アニメ「この世界は不完全すぎる」ネタバレ厳禁!? 石川界人&矢野妃菜喜が語る、予想不可能な面白さ (2/2)

先行上映会&SPトークショーをレポート!

ここからは、2024年6月22日(土)に東京・新宿ピカデリーにて行われた「先行上映会&スペシャルトークショー」の模様をお届け。第1話から第3話までの上映後に、ハガ役の石川界人、ニコラ役の矢野妃菜喜、馬引圭監督がステージに登壇。さらにサプライズゲストとしてアマノ役の川島零士も参加し、作品の見どころやキャラクターの魅力、制作時のこだわりなどについてトークを繰り広げた。第3話までの内容に触れているので、視聴前の人はご注意を。

ニコラ役は「矢野さんしかいない」と思った

大きな拍手に迎えられて、石川と矢野、そして馬引監督がステージに登場。第1話の放送までこの世界がゲームの中であるということを伏せていた一同は、MCの森遥香から「やっとネタバレができますね」と振られると、揃って安堵の表情を見せる。石川は「もう皆さん、ハガがデバッガーだと知っているわけですね?」と観客に語りかけ、「ずっと言えなかったんですよね」と矢野と顔を見合わせる。矢野は「もしかしたら私、『AnimeJapan 2024』のときに言っちゃってたかもしれないんですけど(笑)」と、今だからこそ語れるエピソードを明かし、笑いを誘った。

第3話までのお気に入りシーンを聞かれると、石川は「ニコラが本当にかわいい。冒険を夢見て、そのためにひたむきに努力しているところとか、ハガのことを信じて付いて行こうとしているところ。あの健気さに胸を打たれて、ホロリときちゃいました」と語る。そんなニコラを演じる矢野は、第1話でニコラがハガに「お供させてください!!」と頼む場面を挙げ、「目を星にしてキラキラした表情になった後、(断られて)普通の表情に戻るシーンが、切なくもあるんですけどすごく好きです」とコメント。「その救われなさも魅力の1つなのかなと思います」と続けた。

馬引監督は「キャストオーディションのときから、矢野さんはニコラのフレッシュさ、純朴さを理解してくださっていたのか、すごく感じが出ていました。もう、『矢野さんしかいない』と思いました」と振り返る。石川が「ハガはなんで僕だったんですか?」と尋ねると、馬引監督は「なんとなく……(笑)」と歯切れの悪い回答。会場が笑いに包まれる中、石川は「でも、一番うれしい答えですね。なんとなく、ハガはこの声だと思ってくれたわけですもんね」と笑顔を見せる。馬引監督は頷きながら、「ビビっと来ましたね。声を聞いて」と言いつつ、「<ハガ>の後に<石川界人>と書いたときにしっくりきて……」と続け、石川に「字面ですか!?」とツッコまれていた。

ハガは派手ではないが頼りがいのある、味わい深いキャラ

続いて、ハガとニコラの魅力を深堀りするコーナーに。石川はハガについて、「皆さんにどう受け止めてもらえるか非常に気になるキャラクター」と前置きしつつ、「すごい仕事人なんですよね。仕事をすることが生き甲斐になっているので、ワーカホリックだなとも思うんですが、第1話の後半でも描かれたように、他者に対して心を痛める人間らしさも持ち合わせている。そのバランスを大切にしながら演じています」とコメント。矢野はハガのことを「シンプルにいい人」「優しくて真面目」といったワードで表現しつつ、「性格は内気で、身体が大きいのに『ワーッ!』と驚いたりもする。そのギャップに親しみやすさがあります」と話す。馬引監督は「ハガちゃんは……」と切り出し、「チート能力を持っているのにあえて使わず、機転と工夫を凝らして困難を乗り越えていくところが、派手ではありませんが、だんだん頼りがいがあるように見えてくる。味わい深いキャラクターで、好きになってしまいました」と愛たっぷりに語った。

