「川越ボーイズ・シング」連載第4回|生田鷹司、伊瀬結陸、葉山翔太、深川和征インタビュー “やべえ奴ら”が歌でひとつに (2/2)

めちゃくちゃスタジオで息……息!って思った(葉山)

──「Shake it till make it」のほうは英詞のダンサブルな曲で、またガラッとテイストが変わります。

生田 英詞がもともと苦手なので、曲のよさ以上に「英詞苦手だ!」って思ったところはありました(笑)。ただ体に入ると心地よいメロディとリズムの楽曲がすごく多くて。2、3回歌っているうちにグルーヴが出せてきたかなと思います。

伊瀬 合唱曲とはまた違うテイストの曲なので、キャラクターを出すならこっちだな、そこは形にしたいなって思いで歌ったところはありました。この先、部員全員で声を重ねて歌えたら、すごく気持ちいいだろうなと思いますね。

生田鷹司

生田鷹司

──エンディング曲の「Ride Out the Fall」も英詞ですよね。ほかのキャストさんも難しい曲だったとおっしゃってましたが……。

生田 苦手な英詞なんですけど、僕はこれが一番好きな曲で。ほんとにエンディング感があるというか、曲を聴いた瞬間にスタッフロールが流れている様子が目に浮かんで。「早く歌いてー!」って思ったのはエンディング曲ですね。

伊瀬 この曲の双子が歌うバージョンが第4話の最後に流れることで、あれだけバチバチしてても「この2人は大丈夫だ」って、とりあえず安心できるかなと思います(笑)。

──これまでの音楽活動やキャラクターソングを歌った経験が活かされた部分はありますか?

生田 ディレクションの話になるんですが、バンドをやっているときは“僕”っていう人間に対するディレクションがあって、キャラクターソングでは役をしっかり曲にあてはめるためのディレクションがある。けど「川越ボーイズ・シング」の場合は、さらに曲の魅力を伝えるために尽力しないといけないところがあって。普段のキャラクターソングだったら「僕だったらこう歌うな」を抑えて「この子だったらこう歌う」を全面に出すんですけど、「楽曲の魅力を伝えたい」という欲がどうしてもあって、その比重をどうするか、どの曲でも悩んでました。

伊瀬 僕の場合は、趣味でカラオケしたり、ほかの作品のレコーディングだったり、その1つひとつで培ってきた引き出しを全部使うような現場でしたね。ディレクションに関しても密度が濃くて、やりすぎても引きすぎてもいけない、「ここ」っていうピンポイントを攻めていく作業が本当に多くて。本当に1つのパートに対しての時間のかけ方が違うので、すごく楽しいお仕事でした。

伊瀬結陸

伊瀬結陸

──そして第5話なんですけど、第5話はカラオケ回ということで、これまでの部活で歌う曲というのとはちょっと毛色が違いますよね。

葉山 そうですね。博士が「グッバイ・ボーイ」という曲をカラオケで歌うんですが、カラオケに入っている曲ということは、誰かほかの人が作って歌っている曲じゃないですか。でもそれを博士がカラオケで歌うってことは、やっぱり何かしらの理由があってこの曲を歌っていると思うので、博士が伝えたい思いが乗った「グッバイ・ボーイ」になってくる。それがすごく面白いなって思いながら歌わせていただきました。

生田 あの曲で100点取るってすごくないですか?

葉山 めちゃくちゃスタジオで息……息!って思った(笑)。ビブラートのかけ方とかテクニック的なところと、博士が持っている声の味わいだったりとかを、どうやって出せばいいかなって考えながら歌いましたね。

葉山翔太

葉山翔太

──おふたりで一緒に歌われた「曖昧」はどうですか?

