コミックナタリー Power Push - 原作:ゆきもり 作画:ロドリゲス井之介「ガンプラ戦記 ジャブローズ・スカイ」
国民的イケメン俳優の裏の顔は……?「作りたくなる」ガンプラマンガ生み出す、ゆきもりの“愛”溢れる制作秘話
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「トクサツガガガ」を読んで、「負けられないな」と
──作中でも何話にもわたってヤスリがけをしてますもんね(笑)。桜庭がサンドペーパーを探しに街に出たとき、使えそうなピンセットを見つけるけど、そこそこいい値段だったからと買うのを迷うシーンがありますよね。桜庭なんてあれだけの大スターですから、お金なんていくらでも持ってるだろうし、何を迷うんだろうと思ったのですが。
あのシーンも、お金をかければいいというものではないとわかっている、ガンプラ好きのリアルな心情を表しています。お金持ちのガンプラ好きが、すごくいいヤスリを使ってるかっていうと、そうではないんですよ。100円ショップの安いヤスリを買って「そっちのほうが好き放題使えるからいい」っていうお金持ちのお兄さんがいたりとか。海外のガンプラ好きにはすごい富豪の息子とかもいたりしますが、そういう人も安くていい工具を探してたりするんです。
──ガンプラに詳しくない身としては、「いくらでも買えるだろ!」って突っ込みながら読めるギャグシーン的な見方をしていたんですが、あれもリアルな描写だったんですね。
「どうしよう」って、手に取ろうか、取らまいか。持ってるものと近いからやめておこうかな、でも使ってみたら違うかもしれない、とか。
──ピンセット1つにそんな葛藤が(笑)。
金額じゃないんですよ。使えるかどうかのほうが大事で。いろんなものを試してみて、結局ダメなものもごまんとある。いろんな会社から新商品としてニッパーとか出るんですけど、まあ、ほぼほぼハズレですよね。
──あははは(笑)。
でも買ってみなきゃわからないっていう。一番ダメな発想ですけど(笑)。それで結局物が増えてしまう。
──“ガンプラあるある”でもありますけど、そういった何かひとつのことに対してこだわる姿は“オタクあるある”でもあるかもしれませんね。
別の雑誌ですけど、(ビッグコミック)スピリッツ(小学館)で連載中の「トクサツガガガ」というマンガがあるじゃないですか。
──隠れ特撮オタクのOLが主人公の作品ですね。作者の丹羽庭さん自身も、かなりの特撮好きという印象があります。
僕も結構ガチャガチャとかコレクトしたりするのが好きなので、読んでて「わかってるなあ」と思う描写が多いんですよ。僕は僕で、プラモデルのマンガでこの“わかってる”感を出したいなと思っていて。「負けられないな」って、勝手に意識したりしています(笑)。
本郷奏多、すげーヤスリがけしてんな
──ちなみになんですが……桜庭ってモデルになった人物はいるんでしょうか?
そうですね、福山雅治さんとかが想像に近いかもしれないです。福山が家に帰ってめちゃくちゃヤスってたら面白いなと。どこに行ってもワーキャー言われて、ライブで「イェーイ!」とかやってる人が実は……みたいな。内心「ヤスりたいから早く帰りたい」と思ってて。さっさと帰ろうとしたら「女ですか?」って聞かれて「いや違う」みたいな(笑)。
──実際だと本郷奏多さんとか、かなりのガンプラ好きとして知られてますよね。
彼もあんなに男前なビジュアルですから、ガンプラ好きなんて本当かよ!ってちょっと疑っちゃうじゃないですか。でも作品見ると「すげーヤスリがけしてんな」って思うんですよね。本気だな、この人って。
──あ、やっぱりわかるんですね(笑)。
テレビでアピールするためだけのものではないと感じます。現実だと彼みたいな人もイメージに近いかもしれないですね。
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今をときめく人気俳優・桜庭陸人。
金も地位も名声も、すべてを手にしたスーパースターには、1つだけ──秘密があった。
絢爛豪華なマンションの一室で、防塵マスクに身を固め、ニッパー片手に彼が夜な夜な耽るのは……ガンプラ作り!
彼の脳内に広がるは「機動戦士ガンダム」のもう1つの(?)物語、「ジャブローズ・スカイ」!
いつかこの手で完成させるぜ、“オレ設定”のモビルスーツ!
読めばきっと作りたくなる、ゲッサン×ガンプラストーリー!!
ゆきもり
2012年から2013年にかけて、週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)にて連載されていた「プラモ男子とプリチー女子」の原作を担当。ガンプラ好きな40歳の男と、20歳の天然美女との恋を描いた。現在はゲッサン(小学館)にてガンプラを題材にしたマンガ「ガンプラ戦記 ジャブローズ・スカイ」を連載中。