ニコラへの思いを問われると、矢野は「純粋で、まっすぐで、かわいくてしょうがないです」と笑顔。衝撃的な展開が続いたり、悪さをする人物が出てきたりしても、物語がシリアスになりすぎないのはニコラのおかげではないかと分析して、「ある意味で作品のバランサーにもなっているのかな」と語る。そんなニコラの体を通して、第3話からはテスラというキャラクターが登場。「テスラがしゃべっているんだけど、ニコラとしても聞こえるようにしたい。そのバランスが難しかった」と演じ分けの苦労を振り返る。石川は改めて、ニコラの素直さやひたむきさに感銘を受けたことを述べ、「見た目はかわいらしい女の子ですが、こうありたいと思うような性格をしていて憧れます」と絶賛した。

次のコーナーでは、馬引監督が制作の裏話を明かす。本作の世界観を表現するにあたり、コップ1つ、窓ガラス1つとっても文化レベルを意識したとのことで、「薄くて透明なガラスは文化的にまだ製造できないレベルなのかなと考えて、食卓にもガラスのコップは登場させていません」とコメント。実際にオンラインゲームをプレイしたりしながらあらゆる“ロケハン”を行ったと話すと、石川が「ハガみたいな細かさですね!」と感嘆の声を上げる。また実際にデバッグの仕事をしている人にインタビューもしたそうで、「(第2話に登場する)壁にぶつかるシーンを描くにも、どのくらいの勢いでぶつかっているのかがわからない。そうした部分を最初に聞けて、勉強になりました」と、多くのこだわりをもって制作に臨んだことを伝えた。

最後に1つだけネタバレをするとしたら……

ここでサプライズゲストの川島がステージに登壇。川島は大きな拍手の中、第3話ラストに登場したバグを意識した“Tポーズ”で観客の前に現れると、「実は先行上映会に応募したら外れてしまって。(スタッフに)『参加できませんかね……?』と相談したら、『じゃあ出ますか?』と言われて、来ちゃいました!」とお茶目にコメント。石川に「全部バグってるよね」とツッコまれるなど、軽妙な掛け合いでさっそく会場を盛り上げる。

川島が演じるアマノは、活躍するのが第4話からということで、この日の時点ではまだまだ言えないことが多い様子。見どころを聞かれた川島は、「何が言えるかなあ?」と首をかしげつつ、「この子(アマノ)は犬か猫、どっちだと思いますか?」と客席に呼びかける。川島は自信たっぷりに「実は猫です!」と続けるが、会場はやや戸惑った空気に。「あれ、フェザーという種類の猫ちゃん……ですよね?」と川島が不安そうに確認すると、馬引監督は「猫ではないですね(笑)」ときっぱり否定。「役作り間違えた……?」と焦る川島に、「猫っぽさもあるから、間違えてはいないよ」と石川がすかさずフォローを入れると、観客からも温かい拍手が送られる。川島はさらに、「猫ちゃんぽいと思って今日はこの服で来ました」と、なぜか虎のイラストが描かれたトップスをアピール。終始フリーダムな“川島節”で集まったファンを笑顔にした。

情報解禁パートを挟んで、イベントは最後の挨拶に。川島はあっという間だった出演を惜しみつつ、「原作がめちゃくちゃ面白いので、アニメも本当にいろんな人に観ていただきたいです。あちこちに仕掛けがあって、ジェットコースターのように振り回される内容になっています。ぜひアマノが登場する第4話以降も観てください!」とメッセージを送る。矢野は「1つだけネタバレをするとしたら、ニコラはこの先もかわいいです!」と宣言し、「最後まで衝撃展開が続くので、楽しみに観ていただけたらうれしいです」とにこやかに手を振った。

石川は「さまざまな人間ドラマも楽しめる作品になっています。現実と非現実の間で生まれる、人間と非人間の扱い方の差など、少しセンシティブな問題も考えて観られる作品なので、最後までお付き合いいただけるとうれしいです」とコメント。馬引監督は「制作現場では47歳の僕が最年長で、若いスタッフたちが一生懸命作ったアニメーションになります。たくさんの人に観ていただきたいと思っておりますので、オンエアが始まりましたらよろしくお願いします」と呼びかけた。