葉山 あれもよかったあ……すぐ報告したよね(笑)。深川さんが先に録ってたのを聴いてね。

深川 それはいいとして(笑)。あれもカラオケだから自分たちの歌じゃないんですよね。でも歌詞を見るに、彼らがなんとなく日頃感じている思いも表れているというか。2人だけの世界があるんだけど、誰かに自分を見てほしいという気持ちもあるのかなと。レコーディングのときに「もっと感情を少し前に出すように歌ってみてほしい」ってディレクションをいただいて、彼らが日頃感じているモヤモヤをそこにぶつけるんだっていう気持ちでやりました。

深川和征

深川和征

葉山 僕はレコーディングが深川さんの後だったので、絶対にツーカーっぽく、きれいに乗せてやる!って思って(笑)。楽しかったですね。きっと博士もマジックも、2人でカラオケで歌ってて、お互い「いいじゃん」って感じでノッてくる部分があると思うから、そういうのを意識しながら楽しく歌っていました。

がんばっている彼らを観て、一体になる大切さを感じた(深川)

──第5話でボーイズ・クワイア部のメンバーが揃いましたが、自分のキャラクター以外で好きなキャラクターや気になるキャラクターはいますか?

生田 春男先生! 飄々としているようで、みんなを自分の渦の中に巻き込んでいくあの強さ。子供っぽさもあるのに頑固で理屈っぽかったり、「なんなんだこの人は!」って。よくある熱血な主人公然としているタイプの人じゃないじゃないですか。あの捉えどころがない感じが、「この人は次何をしてくれるんだろう」って、そういうワクワクをくれる人だなって思って。実際に身近にあんな人がいたらいいのになって思いますね。

──え、大変そうじゃないですか?(笑)

一同 (笑)。

生田 めちゃくちゃ近い距離で関わる人ならイヤですよ(笑)。仲良い連中の1人くらいにいてほしい。僕はそれを眺めていたいです(笑)。

伊瀬 僕はトリ(白鳥修治)が好きですね。僕ら4人が演じているのは全員1年生なので、すごく先輩って感じで。春男先生が毎回はちゃめちゃな要求をしてくるのに対して、トリ先輩が動き出すきっかけを作ってくれるんですよね。収録のときも小原(悠輝)さんが先に録られることが多くて、そのボールが飛んできてるのを感じてて。あのはつらつとした先輩感が1年生を突き動かしてくれているところがある。個性が際立ってるキャラクターもたくさんいるんですが、部活動においてはいなきゃ始まらない先輩だと思います。

深川 僕もトリなんですよね。小原さんは普段舞台で役者をされている方なので、我々声優があまりできないような演技の質感が、いかにもトリっぽい。第5話の中で、マジックとトリがヒップホップの話をするところもあったりして、ちょっと気になるかな。

トリちゃんこと白鳥修治(CV:小原悠輝)。

トリちゃんこと白鳥修治(CV:小原悠輝)。

葉山 役のよさと小原さんのよさが合わさって、すごく魅力的なキャラクターですよね。僕はリカ先生。理事長と春男先生との三つ巴のやり取りも面白いし、今は春男先生が部を引っ張っていますけど、リカ先生も話を追うごとに強い意志も芽生えてくる。もしこの先春男先生がいなくなってもクワイア部が続いていったとしたら、リカ先生がどんな顧問になっていくのか、どんな音楽を作っていくのか気になります。春男先生みたいになるところも見てみたい(笑)。

──では最後に、皆さんこの作品でいろんな挑戦をされたと思うんですが、その中で得たものや、自身の演じるキャラクターから刺激を受けたところがあれば教えてください。

生田 僕は24歳のときに上京して音楽を始めて、紆余曲折を経てある程度考え方が固まってきたときに、この作品に出演させていただいて。この子たちって始めるきっかけはどうであれ、純粋に音楽や歌が大好きじゃないですか。人生において自分が本当に好きだって思えるものってそんなにないし、学生生活って一瞬で、その中で共通のものが好きで集まって生まれたクワイア部の、なんと尊いことか。その少年らしさやまっすぐな気持ちを受けて、僕が今持っている“好き”や、今一緒に仕事をしている人たちに対して、もっと力や思いを注げるなと思ったんです。自分がまた明日がんばれる気力になるなって感じましたね。

