7月より放送中のTVアニメ「この世界は不完全すぎる」は、未完成なゲームの中に閉じ込められてしまったキャラクターたちを描く物語。主人公・ハガらはゲーム内の不具合をチェックする“デバッガー”で、そこかしこにあるバグを調査しながら、ゲームクリアを目指して冒険を繰り広げる──という異色のファンタジーだ。
そんな「この世界は不完全すぎる」に、見た目からなんとも“バグ”っている新キャラクターが登場する。名前はキノシタ。いったいどんな声を発するのか、皆目検討もつかないこのキャラクターの声を担当するのは、古賀葵だ。コミックナタリーでは古賀にインタビューを実施。役作りの難しそうなこのキャラクターに、どうアプローチしていったのかを尋ねた。アニメの公式X(@konofuka_QA)では、キノシタ役のキャストを当てた人に、古賀のサイン入りポスターをプレゼントする企画も展開。そのヒントとして、古賀のプライベートにまつわるエピソードも聞いている。
※記事初出時、キャスト予想を楽しんでもらうため、古賀さんのお名前など一部テキストを意図的に伏せておりました。現在はすべて公開されています。
取材・文 / 鈴木俊介撮影 / 小川修司
声だけで“ヒロイン的ポジション”になれるように演じた
──原作マンガは読まれましたか?
読ませていただきました! シンプルに「面白い!」と思いました。バグをテーマにしているというのが、これまでにありそうでなかった感じで。“壁抜け”とか、ゲームをやっている人にはおなじみのバグが出てきたりするのも楽しかったです。
──壁抜けバグなどもご存知だったんですね。普段、ゲームはよくプレイされるんでしょうか?
そんなにプレイするほうではないですけど、知識としてはありました。YouTubeで、バグを使ったゲームの裏ワザ動画を見たこともあって。普段からゲームをやり込んでいる人だと、もっと気づけるポイントが多いのかもしれないですけど、それこそ壁抜けとか、自分でも「知ってる!」となれるものがたくさんあって、面白かったです。私もバグを見つけてみたくなりました。
──キノシタ役は製作委員会からのオファーで決まったと伺ったのですが、担当されるキャラクターがこういうビジュアルで、戸惑われませんでしたか。
そうですね。最初、原作マンガを読む前に、「キノシタってどんなキャラクターなんだろう」って調べたときは、人じゃない形のものが出てきたので「……どうしよう!?」と衝撃を受けました(笑)。普段、けっこうキャラクターの見た目とかを見て、「こういう声かな?」「こういう性格かな?」というのを考えるヒントにしたりするんですけど、キノシタはなんて言えばいいんでしょうか、この……無機質な?見た目からどんな声を出せばいいのか。すごく縛られているように見えて、逆になんでもできちゃう感じだったりもするので、どうするのが一番いいかなって悩みましたね。そこから原作を読んで、キャラクターを作っていきました。本当に今までやったことがない感じです。
──ないですよね(笑)。
はい(笑)。でも、いろいろ考えましたけど、すごく楽しくやらせていただきました。比較的後半に出てくるキャラクターというのもあって、収録回数も少なくて。しっかりキャラクターを掴めているかとか、また、(主人公の)ハガさんたちとの距離感をどういうふうに掴んでいくかとかが、難しかったところもあるんですが、視聴者の皆さんにどういう印象を持っていただけるか、楽しみなところでもあります。個人的には続編に期待しています!
──監督さん、音響監督さんとは役についてどんなお話をされましたか?
「こんな見た目だけど、感情もあるし、ヒロイン的なポジションだと思って演じてくださって大丈夫です」とおっしゃっていただいて。だから、視聴者の方に「(本当のキノシタさんは)どんな姿をしているんだろう」って想像するのが楽しくなってほしいなと思いつつ、声だけで“ヒロイン”に近づけるよう、精一杯やらせていただきました。
──収録はほかの皆さんと一緒だったのでしょうか?
