ドラマ「海月姫」|ドラマ化記念!東村アキコ×少女マンガ芸人・別冊なかむらりょうこ対談 「海月姫」をめぐる恋愛と、女の子の生き方

昨年、約9年にわたる「海月姫」の連載を完結させた東村アキコ。「海月姫」は芳根京子主演でこの冬ドラマ化を果たし、瀬戸康史演じる蔵之介の女装姿や、尼~ずたちが3次元で活躍する様子などを堪能できる。そして今までに3000作以上の少女マンガを読み、「現実では見たことないが少女マンガにはよく見るシーン」などの少女マンガネタを100本以上作り出した芸人・別冊なかむらりょうこ。少女マンガを愛し、笑いに愛されるふたりのクリエイターが、「海月姫」について、そして女子の恋愛と生き方について、熱い思いを赤裸々に語る。

取材・文 / 的場容子 撮影 / 石橋雅人

少女マンガを愛するふたり、運命の出会い

──おふたりは親交が深いということですが、出会いのきっかけはなんだったんですか?

左から別冊なかむらりょうこ、東村アキコ。

東村アキコ 私、マンガのネタをやる芸人さんが好きなんですよ。ドラゴンボール芸人とか、ガラスの仮面漫才とか。りょうこちゃんも“少女マンガあるある”みたいなネタをやってるんですよね。それで、「マンガ芸人」っていうジャンルを確立しようと思って、マンガ芸人だけ集めたお笑いライブを私が主催したんです(2016年4月にロフトプラスワンで行われた、東村プロダクション主催「東村プロ 漫画お笑いライブvol.1」)。マンガ芸人さんを私がまとめて見たいっていうだけで、もう趣味ですよ、ほとんど(笑)。そこにりょうこちゃんが出てくださって。

別冊なかむらりょうこ 私は、事務所から「東村アキコさんというマンガ家さんのライブに誘われてますけど、どうしますか?」と聞かれたとき、もう夢かと思って。自分が普段から読んでいる、大好きな、ものすごく尊敬しているあの先生に実際に会えるんかい! と。東村先生の動いてる姿なんて、NHK Eテレでやっていた「(浦沢直樹の)漫勉」とかで見ていたくらいで……こんなこと起きるんだな、って。しかも自分の仕事の場を先生が作ってくれているというのがすごい。実際に出演させてもらうことになってお会いしたときは、感動しすぎてその場でちょっと泣いたんです(笑)。

東村 そうやったね(笑)。それで、実際にイベントをやってみると、りょうこちゃんの“少女マンガあるある”ネタが一番ウケてて。ほんとに面白かった!

なかむら 確かに普段のライブと比べても、同じネタで「こんなに伝わった瞬間ない!」っていうくらいウケてました。

東村アキコ

東村 私が主催のイベントで、客が全員マンガ好きな人なわけだから、ネタの面白さが伝わるんだよね。

なかむら そう、だからすんごいありがたい場だったんです。で、そのライブのあと自分でもやろうと思って、今度は私が開いた少女マンガをテーマにしたライブの第1回のゲストとして、先生に出てもらったんです。そんなところからのご縁ですね。

修と蔵之介、どっちがタイプ? そして意外な大穴が……

東村 りょうこちゃんは、どういう男の子がタイプなん? 「海月姫」だと、蔵之介タイプか、シュウシュウ(修)タイプか。

なかむら ……私、いつか伝統工芸士みたいな人と結婚したいんですよ。

東村 あー職人ね、わかるわかる。

──わかるんですか?

なかむら よかった、初めて言われた(笑)。一本気な人が好きで。

東村 職人萌えね。たまにいる、そういう人。

別冊なかむらりょうこ

なかむら そうなんです。ほかのことはなにもできなくてもいいんです。ご飯も作れなくてもいいし、ごみも捨てられなくていい。何か1つのことへの集中力と、極める力が強い人が好き。刀を研ぐことだけがすべて、みたいな人が。だから大げさですけど、もうよだれ垂らしててもいいんですよ(笑)。どちらかというと無表情な男子のほうが好きだから、シュウシュウみたいな見た目の人がいいんですけど、行動力は、蔵之介。でも、総合して「海月姫」で誰が一番タイプかというと、花森さん。

東村 そやろ! わかるわかる。

なかむら いいんですよ、ほかのことは!

東村 総合力が高いより、ちょっといびつなぐらいが萌えるんだよね。

なかむら そうです!

東村 欠点を愛するというか、極端なほうがね。女芸人さんの彼氏って、すごいおとなしかったりとか、静かな人が多いもんね。「おっつかれさまでーす!!」みたいな人いないよね。

なかむら そうかもしれないです(笑)。女芸人はみんななぜか、おとなしそうな人のところに行って、「何考えてるんですか?」って問いかけにいくのが好きというか。先生、よくわかってますね!