伊瀬 偶然のようで、集うべきして集うもの、っていうのもあるものだなって思っていて。今後お話が進むにつれて各々活躍する場面が出てくると思うんですが、1人ひとりがちゃんと歯車になっている。例えばだんぼっち先輩は一見ネガティブですけど、それが回り回って、クワイア部を動かす力になることもある。1人も欠けちゃダメで、そのために集まってきたんだなって感じます。あとは、川越いいところだなあって(笑)。最終話のアフレコでおさつスティックをいただきまして。美味しかったなって(笑)。

──川越名物ですからね、サツマイモ。

深川 実は僕、川越に10年くらい住んでいたので、第2の故郷と言っても過言ではなくて。モデルになっているであろう川越高校が男子シンクロで有名なところで、見に行ったこともありますし、川越に集まって、みんなで何かやれたらうれしいなって。

葉山 実際にイベントもできたら楽しそうだよね。これは最終回後みたいなコメントなんですが……結局のところ、春男先生が博士やそれぞれに見出していたよさってなんだったんだろうな、って思うんです。アフレコが終わってから、卒業した後みたいな気分で(笑)。そこは春男役の興津(和幸)さんたちともおしゃべりしてみたいですね。

深川 最終話のとき、興津さんが残って僕らのアフレコを見ててくださったんですよね。先生って気持ちで見ててくれたのかなって。

葉山 温かったよね。境遇も声質も性格も違う子たちが集まって、彼らの声が合わさってできたものが、どういうものになったのか。それはきっと春男先生が見つけたかったものでもあるし、完成させたものでもあるので、ぜひ見届けてほしいなと思います。

深川 我々4人は一緒にアフレコをやっていたメンバーなんですけど、1回だけ部員が全員揃ったことがあって。それまで一緒にアフレコしていなくても、すごく一体感があって楽しかったんです。コロナ禍を経てなんとなく人との精神的な距離も離れてしまっているんじゃないかと感じていたんですが、この作品に参加し、クワイア部の彼らが団結して目標に向かっていく、一緒になってがんばっている姿を観て、一体になる大切さを僕も感じられたので、観ている方にもそれを感じてもらえたらいいなと思います。

プロフィール

生田鷹司(イクタヨウジ)

1月30日生まれ、高知県出身。2015年、アニメ・ゲーム音楽の作編曲を数多く手がけている堀江晶太とともにロックバンド・PENGUIN RESEARCHを結成。ボーカルを務める。アニメやゲームが好きだったことをきっかけに声の演技にも興味を持ち、声優としても活動。主な出演作に「アイ☆チュウ」(日下部虎彦役)、「ゾイドワイルド」(キャンディ役)、「ホイッスル!」(五味薫役)などがある。

伊瀬結陸(イセユウリ)

11月2日生まれ、千葉県出身。主な出演作に「遊☆戯☆王SEVENS」(グルグル役)、「アイドルマスター SideM GROWING STARS」(天峰秀役)、「夢職人と忘れじの黒い妖精」(プラチナ役)などがある。携帯サイト・文化放送モバイルplusの番組「男前通信NEO『伊瀬結陸の結々自適』」では、パーソナリティを務める。特技はテニス。

葉山翔太(ハヤマショウタ)

11月15日生まれ、山口県出身。主な出演作に「おかしなさばくのスナとマヌ」(スナ役)、「東京リベンジャーズ」(山岸一司役)、「美男高校地球防衛部HAPPY KISS!」(道後一六役)、「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」(波羅夷空却役)、「REVENGER」(惣二役)などがある。特技は書道。

深川和征(フカガワカズマサ)

4月21日、鹿児島県出身。主な出演作に「『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima」(トム・ウィスパー・ウェザコック役)、「新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION」(霧島ニチリン役)などがある。特技は英会話、空手、ヒューマンビートボックス、歌唱。