TVアニメ「憂国のモリアーティ」|ウィリアムチーム・斉藤壮馬&小林千晃 VS シャーロックチーム・古川慎&小野友樹 知力を尽くした“謎解きゲーム”バトル 答えに早く辿り着くのはどちらのチームか?謎の先に待ち受けるものは……。

古川慎(シャーロック役)×小野友樹(ジョン役) 対談

ジョンはシャーロックにとって女房のような存在(古川)

──まずは「憂国のモリアーティ」という作品を知ったときの感想を聞かせてください。

古川慎 ジェームズ・モリアーティという、「シャーロック・ホームズ」シリーズでは敵役として登場する人物を主軸とした話ということで、まずその時点で面白いなと思いました。モリアーティというキャラクターに主人公として焦点を当てることってなかなか珍しいことだと思うし、ダークヒーローものというか、ピカレスクのように描かれているのは非常に魅力的だなと。収録の準備のために原作を読み進めていたんですが、あっという間に最新巻まで読み終わりましたね。

小野友樹 作画の美しさもさることながら、物語の背景にはきらびやかな表側からは見えてこない、英国政府の闇が横たわっている。僕も大好きな謎解きやミステリー要素がふんだんに盛り込まれたストーリーで、非常に惹き込まれながら原作を読ませていただきました。

左から古川慎、小野友樹。

──おふたりが演じられたキャラクターについて、一言でいうとどんな人物でしょうか。

小野 ジョンを本当に一言で言うと「いい奴」ですね(笑)。気立てもいいし、悪いことには悪いと真っ直ぐに言えるし、時には道化を演じる器もある。人のよさというのが、ジョンの根底に流れていると思います。それでいて医師というバックボーンがあり、戦場を生き抜いている。軍医としての経験・体力もあり、あらゆる意味で尊敬できる人物だなと思いながら演じています。

──観ている側としては、とても共感しやすいキャラクターだなと思います。

小野 視聴者目線として、感情移入しやすい位置にジョンがいてくれるのは大きいですよね。だからこそほかのキャラクターの特殊さが際立ちますから。重要なポジションだと思います。

TVアニメ「憂国のモリアーティ」より。

古川 ジョンって、レディファーストを体現しているというか、もっと言えば紳士を体現している人物だと思うんですよ。知識があって教養があって、ここまで生きてきた経歴もあるのにそれを決してひけらかさない。しかも正義感もあって、作品が違えばジョンが主人公になっていてもおかしくないくらい真っ直ぐな心を持っている。だからこそ許せない犯罪に憤るし、シャーロックがおいたをしたらたしなめてくれるし、叱ってくれる。ものすごく包容力がある、シャーロックにとっては女房のような存在ですよね。

──確かに。ではシャーロックはいかがでしょうか?

古川 シャーロックを一言でいうと、「謎解き中毒者」とかでいいじゃないですかね(笑)。

一同 (笑)。

古川 この世界にはいろんなシャーロックがあふれていて、原典のシャーロックはもちろん映画、ドラマ、アニメ、舞台とさまざまなシャーロックがいますけど、「憂国のモリアーティ」のシャーロックは謎解きというものに中毒的な感覚を覚えている部分がピックアップされているなと感じます。それと同時に、敵対するモリアーティ側が超然としている部分があるので、こっちは逆に人間臭さを感じますね。

──確かにミステリアスなモリアーティ側のキャラクターと比べるとシャーロックやジョンは裏表がない印象が強いです。

古川 ブラフも使うときは使うんですが、ブラフを使っているときのシャーロックと、謎と向き合っているときのシャーロックと、ワトソンさんとやり取りしているシャーロックって、おそらく使ってる脳の場所が違うんですよ。その切り替えの速さみたいなものは、シャーロックを演じるうえでは大事なんじゃないかと。だから自分の興味の対象……例えば謎や不可解な事件に対しては躊躇しないというか、一般常識的なものもわきまえてはいるけれど、あの年頃の大人よりも慇懃無礼な態度を取るし、TPOも気にしない。

小野 シャーロックはその奔放さが魅力ですよね。ブラフっていう言い方をしたけど、そういうところも含めてシャーロックは魅力的だなと思いますし、それはまこっちゃんの声が付いたことで、より確信に変わりました。横で演じながら「まこっちゃんのシャーロックいいな」って思ってますし、とても惹きつけられるアプローチをしているなと感じます。

ジョンの芯にあるものを大切にしながら演じてます(小野)

TVアニメ「憂国のモリアーティ」より。

古川 今、とてもうれしいことを言ってくださったんですけど、僕がその芝居ができるのはおのゆーさんがいらっしゃるからこそなんですよね。僕自身、このセリフを言うなら煽ったほうがいいのかそうじゃないほうがいいのか、みたいなところをその都度判断しながら演じているんですが、イマイチ判断がつかないときがあるんですよ。ちょっと言い方がおかしいかもしれないですけど、セリフが暴走するんです。頻繁にブレ球を投げるピッチャーというか。

