コミックナタリー Power Push - 原作:ゆきもり 作画:ロドリゲス井之介「ガンプラ戦記 ジャブローズ・スカイ」
国民的イケメン俳優の裏の顔は……?「作りたくなる」ガンプラマンガ生み出す、ゆきもりの“愛”溢れる制作秘話
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ガンプラをもっと知ってもらいたい
──実は私、あまりガンプラに詳しくないのですが……「ジャブローズ・スカイ」、とても楽しく読ませていただいてます。
ありがとうございます。女性にもガンプラの楽しさを知ってもらえたらいいなという思いもあるので、そう言っていただけてうれしいです。
──国民的スターである俳優の桜庭陸人が、実は大のガンプラオタクという設定も面白いと思ったのですが、作品のキャッチコピーにも「作りたくなる」とある通り、このマンガを読んでいるとガンプラへの興味が湧いてきます。
それはまんまとハマっていただけましたね(笑)。実際にプラモデルを作るかどうかというのは、その人の環境によってはできるできないがあると思うんです。それでも「プラモの世界も結構面白いんだよ」っていうところを知ってもらえたら、この作品の意味はあるのかなと思いますね。自分と同じ世代の、子供の頃にガンプラブームを経験したことがある男性からも「ガンプラってまだあるの?」って言われるときがあるんですよ。興味がないとそれぐらい目に入らないものになっちゃってるんだなと感じることもあって。だからまずは知ってもらいたい。ひとつの趣味として、もうちょっと認知されたいなって思いが強いですね。
──ゲッサンに掲載されているおまけの4コママンガ「ガンプラ放浪記」では、「作中に登場するモビルスーツを全部自分の手で再現したい」と書かれていて、それくらいゆきもりさん自身もガンプラがお好きでいらっしゃるんだなと。
はい。原稿を書いてるとき以外はガンプラを作ってばかりです。「ジャブスカ」のためにガンプラを作って、原稿を書いて。またガンプラを作って。その繰り返しなので、ひと月の終わりに「また今月も『ジャブスカ』で終わった」って思うくらいガンプラ漬けの毎日で(笑)。でもそんな状況がありがたいですし、楽しいですね。
ガンプラ制作の7割8割はヤスリがけ
──ゆきもりさんは前作「プラモ男子とプリチー女子-ミズオとイエナの一年戦争-」でもガンプラ好きの主人公を描かれていました。今作「ジャブスカ」と前作「プラモ男子」では描きたいことに違いなどあるのでしょうか。
「プラモ男子」はミズオとイエナという男女の恋愛がメインで、ガンプラはおまけという印象が僕の中ではあって。もともと「模型好きのオッサンのところに若い女の子が転がり込む」という設定だけ作ってあったんですよ。その模型を「ガンプラにしたらいいんじゃない?」というところから始まった物語だったので。「ジャブスカ」の場合は「ガンプラマンガを作ろう」と決めていたから、同じガンプラを題材にした作品でも、スタートが違ったんです。
──確かに「プラモ男子」はミズオとイエナの関係を描くシーンも多かったですが、「ジャブスカ」はガンプラを作っている桜庭のひとり語りで話が進んでいきますもんね。
「プラモ男子」ではミズオとイエナの関係の合間に、易しくわかりやすくガンプラを描こうと思っていたんですが、「ジャブスカ」は“ガンプラマンガ”と銘打っているくらいなので、ガンプラ好きならここまでやるんじゃないか?とか、突き詰めたところまでちゃんと描きたいと思っています。
──なるほど。
例えばヤスリがけのシーンをたった1話で終わらせてしまったら、ガンプラ好きからしたら「そんなわけないじゃん!」って思うわけですよ。「ガンプラ作ったことないだろ」って。
──ああ、確かに桜庭って1話からずっとヤスリがけしてるなと思ったんですが……。
バカじゃないかと思われるかもしれないけど、ガンプラ好きからしたら制作の7割8割はヤスリがけなんですよ。キレイに作るなら、ヤスリがけをどれぐらいしたかで変わってくるので。
──じゃあガンプラ好きとしては、あれがリアルな姿なんですね。
そうですね、絵としてはちょっと地味ですけど。何回描くんだってくらい、効果音に「シャッシャッシャッ」って入れてますし(笑)。
──ヤスリがけをやめたかと思ったら、今度は「1000番のサンドペーパーがなくなった!」って、結局ヤスリがけのために外に出るという(笑)。
ガンプラ好きっていうのは、本当にあれぐらいヤスリがけに命をかけてるんです。そういった“ガンプラあるある”も盛り込んでいます。ヤスリがけって、やってもやっても終わらないんですよ。でも「止まない雨はない」じゃないですけど、「終わらないヤスリがけはない」って言い聞かせながらヤスっているんです(笑)。
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今をときめく人気俳優・桜庭陸人。
金も地位も名声も、すべてを手にしたスーパースターには、1つだけ──秘密があった。
絢爛豪華なマンションの一室で、防塵マスクに身を固め、ニッパー片手に彼が夜な夜な耽るのは……ガンプラ作り!
彼の脳内に広がるは「機動戦士ガンダム」のもう1つの(?)物語、「ジャブローズ・スカイ」!
いつかこの手で完成させるぜ、“オレ設定”のモビルスーツ!
読めばきっと作りたくなる、ゲッサン×ガンプラストーリー!!
ゆきもり
2012年から2013年にかけて、週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)にて連載されていた「プラモ男子とプリチー女子」の原作を担当。ガンプラ好きな40歳の男と、20歳の天然美女との恋を描いた。現在はゲッサン(小学館)にてガンプラを題材にしたマンガ「ガンプラ戦記 ジャブローズ・スカイ」を連載中。