そうですね。収録はそのシーンに出てくる皆さんと一緒にできたので、こういう雰囲気でやられているんだな、やってきたんだなというのがわかってありがたかったです。
プライベートでは散歩好き あの好物にまつわるエピソードも
──今回、キノシタのビジュアルに合わせて、キャスト予想を楽しんでもらう企画を用意しています。このインタビューも、あえてキャスト名を伏せた状態での公開となるのですが、キャスト予想のヒントとなるよう、いくつか古賀さんに関する質問をさせてください。たとえば、キノシタとハガは書庫で出会いますが、古賀さんはお好きな本は何かありますか。
うーん……。本と言うと、小説よりはマンガとかのほうが手に取ることが多い人生でした(笑)。
──キノシタは書庫に閉じ込められてしまい、そこにある本を読み続けることで正気を保っていた……という背景のあるキャラクターです。古賀さんは日々お忙しいと思いますが、息抜きといえば何をされるのが好きですか。
割と外に出るのが好きなので、休みの日があるとどこかに出かけることが多いです。おうちで好きな時間まで寝るのもいいんですが、「どっか行かなきゃもったいない!」って思うタイプですね。散歩したり、大きな公園に行って緑を感じたりとか、スケジュールが合う人を探して、弾丸でテーマパークに行ってみたりとか。
──最近はどこかに行かれましたか?
「ハリー・ポッター」のスタジオツアー(ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 - メイキング・オブ・ハリー・ポッター)に行ったんですが、めちゃくちゃ楽しかったです! 6時間くらいいて、グッズもいっぱい買っちゃいました(笑)。
──さっきの本つながりの質問になるのですが、「ハリー・ポッター」は映画版で?
映画版は全部観ました! 小説では読めてなくて……小説のファンの人には怒られちゃうかもしれませんけど、映画版は大好きです。
──そのほか、趣味や好きな食べ物とかをお聞きするのがいいかなと思っていたんですが、古賀さんというと、「声優 ○○○」と入力したらすぐ検索候補に出てきちゃう有名なものも多いですよね。
マンホールが大好きで写真やカードを集めていたりとか、ポン酢でごはんを食べていた、とかですよね(笑)。そうですね……ポン酢は、もともと特別好きだったわけではないんですけど。上京したばかりの頃、3人でルームシェアをしていたんですが、ある子のご実家がお米を送ってくださって。それを3人でありがたくいただくんですが、さすがにお米だけじゃ……ということで何か味付けになるものを探して、ポン酢をごはんにかけて、なんならさらに水でふやかして、かさ増しして食べていたんです。その話をある番組でしたところ、“ポン酢大好き声優”みたいになってしまって(笑)。そうしたら「自分の地元にはこんなポン酢があります!」って皆さんがご当地商品を送ってくださったり、業務用の大きいものを送ってくださったりして、お陰様でめちゃくちゃ消費するようになりまして……。でも、そうやって送ってもらったものを使い比べてみたら、全然味が違ったりして楽しくて。結果的に大好きになりました。
──つらい思い出から、いい思い出になったんですね。ちなみにそれ以外の好物というと何を挙げますか?
それ以外だと……お寿司でしょうか。
──お寿司は、お醤油で食べますよね?
そうですね(笑)。でも出身が九州なので、甘いお醤油で食べるのが好きで。実家から甘いお醤油を送ってもらっています。
──ありがとうございます! 最後にアニメの話に戻して、作品やキノシタの活躍の見どころについてひと言いただけますか。
「この世界は不完全すぎる」は、異世界っぽさとリアルさが上手に混ざり合っていて、本当に面白いです。ゲームの世界で、バグが題材ですけど、ゲームはあんまりしないよって人でも楽しめると思いますし、キャラクターたちもとっても個性豊かで、特にハガさんは珍しいタイプの主人公ですよね。そこもぜひ楽しんでほしいです。キノシタは終盤での登場ですが、動きもシュールですし(笑)、戦い方も意外なところがあって面白いです。どういうふうに活躍するのかぜひ楽しみにしていてください!
プロフィール
古賀葵(コガアオイ)
8月24日生まれ。佐賀県出身。主な出演作品に「ひろがるスカイ!プリキュア」(プリンセス・エル/キュアマジェスティ役)、「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」(四宮かぐや役)、「古見さんは、コミュ症です。」(古見硝子役)など。2022年に“ぽん酢大好き声優”として、「味ぽん」で知られるミツカンの企画に参加した経験がある。