小野 うんうん(笑)。

古川 でもそれをものすごく上手くキャッチしてくれるのがおのゆーさんのお芝居なんです。どんな球でもきっちり受け止めて、こっちに返球してくれたり送球してくださる。簡単にできることではないですが、ジョンを演じているときのおのゆーさんって、絶対に受け止めてくれるってわかるので、ある程度のブレ球も投げられるんですよ。だから収録のときは非常に安心しております(笑)。

小野 文字通りの女房役だね(笑)。でも僕がまこっちゃんのシャーロックを見ていいなと思っていた芝居の大きさ、奔放さっていうのが、僕を信頼してくれていたからこそ出ていたっていうのはうれしいね。

──小野さんは、ジョンを演じるうえでどんな点を心がけていますか。

小野 僕は最初のオーディションのときに言われて印象深かった言葉がありまして。ジョンって顔立ちはかわいらしかったりするんですけど「そこじゃなくていいです」「小野さんの本来の声で大丈夫です」と言っていただいて。見た目の印象よりも、根底にあるものを声に乗せてほしいんだなと感じたので、それを心がけています。ジョンの芯にあるものを大切にしながら、時に怒り、時に笑い、その状況の赴くままに演じていますね。

TVアニメ「憂国のモリアーティ」より。

古川 おのゆーさんは収録中も率先してコミュニケーションを取ってくださるんですよ。本作では僕がシャーロック側の座長的な立場になると思うんですが、全然座長の役割を果たしてなくて(笑)。お芝居はちゃんとしますけど、それ以外のコミュニケーションの深め方であるとか、誰かにお話を振ったりするのはおのゆーさんがしてくださる。だから現場が和やかになるんだろうなと思っています。

小野 ってなると、それを含めてますますシャーロックとジョンっぽいね(笑)。

古川 本当にそうですね。僕は基本的に人見知りで、双方向のキャッチボールとなると、途端に相手のボールを怖がるという癖があるので……(笑)。

小野 (笑)。自分はブレ球をホイホイ投げるくせに。

古川 ……そこは、やっていい人とやっちゃ駄目な人を見分けています(笑)。

立場が違ったらいい友達になってたんじゃないかな(古川)

──今回はライバルのウィリアムチームとの謎解き対決を行いました。おふたりから見たモリアーティ3兄弟の魅力はどんなところにあると思いますか?

TVアニメ「憂国のモリアーティ」より。

小野 一番は得体のしれないミステリアスなところですね。常に悠然として美しい雰囲気があるけど、美しければ美しいほど背景にある薄暗い何かが見え隠れする。そういう意味では、今後の展開で彼らの本質が出てきたときが楽しみです。

古川 モリアーティ側には底知れない何かがありますよね。僕、いまだにウィリアムが心の底で何を考えているのかまったくわからないです。アルバートもこの先どう動くのか怖いなと思うし、ルイスはルイスで本当に兄のことを慕っているんだろうかと思うし。だからこそ、そのミステリアスなところに惹きつけられるのかな。それと比べると我々はあけすけ。お互いに本音をぶつけ合って、殴り合いながら捜査を解決していく刑事モノのような、昔ながらのバディ感が我々のコンビのよさだと思う。

小野 ウィリアムのアプローチが研ぎ澄まされたレイピアでひと突き、みたいな感じだとすると、シャーロックはサバイバルナイフでめった斬りみたいな感じ(笑)。ウィリアムたちも人間味がないわけではないんですけど、美しさが際立っている印象で、シャーロックとジョンは泥臭さ、人間臭さが魅力。そのギャップも面白いと思います。

──確かにそれぞれ違った魅力がありますよね。ではウィリアムとシャーロックの関係についてはどう思いますか?

TVアニメ「憂国のモリアーティ」より。

古川 ウィリアムはどうやってシャーロックを動かそうかと考えているのに対し、シャーロックはどうやってウィリアムという人物が被っている仮面を取ってやろうかと思っている。お互いのことは好きだけど決して相容れない、そんな矛盾しているけど成立している関係性が面白いなと思います。

小野 ガンガンぶつかり合うライバルとはまた違った関係だよね。

古川 今でも謎の友人関係みたいになってますが、立場が違ったらいい友達になってたんじゃないかな。マイナーな趣味を持っている人たちが、初めて話がわかるやつと出会ったみたいな。「え、お前この話わかるの?」って(笑)。お互いに地位のある天才同士が偶然出会ってすぐに通じ合うというのはカッコいいですよね。有名大学同士のトップが仲がいいみたいな(笑)。

──では最後に、2クール目の見どころや注目ポイントを教えてください。

小野 2クール目では、シャーロックの心を揺らす唯一の女・アイリーンとの出会いを経て、物語がいよいよ動き出します。今まで断片だった事件が繋がっていき、物語の根幹の部分が見え始める。結末に向けて、どのように展開していくのか僕ら自身も楽しみにしているので、ぜひ最後までお楽しみください。

古川 僕自身、「憂国のモリアーティ」という作品の勢いにどんどん振り回されているような、こんな楽しみ方があるんだなと感じています。それを映像として皆様にも体験してもらえているのが、本作の大きな魅力の1つなんじゃないかな。2クール目に入って物語は濃い展開が続いていきますし、アイリーンやマイクロフトを始め、重要なキャラクターもどんどん登場しますので、最後まで集中して観ていただきたいです。