4月9日に開催された「世界文化遺産 下鴨神社 朗読劇 鴨の音 第二夜『読還-よみがえり-』」の先行上映会には、四兄弟を演じた岸尾だいすけ、下野紘、前野智昭、島﨑信長が勢揃い。満員の観客に出迎えられて顔をほころばせながら登壇した4人だが、冒頭の挨拶からジョークを飛ばしっぱなしの岸尾に、隣の下野はツッコミながら「この配置やだなー!」とうなだれてみせ、前野と島﨑は温かい目でそれを見守る。約1時間にわたるトークショーは朗読劇の裏話はもちろん、そんな4人の空気感が存分に楽しめるものとなった。
島﨑演じる四男が書いた脚本を、長男・次男・三男が演じていくという、繰り返される劇中劇が特徴的な「読還-よみがえり-」。さまざまな役柄を演じる中で、前野は「どのキャラクターも振れ幅が広かったので、どう演じるのか探り探りでした。でも皆さんの『ここまでやっていいのか』というくらい幅広い演技に刺激されて、お互いがお互いを引き上げたような気持ちのいいやり取りでした」と振り返る。すると岸尾が「あなたの“戦士”で火が付いたんだよ」と、劇中劇で“戦士”を演じた前野を称賛。下野と島﨑もそれに同意しつつ、島﨑は「ギアを変えたのは前野さん。でもやっぱり岸尾先輩が、バランスや流れをすごく考えていらっしゃるんですよ」と続ける。四男役として客観的な立場で見られたという島﨑は「下野さんは実は一番動じなくて、ずっと堂々としている。勇者なんですよ。この3人のバランスがすごく面白かった」と、それぞれの先輩のリスペクトする部分を明かした。
印象に残ったシーンについて聞かれると、下野は自身がカメラ目線で決めた「お安い御用だ!」というセリフを挙げる。ここでも岸尾は「百万円ちょうだい?」と下野に投げかけ、下野がだんまりを決めると「言えやー!」とツッコんで観客の笑いを誘った。一方で岸尾は作品の感想として、「やっぱり伏線になっているセリフやシーンを後半に向けて回収していくところが好きですね。さすが平祐さんだなあと」と、脚本を手がけた山下平祐にも触れながら真面目なコメント。そんな岸尾に前野が「岸尾さんが真面目なことを言うと『今日の岸尾はちょっと違うぜ』みたいな空気になってずるいですよね!」とコメントし、客席を沸かせた。またAIのマコを演じた野沢雅子をはじめ、中井和哉、沢城みゆき、皆口裕子らも声で参加した本作。下野が「リハーサルの段階から皆さんの声が聞こえて、背筋が伸びましたね」と語ったように、先輩声優たちの参加が4人の演技をさらに引き上げたことが感じられた。
トークショー後半では、会場・下鴨神社の権禰宜(ごんねぎ)である東良勝文氏も登壇。「鴨の音」を下鴨神社で開催するに至った経緯、若い世代にも神社を身近に感じてもらいたいという思いを語り、「ゆくゆくは『鴨の音』が文化に、伝統になっていければ」と今後への期待を語った。下鴨神社という貴重な場所での演技について、前野は「お芝居中に入り込むタイプではないんですが、『鴨の音』では鼻水と涙が止まらないくらい感情移入してしまって。それは下鴨神社の力を借りることができたからだと思います」と振り返り、第一夜から参加する岸尾も「縁を感じますよね。下鴨神社の力でいいキャストが集まり、いいスタッフが集まり、天候すらも味方につけて。やっぱり神懸ってるのかなと思います」と真摯な口ぶりで語った。上映会の模様は6月にリリースされるBlu-ray / DVDの初回限定盤に収録予定。終始笑いの絶えなかった4人のトークを、ぜひ映像で楽しんでほしい。
- 岸尾だいすけ(キシオダイスケ)
- 3月28日生まれ、愛知県出身。主な出演作に「弱虫ペダル」(手嶋純太役)、「東京喰種トーキョーグール:re」(旧多二福役)、「ドラゴンボール超」(キャベ役)、「レミーのおいしいレストラン」(レミー役)など。
- 下野紘(シモノヒロ)
- 4月21日生まれ、東京都出身。主な出演作に「Deep Insanity THE LOST CHILD」(時雨・ダニエル・魁役)、「鬼滅の刃」(我妻善逸役)、「進撃の巨人」(コニー・スプリンガー役)、「僕のヒーローアカデミア」(茶毘役)など。
- 前野智昭(マエノトモアキ)
- 5月26日生まれ、茨城県出身。主な出演作に「はたらく細胞」シリーズ(白血球(好中球)役)、「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」(クロコダイン役)、「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズ(カミュ役)、「刀剣乱舞」シリーズ(山姥切国広役)など。
- 島﨑信長(シマザキノブナガ)
- 12月6日生まれ。宮城県出身。主な出演作に「Free!」シリーズ(七瀬遙役)、「バキ」(範馬刃牙役)、「呪術廻戦」(真人役)、「ブラッククローバー」(ユノ役)など。