「川越ボーイズ・シング」連載第5回|国内外で活動するミュージシャンが集結!音楽担当の3人が語る楽曲創作の裏側 (3/3)

YUKI KANESAKAとともに、
「川越ボーイズ・シング」の音楽を担当した
シンリズム、横山潤子からコメントが到着!

シンリズム

シンリズム

「川越ボーイズ・シング」の魅力や、共感する点

「川越ボーイズ・シング」は物語やキャラの魅力もさることながら、やはり劇中に登場する多種多様な音楽も最大の魅力ではないかと思います。
僕は比較的王道なピアノ合唱曲を担当させていただきましたが、YUKI KANESAKAさん・TAKU INOUEさんのクールなトラックや意外な方が作詞作曲された楽曲などなど。
ジャンルのさまざまな楽曲を見事に歌い切ったキャストの皆さんの曲ごとの歌の表情の違いなどもぜひ注目していただきたいです。

自身が作詞・作曲・編曲した「背比べ」「曖昧」「LA LA LA」について、どんなイメージを抱いて制作に臨んだか

楽曲それぞれにテーマがありましたが、特に歌詞の部分がその曲を歌うキャラの気持ちや性格などを踏まえた楽曲が多いので、「背比べ」は日向兄弟の関係性、「曖昧」は博士の性格などが歌詞にあらわれていると思います。

博士こと葉加瀬友(CV:葉山翔太)。

博士こと葉加瀬友(CV:葉山翔太)。

「クワイア」という題材に挑んだキャスト陣にディレクション・歌唱指導をしたときの感想

テーマが「クワイア」のアニメなので、キャストの皆さんの歌を録るにも一曲に声部ごとのレコーディングがありかなり膨大な数&難しい歌のラインを歌っていただくという形になりました。
しかし皆さん事前にしっかり練習してきていただき、レコーディング時はどの曲もとても素敵な歌が収録できたと思います。
個人的にとても印象に残っているのが、キャストの皆さんの自分の受け持つキャラをどれだけ歌に反映させるかという話し合いです。
曲によってはバスなどの下のパートであまりキャラ感が出過ぎ目立ってしまうと全体の印象が崩れてしまうので、ここは抑えめにしていただくという判断や、この曲は歌詞の内容を考えて強くキャラの感情を出してくださいなど、「クワイア」のアニメならではの声優さんとの話し合いだったなと思います。

完成した楽曲(完パケ)を初めて聴いたときの気持ち

冒頭でも少しお話ししましたが、劇中歌でも多種多様な音楽のジャンルがテーマだったので、普段あまり作ったことがなかったようなジャンルにも参加させていただきました。
できあがった楽曲は普段の自分らしさもあり、新たな自分の制作性も出せる結果になり非常に新鮮な感覚でした。

プロフィール

シンリズム

1997年7月17日生まれ、兵庫県出身。高校1年生のときに作り溜めた楽曲をSoundCloudに公開し、ネット上で話題を呼ぶ。2015年4月にアナログでリリースした「心理の森」が全国のラジオ33局でヘビーローテーション、パワープレイを獲得。2015年にアルバム「NEW RHYTHM」、2017年にアルバム「Have Fun」、2022年にアルバム「Musica Popular Japonesa」をリリース。ソロ作品以外にもCMソングやラジオのジングル制作、楽曲提供、管弦編曲もこなす。サポートとして、秦基博やKIRINJIなどのライブツアーにギターやキーボードで参加したりと演奏面でも積極的に活動中。

横山潤子

「川越ボーイズ・シング」の魅力や、共感する点

個性や家庭環境などもまちまちである生徒さんたちが、日々のわちゃわちゃの中でそれぞれに何かをつかみ取り、変化し成長しながら、時間をかけて皆でつくりあげた何かによって、いつの日か思ってもみなかったような景色に出会える……そんなところがまさに共感するところです。
それから、春男先生のように宇宙語を操る指導者も、確かに存在します(笑)。

響春男(CV:興津和幸)

響春男(CV:興津和幸)

自身が作詞・作曲した「星は蒼天に」について、どんなイメージを抱いて制作に臨んだか

この曲をアニメの話中で歌うだんぼっちの幼なじみ・森村充の、当初のキャラ設定は「厨二病っぽい?ところもある」だったような。この歌のイメージに通ずる既存の曲の歌詞などをいくつも見せていただき、その世界観や情景・使われている言葉などエッセンスのようなものを抽出して、制作サイドの方とご相談しながら構成し直してみたのが、この歌詞です。まさに青春の疾風怒濤といった心情でしょうか。個人的には、古傷すぎていたたまれないような懐かしいような。自分の思春期の気分ありったけを掻き集め、それでも足りずに盛りすぎて恥ずかしくもあり……のミョーな気持ちで、苦笑いしながら歌詞も音も書きました。なんですが! 実際にできあがってきたその幼なじみくんのキャラは、なかなか好青年なんだそうで。えーーー゛(笑)。

森村充(CV:堂島颯人)

森村充(CV:堂島颯人)

「クワイア」という題材に挑んだキャスト陣にディレクション・歌唱指導をしたときの感想

まず最も新鮮だったのが、楽譜からではなく音源を聴いて、そこから覚えて歌っておいでになるキャストさんが多かったことです。私たちが日頃頼みにしている「楽譜」はほぼ用を成さない状態ですので、普段使うような音楽用語はほとんど使わずに、お願いごとを的確に伝えるのにはどうしたら?と考える場面は新鮮でしたし、軽いカルチャーショックでもありました。大丈夫かな私……と。
ですが、皆さんさすが! 何度かのトライを経ていくうちに、いつの間にか「その登場人物が歌う、その場面での歌」のイメージにぴったり寄せておいでになるんです! それには心底 驚嘆しました。すごかったです!

完成した楽曲(完パケ)を初めて聴いたときの気持ち

楽曲は、とにかくお洒落♬(拙作を除き)そして多彩です。いったいコレどうやって歌っておいでなの?ってほど精緻な英語歌詞の曲もあり。男臭さ?炸裂するシャウトの個性的な曲もあり。録音に立ち会って少しずつ重ね録りされていくその経過を見てきた曲などは殊のほか、そのbefore・afterに感慨深いものがありました。
クワイアメンバーそれぞれのキャラが浮かび上がってくる歌唱、そして話数を重ねるに連れて変化するハモりの感じにも注目して聴いていただけると楽しいと思います!

プロフィール

横山潤子(ヨコヤマジュンコ)

作曲家。東京芸術大学作曲科卒業、同大学院修了。15歳のとき、幼時より音楽教育を受けたヤマハのジュニア・オリジナル・コンサート・フランス公演に参加し、ニース、マルセイユなどで演奏を行う。混声合唱組曲「たましいのスケジュール」など、合唱・室内楽の分野を中心に作曲・編曲を数多く手がけている。