一迅社からのメールにはビビッときた
──では一迅社さんから単行本を出すことになった経緯についても教えてください。
マンガを公開してから数日後、本当にすぐに連絡をいただいて。ちょうど友人と通話をしていたときにpixivを開いたらメッセージがきていて。通話しながら「やばい、やばい!」って(笑)。友人に「それはすぐ返信しなきゃ駄目だよ」って言われたんですが、私は語彙力がなくて、言葉をうまく文章にするのが苦手なので、思い切って電話をかけました。そこからは、びっくりするぐらいトントン拍子に話が進んでいった感じですね。
──一迅社さんはpixivやSNSなどで公開されている作品を単行本化することの多い出版社さんかなと思うんですが、「一迅社だから受けた」というのはあったんでしょうか?
出版社がどうとかよりもその担当さん、声をかけてくださった方との相性を気にします。それまでも何度か声かけてもらう機会はあったんですが、メールの文面の雰囲気や文章での印象から、なんとなく「この方とは合わないかもしれないな……」と思ったときはお断りすることもあって。何か明確な理由があるわけではなく、ただの直感なんですけど、昔から「チチカカ池ちゃんの直感って当たるよね」ってよく言われていたし、自分の直感は当たるんだと信じてるところがありまして(笑)。一迅社の担当さんからの連絡にはビビッときたというか、「この人とならやっていけるかも」って気持ちになったんです。
──メッセージの文面から感じるものがあるんですかね。
あります、あります。感じのよさとか柔らかさとか。感覚的なものなので、言葉にするのは難しいんですけど。
──「日曜日のいちごちゃん」は好きなものを自由に描いているとおっしゃっていましたが、書籍化が決まったことによって変わったことはなかったですか?
基本的にはないですね、そこは私自身驚きましたし、うれしかったです。とにかく好きに描かせてくれて、書籍化するからこういうストーリーにしたほうがいい、こんなキャラクターを出しましょうとか言われることもなく、「今まで通りのびのび描いてください」って言ってくれる担当さんで。それって滅多にないことですし、本当にすごくありがたいと思いながら……ちょっと涙が出てきちゃった。
──前の連載がうまくいかなかったところからスタートして、自由に描いたものがそのまま受け入れられるっていうのはうれしいですよね。
作品のことも自分のことも大事に思ってくれるんだなってすごく感じます。おかげでとても楽しく描けてますし、自分が思いついたこと、楽しいと思えることをそのまま具現化して、皆さんに読んでもらえるって、作家としてすごく幸せなことだなと思っています。もう出会うべくして出会ったというか、すごく運命的な何かを感じます(笑)。
──それほど相性がいい人と出会えたのはすごいことだと思います。
「マンガ家さんがいてくれるから自分も編集者としてやっていける」って言われる編集さんもいるんですけど、逆を言うと、私も担当さんがいてくれないと絶対描けていないと思うので。1人じゃきっとできなかっただろうなと思います。
じれったくもかわいい関係を描き続けていきたい
──では作品の話に戻しまして。1巻の収録内容で特にお気に入りのエピソードがあれば教えてください。
どれもお気に入りなので選ぶのが難しいんですけど(笑)。でも、一番読んでほしいのは描き下ろしですね。描き下ろしは番外編なんですが、リアルな番外編というよりはパロディというか、異世界設定だったり、社会人設定だったり、吸血鬼パロとかもあって、描き下ろしでしか読めない特別な2人を描いてます。気持ち的には如月君といちごちゃんで二次創作をしてるような感覚です(笑)。
──私も読ませてもらったんですけど、楽しそうに描かれているなと思いました(笑)。
チチカカ池ワールド全開でいきます!っていうテンションで描いてます(笑)。これからもいろんなパロを描いていくつもりです。
──本編では今後どんな話を描いていきたいですか?
まだしばらく2人をくっつける予定はないので、じれったくもかわいい関係を描き続けていきたいです。くっつけたくない、って言ったらおかしいのですが、まだしばらくの間は私自身もくっつくまでのドキドキをたくさん描きたいので。あと、最新話をTwitterで公開しているので、現実に合わせて時間も進めているんですが、夏になったら海に行ったり、秋には体育祭や文化祭があったり……そういう季節のイベントネタも描きたいです。読んでくださっている方々も共感しやすいと思いますし、そこがTwitterとかネットにマンガを公開するよさなのかなと思います。
──けっこうネタは溜まってるんですか?
はい、かなり溜まっています(笑)。最近はネタばかり先に思い浮かんで、描きたいエピソードが多すぎて。妄想したものが次の日にマンガになっていたらいいのにって思っちゃいます(笑)。
──作画が追いついてない状態ですね(笑)。
本当に作画が追いついてないですね。今後は如月君の感情がワーッて出てくる場面がたくさんあると思うので、次の2巻ではめちゃくちゃキュンキュンしてもらえるはずです。というか、自信がめちゃくちゃあるので楽しみにしていてください!
プロフィール
チチカカ池(チチカカイケ)
マンガ家、イラストレーター。「ぶら×しすコンプレックス』(comico)で商業デビュー。「日曜日のいちごちゃん」(一迅社)を自身のTwitter、comic POOLで連載中。