コミックナタリー Power Push - マーガレットコミックス特集 あの頃も、これからも!一生少女マンガ宣言 第13回 小村あゆみ「うそつきリリィ」「森のたくまさん」
気軽に読める、楽しいマンガを描く
4コマ形式でネタのメモをとる
──それは誰も望んでないと思います!(笑) おまけページで書かれていましたが、投稿時代の最初は少年マンガを描かれてたんですよね。
高校時代は月ジャン(月刊少年ジャンプ、集英社)に、応援団のマンガとか投稿してましたね。若気の至りというか、少女マンガ描くのが恥ずかしいからっていう気持ちからだったんですけど……。あとお友達が載ったのをきっかけに、ガンガンパワード(スクウェア・エニックス)を買ってる時期がありました。4コマで勝ち抜くと連載になる企画があって、そこで「いいキャラができていると、いくらでも4コマが描けるし連載になっても面白さがブレないんだなあ」ってわかったので、キャラを作るときに4コママンガにしてみてどれだけ描けるか試してみたりしています。結果、ネタのメモ書きも4コマでするようになりました。
──えっ。それはすごく珍しいやり方ですね。今もですか?
はい。ネタを思いついたときに話の中に入れ込むのが結構大変なので、4コマでメモってます。
──ちゃんとコマを割って人物も描いて?
そうですね。ちょっとしたネタをメモしておくのに、4コマだとオチをつけられるし前後を描かなくていいから便利なんです。「こういうツッコミをしたい」って思ったところの前の部分も考えておくと、自動的に起承転結ができあがるんですよ。
──そのままストーリーに組み込むことも?
ありますし、組み込めなかったら前後を変えたりとか。「うそリリ」のときはこういうネタ出しをたくさんやって、「ここを入れ替えて、はいストーリーできた!」って作ることもよくありました。
──なるほど、テンポのよいマンガが生み出される一因が見えた気がします! 「うそリリ」でも全ページ4コマの回があったりしましたよね。4コマ作家になろうとは思わなかったんですか?
それはなかったですね。ギャグとして描いて面白く笑ってもらうって、大変なことだと思うので。ストーリーの中にギャグを入れるのと、「ギャグです」って出すのってハードルが全然違う気がするんです。「ここでツッコんだらテンポがよくなるな」とかは思うんですけど、面白いギャグというつもりでは描いてないんです。
分厚いザ マーガレットを主に読んでた
──「少女マンガを描くのが恥ずかしかった」とさっきおっしゃっていましたが、子供の頃少女マンガを読んではいたんですか?
はい、主に読んでたのはザ マーガレットなんですけど。
──マーガレット本誌ではなく、読みきり中心のザ マーガレットを。
あんまりマンガを買ってもらえない家だったんです。たまにおじいちゃんと本屋さんに行って、じゃあ分厚くてお得だし、読み切りがいっぱい載ってるこれを、と選んでました。その影響で1話完結ものが好きなのかもしれません。
──描くのを少年マンガから少女マンガに切り替えたのはいつ頃ですか?
いつだろう。マンガの専門学校に行ってたんですけど、その頃だったような。(TV番組の)「学校へ行こう!」で屋上から告白するのを見て、「あーキュンキュンする! これじゃね?」と思って、バーッと描き始めたのがきっかけだった気がします。
──今回ブックパスのキャンペーンでさまざまな作品が読み放題になるので、小村先生のお好きなマーガレット、別冊マーガレット作品について聞かせていただけますか?
「まっすぐにいこう。」はすっごく読んでましたね。懸賞のマメタロウクッションがほしくてハガキを何枚も書いた記憶があります! ワンコが好きなんで。
──動物をたくさん飼われてますもんね。「まっすぐにいこう。」を読んでいたのは学生時代?
中学、高校生ぐらいのときですね。でも大人になってから「ああー読みたい!」と思って全巻揃えて、最近ちょうど読み返してました。「ラブ★コン」も、リサと大谷がようやく付き合ってうまくいったところを読んでたら前半も読み返したくなって、わーって全巻集めました。あとうちの弟がいくえみ綾先生が好きで、単行本をいっぱい持ってます。
──弟さんとは同居してるんですか?