東村 うん、あるある(笑)。

なかむら だから、理想の男子は「海月姫」だと花森さん、飛び抜けてるから(笑)。ドラマでは花森さん役の要潤さんのハマりっぷりはすごいですね。顔も似てるし(笑)。

──要さん自身も、「正直、似ているな、と。体型も髪型もそっくりだな、と感じました。この役は僕にしかできないと思いました」っておっしゃっていましたね。

ドラマ「海月姫」より、要潤演じる花森。

東村 要さんの花森さん、いいよね。

なかむら 先生はどういう人がタイプなんですか?

東村 私はとにかく、今は若い男の子が好きです。

なかむら (笑)。人口の半分くらいが当てはまりますね。

東村 とにかくもう、10コくらい若い子が好き。

なかむら 若い子のどういうとこがいいんですか?

東村 20代の頃は、年上の人がカッコいいなと思ってたんだけど、やっぱり、遺伝子にプログラミングされてるのか、だんだん変わってきて。36歳のときに、「あ、私若い子好きだわ!」って。今日から好きだわ、みたいな瞬間が来たんです。

なかむら (笑)。

ドラマ「海月姫」より、左から工藤阿須加扮する修、瀬戸康史扮する蔵之介。

東村 だから、今回のドラマでいうと、シュウシュウも蔵之介もどっちも好き。この間、ドラマのポスターの撮影見学に行ったんだけど、瀬戸(康史)くんも工藤(阿須加)くんも、ほんとに肌がピーンッ!ってしてて。

なかむら 持ち上がっている。

東村 若い男の子ってすげえなーって。あと、最近の若い男の子っていい子だからね、みんな。素直だし、性格の悪い男の子なんか見たことない。まあ、もう性格とかはどうでもよくなってきたんだけど。

なかむら (笑)。それは、なんでそう思えるようになるんですかね?

東村 やっぱ年を取ってくると、上から「君、こうしたほうがいいよ」とか言われるのが嫌なんだろうね。昔話とかされたくない。

なかむら (笑)。

東村 私バツ2なんで、もう結婚はしないと思うけど。

なかむら え! しないんですか!?

東村 もうしない。あとは若い子にごはんを食べさせる人生を生きていくって、決めた。細木数子先生みたいな人生を。

なかむら 細木数子先生のことをそう見てたんですね(笑)。若い子に関しては、外見は重視するんですか?

左から別冊なかむらりょうこ、東村アキコ。

東村 私、そんなに外見至上主義じゃないから。たとえばお笑い芸人とかでも、笑顔がよければ全然あり。だから、たとえばザブングルの加藤(歩)くんとか、超かわいいし、超セクシーだなって思うよ。あ、りょうこちゃんと同じワタナベエンターテイメント所属なのか。

なかむら えー! 色気も感じますか!

東村 うん、感じる。だから色気とかムードがあればOK。逆にすごいキレイな顔でも、ムードがないと全然なんだけど。

ドラマ「海月姫」
ドラマ「海月姫」
フジテレビ系毎週月曜21:00より放送中
スタッフ
原作:東村アキコ「海月姫」(講談社「Kiss」所載) 
脚本:徳永友一
編成企画:渡辺恒也
プロデュース:小林宙
演出:石川淳一、山内大典
制作:フジテレビ/共同テレビ
キャスト
倉下月海:芳根京子
鯉淵蔵之介:瀬戸康史
鯉淵修:工藤阿須加
ジジ様:木南晴夏
ばんばさん:松井玲奈
まやや:内田理央
千絵子:富山えり子
稲荷翔子:泉里香
花森よしお:要潤
鯉淵慶一郎:北大路欣也
ほか
東村アキコ(ヒガシムラアキコ)
東村アキコ
1975年10月15日生まれ、宮崎県出身。1999年、ぶ~けDX NEW YEAR増刊(集英社)にて「フルーツこうもり」でデビュー。2001年、Cookie(集英社)で「きせかえユカちゃん」の連載を開始。ファッショナブルな登場キャラクターとライブ感のある話作りで人気を集める。2006年、モーニング(講談社)にて自身の家族のエピソードにフィクションを交えて描いた「ひまわりっ~健一レジェンド~」の連載を開始。代表作に「ママはテンパリスト」「海月姫」「かくかくしかじか」「東京タラレバ娘」などがある。現在はココハナ(集英社)にて「美食探偵 明智五郎」、ビッグコミックスピリッツ(小学館)にて「雪花の虎」を連載中。
別冊なかむらりょうこ(ベッサツナカムラリョウコ)
別冊なかむらりょうこ
1986年5月6日生まれ、新潟県出身。ワタナベエンターテインメント所属。少女マンガ好きを生かしたあるあるネタや、「現実では見たことないが少女マンガにはよく見るシーン」などの少女マンガネタで人気を集める。2016年より「るんるん!少女漫画っ子サミット」を開催。2017年には中村涼子名義で「女芸人No.1決定戦 THE W」の決勝に進出した。