原作コミックス第3巻。

©竹内良輔・三好 輝/集英社

斉藤 でも確かに重要なエピソードですね。特にルイス、フレッド、モランにとっては大事な話。原作ものは、アニメ化にあたって省略したり変更しなきゃいけない部分が出てくるのは仕方ないことですが、個人的には難しいだろうなと思いつつ、「バスカヴィル家の狩り」はアニメで観てみたかったです。ただドラマCDという形だったとしても描いてもらえてよかった。この話を挟むことによって、物語の深みが全然変わってくると思うので。

小林 ルイスってあまりしゃべらないし、淡々としていて何を考えているかわからないと思われがちなんですけど、このドラマCDを聴いていただければ、ルイスのことが理解していただけるんじゃないかな。僕としても、ウィリアムに対して抱いていた思いや、表に出せなかった感情を吐露して前向きな形で解決していく流れや、フレッドに対する理解などルイスの内面をちゃんと説明できてうれしかったです。

斉藤 ウィリアムはウィリアムで、ルイスを守りたいがあまりに前線からは遠ざけようとしていたんですよね。でもルイスだけは汚れのない世界でいてほしいというウィリアムの思いが、逆にルイスを傷つけていたことに気付く。

小林 ドラマCDを聴かずともアニメ本編は楽しめますが、ドラマCDを聴くことで、こういうことがあったからルイスは吹っ切れた気持ちで計画に参加してるんだとわかっていただけると思います。ドラマCDだからこそ、キャラクター同士の関係性とか内面が丁寧に描かれていますし、まだ聴いていない方にはぜひ聴いてほしいです。

左から小林千晃、斉藤壮馬。

──では最後に、2クール目のどこに注目していただきたいか教えてください。

小林 やっぱり注目は新キャラクターですね。実は僕ら、新キャラの声優予想を勝手にしてまして(笑)。

斉藤 僕はずっとヘルダーが好きって言ってきたんですけど、鳥海(浩輔)さんはドンピシャすぎるだろって。すごく楽しみです。

小林 絶妙ですよね。

斉藤 細かな声の芝居にも注目していただきたいですね。我々は「モリアーティ」という作品の中ではキャリアが若いほうなので、錚々たる方々とご一緒させていただいて勉強になります。そして、この物語が最終的にどんな方向に向かっていくのか、これまでゆっくりゆっくり貯めてきたものが、クライマックスに向けて放出されていくと思うので、最後まで見ていただきたいです。

小林 個人的には、果たして水着回をやるのかと。

斉藤 (笑)。でもなんか最近公式が推してきてるよね。

小林 そうなんですよ。僕が先行上映会でなんとなく話のネタになればいいなと思って言ったことが、意外と先生方も乗り気で……(笑)。三好輝先生が水着姿のイラストも描いてくださったり。

斉藤 よし、劇場版にして2本立てでやろう!

小林 子供向けの映画でやるやつですね。「モリアーティ家の夏休み」みたいな、30分ぐらいの。

斉藤 そうそう。って僕たち言うだけで責任取れないですけど(笑)。

小林 アイデアだけ出します(笑)。