今は海外に行って勉強してるんですけど、「潔く柔く」を持ってっちゃって。だから私は新たに買い直したんですよ!(笑) 「私がいてもいなくても」も名作ですよね。マンガ家として読むと、ぐわーってなる……。「バラ色の明日」は完全版も買ったし、「かの人や月」や「あっさりショコラ(仮)」も好き。だいたいの作品は持ってますね。
──愛読していたザ マーガレットで記憶に残ってる作品はありますか?
「私はこういうマンガ描きたいんだ」ってすごく原点になってると思う作品が、市松まあち先生の「空に太陽があるかぎり」です。お互いを思い合ってるんだけど、なんかすれ違っちゃってうまくいかない、という。私、誰も悪くないけど、うまくいかない話が好きみたいです。「こいつらかわいい! がんばれ!」って応援する気持ちになって、すごく元気になります。探して探してやっと単行本を手に入れられたので、電子化してくれたらありがたいなあ。
──入手困難だったものも広く行き届くのが電子のいいところですよね。お友達作家さんの作品ではいかがですか。
同期だと見城さくらさんと仲がいいです。あとちょっと先輩ですが、葉月めぐみさんは「お嬢様はお嫁様。」が始まったとき「うわ、すごいな、面白い」って1話目から圧倒されましたね。今はあいだ夏波先生の「圏外プリンセス」を、「ウワーッ!!」ってなりながら読んでます。もう私のこと描いてるんじゃないの?って。読む人みんなが、自分の中学生時代を思い出して「イタタタ」って思うんじゃないでしょうか。
王道の作家さんが雑誌を支えてくれている横で好き勝手したい
──今後、マンガ家としての目標は何かありますか?
オシャレで、ときめきがうまく描けるようになりたいですね。できるものなら咲坂(伊緒)先生みたいになってみたいですよ。なんですか? ときめきって。
担当編集 男の僕に聞かないで。
──あはは(笑)。
でもやっぱり私はオシャレで素敵なマンガは描けそうにないので。王道の作家さんが雑誌を支えてくれている横で好き勝手したいと思います。回転寿司で流れてくるたこ焼きみたいに!
──では「森のたくまさん」の、ここにぜひ注目してほしい!というポイントは?
……ないですね! 楽しく描ければそれでいいし、好きに読んでもらえればと思います。私は拓眞のお父さんを描くのを楽しみにしているので、おじさん好きの方とその喜びをわかちあいたいです!
小村あゆみオススメのマーガレット作品が読み放題!
ブックパスでは小村あゆみ作品が期間限定で読み放題。女装男子を描き話題を呼んだ「うそつきリリィ」、芸能界を舞台とした「Full Dozer」などがラインナップされた。インタビューに登場した、小村オススメのマーガレット作品も公開中だ。
※各作品の読み放題提供期間はブックパスの特集サイトでご確認ください。
- マーガレットコミックス特集 あの頃も、これからも!一生少女マンガ宣言 特集一覧・連載作品年表はこちら
- 第1回 河原和音
- 第2回 咲坂伊緒
- 第3回 神尾葉子
- 第4回 中原アヤ
- 第5回 森下suu
- 第6回 あいだ夏波
- 第7回 やまもり三香
- 第8回 水野美波
- 第9回 幸田もも子
- 第10回 宮城理子
- 第11回 佐藤ざくり
- 第12回 椎名軽穂
- 第13回 小村あゆみ
- 第14回 いくえみ綾
- 第15回 ななじ眺
- 第16回 八田鮎子
- 番外編 マーガレット&別冊マーガレット編集長インタビュー
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小村あゆみ(コムラアユミ)
1月15日生まれ。鹿児島県出身。2003年、ザ マーガレット(集英社)に掲載されたNEWまんがゼミナール入選作「アンテナ」でデビュー。マーガレット(集英社)にて2004年に 「ハイブリッドベリー」、2005年に「ミックスベジタブル」を連載。2010年より連載した「うそつきリリィ」は累計240万部を超えるヒットとなった。2015年からは「森のたくまさん」を連載中。そのほか著作に「Full Dozer」や、「シンプルホットチョコレート」「剣術小町」「Hot Milk」などの読み切り集がある。
2016年1月22日更新